ドライマウス治療は何科?薬や漢方薬で治せる?
口が乾いていると、「口臭が気になる」「クッキーが食べづらい」など、日常的に困ることがたくさんあります。一時的なドライマウスなら誰でも経験はあると思いますが、ずっと続いている場合はちょっと問題です。放っておくと全身疾患の進行や虫歯につながってしまいます。
そうならないためにも、まずは病院へ行き、適切な治療を行うことが大切です。
病院でドライマウスを治療したい…何科を受診すれば良い?
軽度であれば、ドライマウスに気付かない人も少なくありません。しかし、口の中の渇きに気付いたとしても、「どう対処して良いのかわからない」という人が多いようです。
「ただ口が渇いているだけ」という認識の人も少なくありません。しかし、その口の渇きを進行させないように、早めに適切な治療を行うことが大切です。ドライマウスは口腔疾患なのです。
そのため、ドライマウスは主に歯科の分野で扱われていますが、原因が多様であるため、普通の歯科診療所では限界があるのが実状です。可能であれば、ドライマウス治療を専門としている歯科医院、ドライマウス外来のある歯科系の大学病院を受診することをおすすめします。
病院で行うドライマウス治療
病院に行くと、まずはドライマウスの原因を問診や検査で診断します。
検査には、次のような項目があります。
病院でのドライマウスの検査法
- 唾液分泌量のチェック
- 血液検査
- 画像診査
口の中がどのくらい乾燥しているのか、唾液の分泌量を確認することでドライマウスの進行度を知ることができます。この検査は、どんな原因のドライマウスに対しても行われます。
血液検査やX線・MRIによる画像診査は、放射線治療後のドライマウスや、後にご紹介する「シェーグレン症候群」の場合に必要となってきます。
具体的な治療方法へ
診断の結果、次のような処置方法へ分かれます。
病院でのドライマウスの治療方法
- 原因がハッキリしているもの(薬の副作用など)は、原因の除去
- 疾患によるもの(シェーグレン症候群など)は、疾患の治療
- 加齢やストレス、喫煙などが原因の場合は、セルフケアの指導
1.薬の副作用など原因がハッキリしている場合
問診の際に、唾液分泌の抑制をする薬が入っていないかチェックします。パキシルなどの抗うつ剤や、血圧を下げる薬の副作用が原因であることが多いです。投薬を中止するのではなく、他の薬に変更するなど、その人の体質に合わせて調整していきます。
2. シェーグレン症候群などの疾患が原因の場合
ドライマウスを引き起こす病気はいくつかありますが、その中でも「シェーグレン症候群」は代表的な疾患です。自己免疫疾患という病気の1つで、本来自分を守るはずの免疫が間違って自分自身を攻撃してしまう病気です。唾液腺が壊されることでドライマウスを引き起こします。涙腺を壊してしまうこともあるので、ドライアイの検査をすることもあります。
ドライマウスの根本の原因であるシェーグレン症候群を治す方法は確立されていません。そのため、対症療法(症状の軽減)に努めます。塩酸ピロカルピンという唾液を出しやすくする薬を飲んだり、サリベートという人口唾液を口腔内にシュッと噴いて潤いをアップさせるなどの方法があります。
3. 加齢やストレスなどが原因となっている場合
加齢やストレス、緊張、喫煙なども、ドライマウスの原因になります。この場合、特に大きな問題がなければ、生活指導のみとなります。
年齢を経ると唾液腺が萎縮したり、唾液腺の周りの筋力が低下して唾液が出にくくなってきます。若い人でもストレスによって自律神経が不安定になり唾液が出にくくなることがあります。
ホルモンバランスとドライマウスの関係
ドライマウスは女性に多いとされていますが、ホルモンバランスも影響しています。女性ホルモンの減少により唾液の分泌量も減少するとされています。
そのため、更年期になるとドライマウスの症状が出やすいです。
更年期症状には不眠やイライラ、不安感、孤独感などもありますが、このような症状によって唾液の分泌が抑制されてしまう場合もあります。また、このような症状を軽減するために、抗うつ薬が使用されることも珍しくありませんが、この服薬によって唾液が減少してしまう場合もあります。
このように、更年期の女性には、ドライマウスを招く要因が複数あります。特にドライマウスのリスクが高い時期であると言えるでしょう。薬を服用している場合には、担当医師に相談することも大切でしょう。
漢方薬による治療は可能?
上記の方法は西洋医学的な治療方法です。東洋医学では漢方薬で治療する方法があります。例えば「五苓散(ごれいさん)」という浮腫やネフローゼからくる口の渇きに効く漢方薬や、「白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)」という糖尿病からくる口渇に用いられる漢方薬があります。
これらは漢方薬ですが保険が適用されるため、比較的安価に治療できる場合もあります。ただし、全てのドライマウスに効くわけではない点に注意してください。
一般のクリニックはもちろん、一部の大学病院でも漢方薬による治療を受けることができます。
ドライマウス治療にかかる費用と保険適用
シェーグレン症候群や放射線治療など疾患が原因のドライマウスは保険が適用されますが、他は基本的に自費診療となりますので保険が適用されません。従って歯科医院によって費用は異なってくるでしょう。
初診カウンセリングも保険が適用とならず、費用が高くなってしまう場合もあるため、事前に医院に相談しておくと安心でしょう。
自宅でできるドライマウス治療(セルフケア)
病院に行かなくても、自宅に居ながらドライマウスの対策をすることも可能です。ドライマウスの進行度によっては、自分で行うケアだけでは十分でない場合もありますが、比較的簡単な唾液を増やす方法もあるので、口の中の乾燥が気になる場合には取り入れてみることをおすすめします。
自宅でできるドライマウス対策
- キシリトールガムを噛んだり、すっぱいものを食べて唾液分泌を促す
- 保湿剤を使う
- 唾液腺マッサージ・口腔粘膜マッサージをする
当然のことですが、セルフケアで治らない場合は、病院に行って適切な診断・治療をしてもらうことが大切です。1人で抱え込まずに相談することも時には必要です。
1. キシリトールガム・すっぱい食べ物で唾液分泌を促進!
「そんな当たり前のことか…」と思わずに、実践してみてください。ガムを噛むことは唾液腺を刺激する最も簡単で効果的な方法です。ストレスがある場合は、リラックス効果も備えているので一石二鳥です。
すっぱいものを食べることも効果的ですが、口腔内が酸性でかつ乾いた状態のままだと虫歯になりやすいので、食べた後はお茶を飲むなどして中和させましょう。
2. 保湿剤を使って口の中を潤す
歯がある人はガムを噛めますが、そうでない人は保湿剤を使いましょう。保湿剤には指で塗るジェルタイプのもの、スプレーで噴射するもの、シート状になっているものなど、いろいろな種類があります。シェーグレン症候群でご紹介した人口唾液も保湿剤の1種です。
市販されていますので病院に行かなくても購入できます。種類が多すぎてわからないという方は、一度病院で相談して自分に合ったものを選んでもらいましょう。
3. 唾液腺を刺激して唾液を増やす
唾液腺マッサージは皮膚の上から唾液腺を刺激する方法ですが、口腔粘膜マッサージは口の中から唾液腺を刺激する方法です。例えば、左手で左耳の前のほっぺを4本指でグリグリとマッサージしながら、右手でほっぺの内側からも人差し指で優しくマッサージします。サラサラとした唾液が出てきたら成功です。
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