唾液を増やす6つの方法と口の中が潤うメリット
ドライマウスになった経験のある人はわかると思いますが、唾液が減ると違和感が出たり、ご飯が食べにくくなったりして大変なんですよね…。さらに、口が臭くなりやすいので、人と喋るのがおっくうになってしまうことも…。
普段無意識のうちに分泌されている唾液ですが、実はとても大切な役割を担っています。唾液が減って口の中が渇くことで、さまざまな病気のリスクが高まってしまうのです。
ここでは、唾液の分泌を増やす方法をご紹介します。唾液を増やして、口の中の健康増進、キレイな息の維持につなげていきましょう。
唾液を増やす4つのメリット
そもそも唾液が多いとなぜ良いのでしょうか。唾液を増やすメリットには、主に次の4つが挙げられます。
唾液を増やすことのメリット
- 虫歯予防になる
- 口臭予防になる
- ご飯が食べやすくなる
- 発音しやすくなる
どれも重要な働きですね。では、なぜこれらのメリットが生じるのでしょうか。唾液の働きについて、詳しくみていきましょう。
唾液の作用
私たちがふだん意識せずに産生している唾液には、こんなにたくさんの作用があります。
1. 消化作用
唾液にはアミラーゼという酵素が含まれており、お米などのデンプンを分解する作用を持っています。お米を食べた時に甘く感じるのは、このアミラーゼによってブドウ糖(グルコース)を生じるためです。
2. 浄化作用
唾液に多く含まれているのは、もちろん水分です。水分の流れによって、口臭の原因となる細菌や食べカスを洗い流してくれます。
3. 潤滑、粘膜保護作用
ウイルスに対しての粘膜保護、会話や咀嚼を助ける潤滑作用にもつながっています。細菌が歯周組織を壊し、歯周病にするのを防ぐシスタチンという成分も含まれています。
4. pHの緩衝作用
通常、ご飯を食べると口腔内が酸性に傾きます。そのままにしておくと、歯が酸によって溶かされたり、虫歯になりやすくなったりしてしまいますが、唾液でpHを調節することによって健常な状態に維持してくれます。
5.再石灰化作用
唾液に含まれるスタテリンやカルシウムイオンが歯にくっつくと、歯を強くする再石灰化という現象を起こしてくれます。あとちょっとで虫歯になりそう…というリスクのある歯を、健康な状態に戻してくれるのです。
唾液を増やす主な6つの方法
では、唾液を増やすには具体的にどうしたら良いでしょうか。方法は複数あり、次のようなものがあります。
1.ご飯をよく咬む
「ご飯を口に入れたら30回は咬みましょう」と、よく言われていますね。たくさん咬むことで唾液腺が刺激されて唾液がたくさん出るようになります。
また、同じ量の食事でも多く咬んだ方が、満腹感が増します。さらに食べ物を小さくすることで消化の助けにもなり、胃に優しい食事ができるようになります。ご飯をよく咬むことは、メリットがたくさんあるのです。
2.ガムを咬む
ご飯でなくても、ガムを咬むことで同様に唾液腺の働きが活性化し、多くの唾液が分泌されます。緊張している時や疲れている時に咬めば、リラックス効果も得られます。虫歯にならないように、シュガーレスのガムを選ぶと良いでしょう。
唾液の分泌を増やすことを目的に飴をなめる人もいるようですが、虫歯に気を付ける必要があります。最近は、「虫歯になりにくい」としてトクホにも認定されているガムも多数あります。虫歯予防が十分に行えないならば、砂糖を含まないガムをおすすめします。
3.唾液腺マッサージをする
ドライマウスの人の治療や介護の現場では、唾液腺マッサージが非常によく使われていて、とても効果的な方法です。手で直接唾液腺の近くを刺激するというやり方ですが、耳下腺・顎下腺・舌下腺という3つの主な唾液線が対象になります。
1. 耳の前の耳下腺のマッサージ
耳下腺はほっぺの耳に近いところに存在します。ギュッと咬むと筋肉(咬筋)が固くなりますが、そのあたりです。指を4本、耳たぶと同じくらいの高さに当てて円を描くように押しながら回してください。
2. 顎の下の顎下腺のマッサージ
顎下腺は顎のラインよりちょっと下の、顎と首の間のところにあります。エラよりは前方です。ここを、親指で押してあげましょう。
3. ベロの下の舌下腺のマッサージ
舌下腺は顎の真下にあります。ここも親指を使って頭のてっぺんに向かって力を入れるようにギュッギュッと押してください。
1〜3を数回繰り返して日常的に行いましょう。ちなみに、サラサラした唾液を出すのは耳下腺、サラサラした唾液とネバネバした唾液の両方を出すのは顎下腺と舌下腺です。
4.舌回しエクササイズをする
最近流行っている舌回し体操は、顎の下の筋肉を鍛えて引き締めたり、舌下腺を刺激して唾液を出しやすくする体操です。方法は次のようになります。
舌回しエクササイズの方法
- 経路はくちびると歯の間をなぞるように、ほっぺを押すようにしながら舌を回す
- 疲れたら顎や頬をマッサージ
時計回りに3回やったらマッサージして、今度は反時計回りも3回行いましょう。舌と同時に視線も同じ方向に動かすことで、眼輪筋を使い顔全体の筋肉を鍛える効果もあるようです。数日続けるとほうれい線が消えるなどの嬉しい声も上がっています。
また、口蓋にも口蓋腺という唾液腺があるので、ここを舌で押すのも良いでしょう。
5.ストレスを減らしてリラックスする
ストレスで緊張状態にあると、交感神経が働いて唾液が出にくくなったり、ネバネバした唾液になってしまったり、口臭につながる恐れがあります。逆にリラックスした状態では、副交感神経が働いてサラサラした唾液が多く出るようになります。
6.薬の副作用に気をつける
これは唾液を増やすというよりは、減らさないための対策です。抗不安薬などの副作用には、唾液抑制作用があるので注意してください。
薬の副作用によってあまりに乾燥が気になる場合には、自分の判断だけで薬の服用をやめたりせず、主治医に相談することが大切です。
唾液の量を調べるには?
唾液を増やす方法は自宅でも行えますが、唾液の分泌量を正確に測るには病院で検査してもらわないとわかりません。主な検査法には次のようなものがあります。
唾液の量の調べ方
- ガムを10分間咬んで、出てきた唾液を集めて計量する
- ガーゼを2分間咬んで、その後唾液のしみ込んだガーゼの重さを量る
重篤な唾液分泌抑制を引き起こす「シェーグレン症候群」では、X線で唾液腺を撮影して画像診断をすることもあります。この疾患ではドライマウスだけでなくドライアイが起きる事もあります。自己免疫疾患の一種であり、発疹などのアレルギー症状も出現します。もし乾く症状やアレルギーが同時に出たら、病院に行って早めに診てもらいましょう。
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