ゲップの臭いと病気との関係は?考えられる5つの病気
自然に出てしまうゲップは、人間の生理現象で仕方ないとはいえ、人前で出てしまうと良い印象は持たれませんよね。
また、その上自分のゲップに臭いがあると、「何かの病気なのでは?」と心配される方も多いのではないでしょうか。
今回はゲップの臭いの原因/病気の関係について解説していきます。ゲップの臭いが気になっているという方は、ぜひ参考として目を通してみてくださいね。
そもそもゲップとは?どうして出るの?
「おくび」や「曖気(あいき)」とも呼ばれるゲップは、胃の中に溜まったガスや空気が、食道や口腔内を通って経由する際、音を伴って体外に排出される現象のことです。
食べものを食べるとき、私たちは撹拌(かくはん)処理のためにある程度の空気を必要としているのですが、これが必要以上に取り込まれてしまうと、胃の内圧が高まります。
結果、逆流を防止する筋肉が弛緩するとともに、食道にガスや空気が漏れ出してゲップが出るのです。
ゲップが臭い!?ゲップがにおう原因となる5つの病気
基本的に、口から飲み込んだ空気が逆流して起こるゲップにはニオイはないと言われています。
また、炭酸飲料を飲んだあとに大きなゲップが出ることがありますが、これは飲料に含まれる炭酸ガスによる生理的な現象のため、問題はありません。
ただし、そのゲップが独特の臭いを伴っている場合や頻繁に起こる場合には、胃腸系の機能が低下していたり、何らかの病気が隠されていたりする可能性があります。
では、ゲップが臭いときに想定される5つの病気について整理していきましょう。
逆流性食道炎
逆流性食道炎は、いつもは逆流しないように閉じている食道の下端、胃の入り口にある噴門(ふんもん)という部位が開いて胃酸が逆流し、食道で炎症を起こす病気です。頻繁なゲップのほか、胸やけや胃もたれ、食後の吐き気などの症状を伴うことがあります。
胃酸が逆流して口の近くまで上がってくることから、このゲップはツンとした酸っぱいような刺激臭を伴います。
逆流性食道炎の治療法
逆流性食道炎の主な治療法は、食生活や生活習慣の改善、薬物療法によるものです。
タンパク質や脂肪の多い食材、胃酸の分泌を増加させるアルコール、コーヒー、柑橘類などを避け、逆流を防ぐためにお腹を締めつけるような下着や洋服を着ない、また猫背にならないよう良い姿勢を保つことも大切です。
薬物療法としては、炎症の改善を助ける胃粘膜保護薬、胃酸の分泌を抑えるヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)やプロトンポンプ阻害薬(PPI)、胃酸を中和する制酸薬などの薬が使用されます。
胃潰瘍
胃酸が多く分泌され過ぎて、胃壁を保護する粘液とのバランスが崩れることで胃の粘膜を破壊してしまう胃潰瘍では、みぞおちの痛みや吐き気、食欲不振などの症状が見られ、悪化すると下血、吐血することもあります。
逆流性食道炎と同じく、胃酸が多く出ていることが原因であるため、ゲップからは胃酸特有の酸っぱいにおいがします。
胃潰瘍の治療法
胃潰瘍になってしまう主な原因はストレスやピロリ菌の感染、薬によるものです。ストレスを取り除くことや、十分な睡眠、バランスの取れた食事など規則正しい生活習慣を身につけることが大切です。
薬物治療としては、逆流性食道炎と同様、胃酸の分泌を抑える「ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)」を使用します。
十二指腸潰瘍
十二指腸潰瘍は、十二指腸の入口球部の粘膜が傷ついて発症する病気です。胸やけやゲップのほか、空腹時のみぞおち部分の痛みなどの症状が起こり、潰瘍部からの出血で吐血や下血が見られる場合もあります。
十二指腸は胃と小腸を橋渡ししている胃の先の臓器であり、この病気が原因で出るゲップも胃酸特有の酸っぱいにおいを発します。
十二指腸潰瘍の治療法
