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    歯茎のできものの原因は口内炎?歯肉癌?おできの原因8つ

    歯茎のできものの原因は口内炎?歯肉癌?おできの原因8つ

    口内炎から癌まで、歯茎のできもので考えられる正体を一挙ご紹介します。見分けるのが難しい場合はすぐに病院に相談しましょう。

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  • 更新日:2016年03月08日

歯茎のできもの、普通の口内炎だといいけれど…

食事の時や歯を磨いている時にふと気づくのが、歯茎のできものです。
一言で歯茎にできるできものといっても、様々な種類があります。ストレスや疲れによる口内炎などであればそれほど心配する必要はありませんが、時に歯肉癌や悪性黒色腫などの深刻な疾患のサインであることもあるので油断は禁物です。

口腔内の重要な病気を見逃さないためにも、歯茎のできものの正体について、どんなものがあるのかしっかりと把握しておくことが大切です。

歯茎にできるできものの種類

症状の軽いものから重いものまで、歯茎に生じるできものには以下のものが挙げられます。それぞれの症状について、詳しくチェックしていきましょう。

1.口内炎

誰でも一度はできたことがある口内炎は、歯茎のできものでも代表的な症状ですね。
口内炎にはアフタ性カタル性ウイルス性などの様々な種類があり、ウイルス性にはヘルペスなどが含まれます。最もよくできる一般的な口内炎はアフタ性口内炎なので、今回はアフタ性の口内炎を中心に解説していきます。

痛みの有無

何もしなければ痛くありませんが、食事や歯磨きの際にものが当たると痛みを感じます。

特徴は?

アフタ性口内炎は白く丸い形をしており、大きさはまちまちですが、直径0.5cm~1cmくらいのものが多いです。

何が原因?

ビタミンB2やビタミンC不足、誤って口の中の粘膜を噛んでしまった、ストレスや免疫力の低下、唾液不足により細菌が増えたなど、口内炎の発症には様々な原因が挙げられます。

なお、自己免疫疾患であるベーチェット病ではアフタ性口内炎が繰り返し出現しますが、発症原因は不明です。

何科を受診?治療は?

不規則な生活や食事バランスの崩れからくる口内炎であれば、病院に行くよりも生活習慣の改善が第一となります。口内炎にはできるだけ触れないようにしてください。

もし不安だったら耳鼻咽喉科、歯科、口腔外科、皮膚科、内科を受診するのが一般的です。
ステロイド軟膏のケナログや貼るタイプの薬アフタッチが処方されるので、ケナログであれば1日数回塗布し、アフタッチならそのまま貼りつけておきます。

なお、これらのステロイド剤をウイルス性の口内炎に使用すると、却って悪化する場合もあるため、医師の判断なしに自己判断で薬を使用するのは絶対に避けましょう。

また、ベーチェット病の場合には、アフタ性口内炎のほかに肌症状、眼症状、関節炎などが起こります。こちらは皮膚科、リウマチ・膠原病科、神経内科などが専門となりますので、心当たりのある方は総合病院での受診をおすすめします。

2.フィステル(瘻孔)

フィステルは一見すると歯茎にできたおできのように見えますが、歯肉にできる膿の穴のことで、奥の方に溜まった膿の通り道となります。

痛みの有無

通常、フィステルには痛みが出にくく、自覚症状がないことがほとんどですが、疲れていたり体調が悪かったりすると痛みが出やすくなる傾向にあります。

特徴は?

色は白っぽかったり、赤っぽかったりします。大きさは数mm程度です。

何が原因?

フィステルは重度の虫歯の放置や外傷による神経の切断、歯周病などが原因で引き起こされることが多いです。
これらの原因により歯根が炎症を起こすと、膿が形成されます。この膿の行き場がなくなると、膿を外に出そうと歯肉にフィステルを形成してしまうのです。

何科を受診?治療は?

フィステルは口腔外科に行って診断してもらうことは可能ですが、治療は専門外です。一般の歯科医院を受診しましょう。歯科の中でも「保存科」「歯内療法科」といった科が専門となります。
フィステルの治療では、虫歯によって死んでしまった神経を取り除き、詰め物をしてから最終的に被せものをするといった処置を行いますが、症状の進行度合いによっては抜歯せざるを得ないケースもあります。

3.脂肪腫(フォーダイス斑)

脂肪腫は脂肪細胞でできた塊で、異所性の皮脂腺です。通常は頬の裏側にできますが、たまに歯肉にできることがあります。

痛みの有無

全く痛みを伴わないことから、自覚症状はないことがほとんどです。

特徴は?

白~黄色のポツポツとしたできものです。小さいものがいくつかできます。

何が原因?

発症原因は不明ですが、加齢とともに増加する傾向にあるとされています。

何科を受診?治療は?

