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    歯茎が臭い | 歯と歯茎の間から臭い汁が出る6つの原因

    歯茎が臭い | 歯と歯茎の間から臭い汁が出る6つの原因

    歯茎を指で触ってにおいをかぐと臭い、歯と歯茎の隙間から変な味の汁が出るという方は注意が必要です。あなたの歯茎の奥で何か異変が起きているのかもしれません。

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  • 更新日:2016年01月22日

歯磨きしてるのに歯茎が臭いのはなぜ?

指先で歯茎を触ってから鼻に近づけると臭い

「指先で歯茎を触ってから鼻に近づけると臭いがある」「歯茎を押すと変な味の汁が出て臭い」など、歯茎が臭いことにお悩みの方はご注意ください。パッと見で、歯や歯茎に異常がないからといって安心してはいけません。クサいその臭いは歯茎からのSOSのサインなのです。

歯茎が臭い状態を放置しておくと、その原因が何らかの病気によるものであった場合、口臭がさらにひどくなるだけでなく、歯や歯茎に悪影響を与えるリスクも考えられます。臭い歯茎の中で何が起こっているのか、ここで紹介する歯茎が臭い6つの原因を参考に、ご自分の症状に当てはめて気になる臭いの原因を特定しましょう。

歯茎が臭い、悪臭がする6つの原因

1.歯周病

歯周病

歯のセメント質・歯茎・歯根膜・歯槽骨などの「歯周組織」が、細菌に感染することで起こる歯周病は、歯肉で炎症が起こる軽度の「歯肉炎」からはじまります。そして、その炎症が歯周組織に広がり中度の「歯周炎」にまで進行すると、炎症部分が化膿して歯茎から膿が出る「排膿」が起こります。

その歯周病による口臭の原因の一つが、細菌が食べかすを栄養分として取り込んだ際に出す悪臭ガスの「VSC(揮発性硫黄化合物)」です。たまねぎが腐ったような臭いのメチルカプタンや、腐った卵のような刺激臭の硫化水素、生ごみのような臭いを放つジメチルサルファイドなどのVSCを、歯周病の原因菌が歯周ポケットに溜まった歯垢から放出することで、歯茎から強い臭いがするようになるのです。

なお、歯周病患者の口臭からは、特に悪臭の強いメチルメルカプタンが高濃度で検出されることもわかっています。

さらに、化膿した部分に溜まった膿も、歯周病による口臭の発生源となります。白血球が、体にとって異物と認識した細菌を自分の中に取り込んだ後、その死骸の集まりが膿として排出されます。淡黄色のドロッとした膿からは独特な腐敗臭がすることから、炎症が進んで歯周ポケットに膿がたまると余計に歯茎からの口臭がひどくなるのです。

歯周病は口臭が酷くなるだけではなく、重症化すると歯を支えている歯槽骨を溶かし、最悪の場合歯がグラついたり抜け落ちてしまったりする恐れのあるとても恐ろしい病気です。また、最近では、歯周病は糖尿病や誤嚥性肺炎、骨粗しょう症などの全身疾患や、早産(早期低体重児出産)との関わりが深いということもわかっています。「たかが歯周病」と決して楽観視せず、日々のプラークコントロールを見直すことや、必要に応じて歯科医院で早めに治療を進めていくことが非常に重要と言えるでしょう。

2.智歯周囲炎(ちししゅういえん)

智歯周囲炎(ちししゅういえん)

「智歯」とは、10代後半から20代前半に生えてくる第三大臼歯(8番)のことで、親に知られることなく分別のある年齢に生えることから、別名「親知らず」「知恵歯(wisdom tooth)」とも呼ばれています。上下左右の計4本の親知らずは、中には生えてこない人や4本すべて生え揃わない人もいます。

また親知らずは、顎が小さくて十分なスペースがないと、斜めや横向きに生えてくるほか、部分的に歯肉に埋まったままの状態になることがあります。そうなると、歯ブラシによる清掃が行き届かないため、不潔になり歯肉で炎症が起こりやすくなるのです。この親知らずの周囲で起こる炎症を「智歯周囲炎」といいます。智歯周囲炎を発症しやすいのは上顎よりも下顎の親知らずです。

智歯周囲炎は20代の人に起こりやすく、歯茎の腫れや痛みからはじまり、化膿によって歯茎からの「排膿」が起こるため、歯肉の中に溜まった汚れが発酵して異臭を発するほか、膿が口臭の原因にもなるのです。智歯周囲炎によって歯茎の炎症が顎骨などにまで広がると、顔全体が腫れあがったり、口の開閉が困難になったりします。一度治まっても症状を繰り返す場合や、親知らずの生え方や位置が異常で清潔を維持するのが難しい場合、あるいは親知らずによって隣接している歯が押される・虫歯になるなどの場合には、必要に応じて歯肉弁の切開や抜歯治療を行わなければなりません。

3.歯垢や歯石

歯垢や歯石

歯ブラシが届かない部分があったり、歯磨きが不十分な場合、歯垢や歯石が溜まると口臭の原因になります。歯垢は単なる食べかすと思われがちですが、実は「デンタルプラーク」という粘着力の強い物質で、歯垢の中に生息する細菌が硫化水素やメチルメルカプタンなどのガスを放出するため、歯周ポケットから悪臭がするのです。