原因は胃潰瘍と同様、主に薬やストレス、ピロリ菌の感染によるものとされています。
薬物療法としては、逆流性食道炎および胃潰瘍と同様に、ヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)やプロトンポンプ阻害薬を使用します。また、日常生活において食生活を見直したり、上手くストレス発散したりすることも重要です。
胃ガン
胃ガンとは何らかの理由で胃の粘膜にできる悪性の腫瘍で、比較的男性に多く見られる病気です。
初期には自覚症状はほとんどなく、進行すると食欲不振による体重の減少や上腹部の痛み、吐き気、ゲップの頻発といった症状が起こります。
胃ガンになると、胃壁がただれることで胃液の分泌がスムーズに行かず、その結果消化不良を起こしてゲップを頻発するようになると考えられています。
そのため、胃ガンの場合はゲップのにおいもさることながら、その頻度に注意することが重要です。
胃ガンの治療法
胃ガンの治療は早期発見が第一です。直径が2cm以下で粘膜の浅い箇所にある早期ガンであれば、内視鏡による切除治療が可能となりますが、内視鏡で切除できない場合は開腹手術となり、進行度合に応じて胃を切除します。
便秘症
数日排便がなく、便がお腹の中に滞った状態を便秘症と言います。排出されてもその便は硬く、排便の量も少ないことが特徴です。便秘症が原因の場合、ゲップのニオイには便臭が混ざることが多いようです。
ゲップが臭い原因としては、通常、体内に蓄積されるガスや空気は、ゲップやおならによって排出されるのですが、便秘により腸内に溜まっている便が発酵して有害ガスが発生していることが考えられます。
また、便秘症は長く続けば続くほど便から水分がなくなり、排便が困難になっていくのが厄介なところです。
便秘症の治療法
便秘の治療に関しては、食生活の改善や便秘薬の使用が主な方法となります。
毎日の排便習慣をつけて、軽めの運動を心がけることや、適度に水分補給し、規則正しくバランスの取れた食事をとることが中心となります。中でも、食物繊維の豊富な野菜や果物、海藻類を積極的に摂ると効果的です。
便秘薬には様々な種類がありますので、重症度によって医師や薬剤師と相談して使用することをおすすめします。
頻繁なゲップとストレスの関係
ゲップの臭い、または頻発するげっぷの原因は主に胃腸にあることがわかっていますが、実はストレスによってもゲップを頻発してしまう場合があります。
呑気症、空気嚥下症
「呑気症(どんきしょう)」とは、日常生活において無意識に大量の空気を飲み込むことにより、胃に空気が入り込み、腹部の膨満感とともにゲップやおならが異常に排出される病気で、「空気嚥下症(くうきえんげしょう)」とも呼ばれます。
呑気症の国内の患者数は500万人と言われており、自覚症状のない方を含めると実際の患者数はこの数を上回ると考えられます。
呑気症の原因
呑気症は様々な要因が指摘されていますが、特に呑気症に強く関わっているのがストレスです。
私たちはストレスを感じて緊張状態に置かれると、知らず知らずのうちに唾を飲み込んだり、歯を食いしばったりして空気を飲み込んでしまいます。その多量の空気こそが、げっぷやオナラとして排出されるのです。
呑気症が起こる原因は?
- 仕事や人間関係で悩みを抱えている
- 歯の噛み合わせが悪い
- 早食いである
- 後鼻漏(こうびろう)である
- 口呼吸をしている
- 小さなことを気にしすぎ、不安に陥りやすい
- 無意識に歯を噛みしめる癖がある
ゲップは生理的現象であるケースもありますが、様々な病気のサインとして引き起こされていることも少なくありません。普段からゲップの臭いや頻度などに注目し、気になることがあれば早めに内科や消化器科を受診して原因を明らかにしましょう。
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