特に治療を要しませんが、「他の病気かもしれない…」と不安な方は、耳鼻咽喉科、歯科、口腔外科、皮膚科を受診して担当医に相談しましょう。

4.歯肉腫(エプーリス)

歯肉種は、歯茎にできる良性の腫瘍です。炎症性、腫瘍性、反応性、妊娠性などに分かれ、さらに細かく分類されます。
よくできるのは肉芽腫性エプーリス線維性エプーリスなので、その2つをメインに解説します。

痛みの有無

痛みの程度は人によって異なりますが、腫瘤の生成により歯がグラつくなどの症状が出ることもあります。

特徴は?

肉色で、歯と歯の間や歯の上に覆い被さるように歯肉がプックリと腫れあがります。大きさは歯1本分のサイズにまでになる場合もあります。

何が原因?

歯肉種は慢性的な刺激や炎症、女性ホルモンの分泌の異常などにより生じると考えられていますが、その詳しい機序はわかっていません。

何科を受診?治療は?

他の病気と区別するために、口腔外科にかかるのが良いでしょう。外科手術で切除、時に抜歯をしなければいけないこともあります。
ただ、妊娠性エプーリスは産後に消える場合もあるので、経過観察が一般的です。

5.上皮真珠(エプスタイン真珠)

赤ちゃんの歯茎にできる上皮真珠は、成長の過程でできるもので、放置していても全く問題はありません。口蓋の真ん中にできる場合はエプスタイン真珠と言います。

痛みの有無

痛みはありません。

特徴は?

白くて米粒のような小さなおでき、というイメージです。通常は何個かできます。

何が原因?

歯ができる時に必要な歯堤(してい)という器官があるのですが、この歯堤の対価不全により残存するものです。

何科を受診?治療は?

数週間から数ヶ月の間に自然治癒するため、病院に行く必要はなく、歯の生え方にも全く影響はありません。心配であれば検診時に医師へ相談してみましょう。

6.色素性母斑

色素性紅斑は、色素細胞であるメラノサイトが変化してできる細胞のかたまり、いわゆるほくろのことです。肌だけでなく、唇や歯茎にもできることがあります。

痛みの有無

痛みはありません。

特徴は?

黒褐色をしていて少し膨らんでおり、大きさは様々です。色が薄くなることもあります。

何が原因?

色素性母斑の原因はハッキリとはわかっていませんが、メラニン色素の形成異常によるものとも考えられています。

何科を受診?治療は?

色素性母斑は悪性黒色腫と似ており自己判別が難しいため、鑑別しておくことが重要です。大学病院などの大きい口腔外科を受診しましょう。悪性化する可能性を考慮して、摘出するケースも考えられます。

7.悪性黒色腫(メラノーマ)

色素性母斑と非常によく似ている症状ですが、悪性黒色腫はなので注意が必要です。早期発見すれば5年生存率は90%以上ですが、ステージが進むと10%前後にまで低下する恐ろしい病気です。

痛みの有無

痛みの度合いには個人差がありますが、患部の皮膚が破れたり、出血したりすることがあります。

特徴は?

悪性の場合は黒っぽく濃度が不均一で、健常な皮膚との境目が曖昧な傾向にあります。凸凹してが滲んでいたり、変色せずに歯肉腫のようにプックリと膨らんでいたりすることもあります。

何が原因?

皮膚にあるメラノサイトという色素細胞が悪性化してしまうことで生じます。

何科を受診?治療は?

色素性母斑と同様、悪性黒色腫も口腔外科がメインです。組織を切除して顕微鏡で他の病気と見分けなければなりません。
悪性黒色腫であれば外科手術のほか、補助的に化学療法放射線療法などで対処します。

8.歯肉癌

歯肉癌は、口腔内で発生する癌の中では舌がんに次いで発症しやすい疾患です。歯茎のどこにでも発生しますが、下顎に発症する頻度が高い傾向にあります。

痛みの有無

初期段階では痛みは少ないため、痛みが出るころには癌が進行してしまっていることが多いです。

特徴は?

白い潰瘍で凹凸があり、膨らんでいることもあります。癌は不整形・非対称が特徴です。

何が原因?

他の癌と同様に、タバコや飲酒などが主な原因として挙げられます。また、合わないかぶせ物や入れ歯を使用して、歯肉にずっと痛みを与えていることも、発症原因のひとつとして考えられています。

何科を受診?治療は?

歯肉癌の疑いがあるのであれば、口腔外科で患部を診てもらいましょう。
万が一、歯肉癌と判断された場合は、歯・骨・歯肉を含む大掛かりな切除術をしなければいけません。術後は、歯や骨の代わりにインプラントを植えるなどの対応をします。

できものができた時の注意点

歯茎のできものの種類によっても危険性は異なるのですが、自然に治る病気ではない場合や、悪性黒色腫や歯肉がんのように、放置していると命の危険がある場合も考えられます。

「数日経っても歯茎のできものに変化が見られない」「悪化した」といった場合には、なるべく早めに病院を受診し、歯茎のできものの正体を確認しましょう。
また、どんなできものでも、自分の手で触って潰すようなことは止めてくださいね。

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