そもそも歯垢は、虫歯菌が食べかすに含まれる糖を分解する際に産生するネバネバ物質「グルカン」がもとになっています。そのネバネバの中に、さまざまな細菌が棲みついて歯垢(プラーク)が形成されるのです。歯垢1mgあたりに1億個の細菌が生息しているといわれ、水に溶けにくいことから簡単なうがいで洗い流すことはできません。必ずブラッシングなどの物理的な清掃によって除去する必要があります。

さらに歯垢を3日ほど放置すると、唾液中のカルシウムと結合して石灰化し、軽石のような硬さのある歯石になります。歯石の表面には小さな穴が開いていることから、その中で細菌が繁殖して、さらに口臭が悪化します。歯石に変化すると、ブラッシングでは取り除くことが難しくなることから、歯科医院で取ってもらうほか除去する方法はありません。

歯科医院では、「スケーラー」と呼ばれる専門の器具を使って歯石を除去していきます。スケーラーには手用のものや超音波のものなど数種類あり、一般的に歯面などに付着している歯肉縁上歯石は超音波スケーラー、歯肉の下にこびりついてしまっている歯肉縁下歯石は手用スケーラーと、使用する部位や範囲によって使い分けられています。

4.根尖性歯周炎(こんせんせいしゅうえん)

根尖性歯周炎(こんせんせいしゅうえん)

根尖性歯周炎とは、外傷や大きな虫歯で神経が壊死したり、根管治療の失敗によって歯根の先端で起こる炎症のことです。歯根と歯槽骨の間のクッションの役割をする「歯根膜」で炎症が起こることから、別名「歯根膜炎」ともいいます。化膿によって根の先に膿の袋(嚢胞)ができるほか、膿が歯茎から出てくることで、歯茎が臭い原因につながります。

見た目では歯や歯茎に異常が見られないため、痛みが出てから初めて気付くのが特徴です。「歯が浮いたような違和感」や「噛むと痛い」「触るとぐらつきがある」などの慢性的な症状が悪化して、膿の袋が破裂して歯肉が腫れたり、激しい痛みなどの急性症状が出ると、歯科医院での治療が必要になります。

さらに、膿の袋を放っておくと、細菌が血管を通って他の臓器に感染する「歯性病巣感染(しせいびょうそうかんせん)」が起こる可能性が高くなります。

歯性病巣感染の例

  • 心臓・・・狭心症、心筋梗塞、心内膜炎
  • 脳・・・脳梗塞
  • 血液・・・糖尿病
  • 肺・・・誤嚥性肺炎

歯性病巣感染を起こすとさまざまな病気のリスクが高まります。痛くないからといって治療を後回しにせず、早めの歯科の受診が必要です。

5.銀歯やブリッジなどの補綴物

銀歯やブリッジなどの補綴物

治療済みの歯をいくら歯磨きしても歯茎が臭いという場合は、銀歯などの被せ物や詰め物の「補綴物(ほてつぶつ)」が原因かもしれません。歯と補綴物の隙間から食べかすや細菌が入り込んで、補綴物の内側で二次的な虫歯(2次カリエス)が進み、腐敗臭や臭い汁が出てくることがあるのです。

特に、治療から時間が経っている補綴物には注意が必要です。神経を抜いた歯は痛みを感じないことから、気付いた時には2次カリエスがかなり進行していることが多くあります。また、神経が残っている歯の場合、内部で神経が腐ることによって、激しい痛みとともに補綴物の内側から腐ったような臭いがします。

ブリッジの場合は、磨き残しによって食べかすが溜まると口臭の原因になります。ブリッジは抜歯後に、残った両端の歯を土台して橋を架けるように補綴物を被せる治療法です。橋の部分にあたるポンティックの下の部分や土台の根元は歯磨きが難しいため、汚れが溜まりやすく、そこから歯周病を発症して口臭の原因になることもあります。歯ブラシによるブラッシングだけではなく、ポンティックのように磨きにくい部分はデンタルフロスや歯間ブラシ、ヘッドの小さいタフトブラシなどを用いてしっかりと汚れを除去することが大切です。

6.歯肉膿瘍(しにくのうよう)

歯肉膿瘍とは、歯肉の縁や歯間乳頭(歯と歯の間の歯肉)で炎症が起こり、化膿することにより膿が溜まってできる腫れ物のことです。見た目は白色や赤色を呈しており、膿瘍が破裂してフィステルと呼ばれる孔から膿が外に出ると、歯茎から腐敗したような膿の独特な臭いがします。

歯肉膿瘍は、強いブラッシングにより歯茎の表面が傷ついたり、食事の際にエビ・カニの殻や、魚の骨などで歯肉を傷つけた場合に、細菌感染によって傷口が化膿して起こります。また、その他に根尖性周囲炎や、歯を支える歯槽骨の炎症が原因となる場合もあります。

膿瘍は触ると表面がブヨブヨしていて、圧痛のほか排膿とともに出血がみられることもあります。排膿が起こるとこれらの症状は治まりますが、処置をしないと同じ症状を繰り返してしまいます。歯肉膿瘍ができてしまった際には、早めに歯科医院を受診して歯肉の切開を行い、しっかりと排膿して抗生物質による薬物治療を受けることをおすすめします。

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