ドライマウスの原因は?適切な治療をするために何科を受診する?
ドライマウスは女性に多いと言われていますが、単に口の中が乾燥するだけでなく、口臭など多くの悪影響を及ぼします。人口の約1/4が口の中が乾燥しているという欧米の疫学調査もあり、ドライマウスの人の割合はとても高いとされています。日本の推定されているドライマウス潜在患者の数は3000万ともされているほどです。
「口の中が渇きやすい」と認識していながら、何の対策も取っていない人が多いとか。口の中が渇くことの怖さを知らない人も多いです。正しい知識を身に付けて、ドライマウスを早めに対処することが大切でしょう。
ドライマウスとは?
ドライマウスは、「口腔乾燥症」とも呼ばれていますが、その名の通り口の中が乾燥しやすい状態を言います。口の中が乾燥しやすくなるのは、唾液の分泌が減少してしまうこと・脱水の状態になってしまうことが原因です。
これらを引き起こす要因は一つではないため、自分に合った対策を取ることが必要になります。
唾液には、口の中を清潔にする働きがありますから、唾液分泌が減ったりして口の中が乾燥すると、細菌が繁殖しやすくなって、口臭だけでなく虫歯や歯周病のリスクを高めることにつながります。舌のひび割れ・味覚障害・発音障害などを引き起こす場合もあります。
「口の中が乾燥しやすい」という人は、恐ろしい症状が現れる前に、適切に対処することが必要なのです。
女性に多いのはなぜ?ドライマウスの主な原因は?
ドライマウスの主な原因は次のようなものがあります。
- 薬の副作用
- ストレスや緊張
- 病気
- 加齢
- 口呼吸
1.薬の副作用
抗うつ薬や精神安定薬などの副作用によって、唾液の分泌が減り、ドライマウスとなる場合もあります。唾液分泌に影響する薬は多岐に渡り、鎮痛薬や花粉症の薬、高血圧の薬なども含みます。
短期的な服用ならば、それほど心配要らないと言えますが、長期間服用が必要となる場合には、ドライマウスに注意が必要でしょう。ドライマウスの症状に気付いたら、早めに主治医に相談することをお勧めします。
更年期症状を改善するための薬がドライマウスを招くことも
更年期によって唾液分泌が減少するのではなく、更年期の症状改善のための薬によって、唾液分泌が減少してしまうケースが多いです。
更年期障害によって、さまざまな不定愁訴や不安感に悩まされ、抗うつ薬を使用している女性も多いです。抗うつ薬や精神安定剤などは唾液分泌に影響しますから、そのためにドライマウスになってしまうのです。
また、ドライマウスの症状へのストレスが、さらにドライマウスの症状を悪化させてしまうこともあります。更年期のドライマウスは、複合的要因が関係しているケースも少なくないのです。
2.ストレス・緊張
ストレスや緊張による交感神経への刺激が、唾液の分泌を減少させてしまいます。近年、働く女性にドライマウスが増えていると言われていますが、ストレスが主な原因とされています。
ストレスが全くないという人はいませんが、常に強いストレスにさらされていると、唾液の分泌をコントロールしている自律神経のバランスが乱れ、唾液の分泌が低下して、口の中の乾燥を招いてしまうのです。
ストレスによる悪循環に陥ることも…
ストレスによってドライマウスとなり、口臭に悩まされる人も多くいます。しかし、その口臭がさらなるストレスとなって、口臭やドライマウスを悪化させてしまうこともあるのです。
ストレスを溜めすぎないことや、うまく付き合うことが大切ですが、自分のストレスに気付いていない人も多いため、ストレスを自覚すること・気付くことが重要だとされています。
3.病気
シェーグレン症候群や糖尿病などの病気が原因で唾液の分泌が減少し、口の中が乾燥する場合もあります。なお、ドライマウスはシェーグレン症候群の特徴的な症状の一つとなっています。
しかし、ドライマウスの原因は多岐に渡るため、単にドライマウスと認識してしまい、その陰に隠れた病気に気付かない場合もあります。病気の進行を防ぐためにも、自分のドライマウスの原因を正しく知ることは大切なことです。
糖尿病でドライマウスになるのはなぜ?
糖尿病の症状に「脱水」があります。高血糖の状態になると、高血糖の状態を軽減するために、水分が多く血管中に取り込まれてしまうためです。高血糖の状態になると、喉が渇いたり、たくさん水分を摂取することによって多尿になったりするのも、これが原因です。
体内の水分が不足することによって、唾液の分泌も低下し、ドライマウスを招いてしまいます。高血糖の状態を作らないために、適切な血糖コントロールが必要になります。
4.シェーグレン症候群
シェーグレン症候群をよく知らないという人も多く、認知度の高くない病気と言えるでしょう。しかし、1年間に潜在的患者を含め、10万人を超えると予測されたりしています。
自己免疫によって起こる病気であり、原因は明確になっていませんが、遺伝や環境など様々な要因が複合的に関連して発症すると考えられています。女性ホルモンも発症要因の一つとされていて、罹患者の割合は女性の方が多くなっています。
ドライマウスだけでなく、ドライアイなどの症状が起こりますが、シェーグレン症候群特有の症状ではないため、病気の発症に気付かないケースも多いと言えるでしょう。
5.加齢
年齢を重ねるごとに、唾液の分泌が減少する傾向があります。口周りの筋肉の衰えなどが原因で、咀嚼回数が減少し唾液分泌量が減少してしまうことが影響しています。
加齢に伴う口腔周囲筋の衰え
年齢を重ねるごとに口周りの筋肉(口腔周囲筋)を使わなくなってきます。高齢になると、歯を失ってやわらかいものばかり食べるようになる傾向や、人との交流が少なくなる傾向が見られます。
そのため、若い年代に比べて、笑ったり、よく噛んで食べたり、会話をしたり…といった口を動かす機会が少なくなってしまうのです。
口腔周囲筋のトレーニングを行い、鍛えることで咀嚼力の回復・唾液分泌の促進などの効果が得られますが、それだけでなく、口腔周囲筋を鍛えることで、表情が若々しくなる・誤嚥性肺炎を防ぐ・口の働きがスムーズになる、といった効果も期待できます。
6.口呼吸
口呼吸は、子供に多いという印象が強いかもしれませんが、大人にも見られます。ドライマウスの原因になるだけでなく、病気のリスクを高める要因になるため、改善が必要でしょう。
口呼吸の原因はさまざまありますが、意識するだけでは治せない場合もあります。口呼吸の原因はさまざまあり、歯科領域の原因が関係している場合、耳鼻咽喉科の領域となる原因が関係している場合など多岐に渡ります。
適切な対処が必要となるため、早めに専門家に相談することをお勧めします。
口呼吸を相談するのは耳鼻科?歯科?
鼻炎など鼻の病気が原因となっている場合にも口呼吸になります。「鼻呼吸が苦しくてできない」といった場合には、まずは耳鼻科で相談すると良いでしょう。
また、歯並びが気になる場合や原因がわからない場合には、歯科で相談することが可能です。
ドライマウスは現代病!?食生活の変化も原因に…
噛むことによって唾液分泌が促進されますが、現代人は噛む回数が減少しています。ファーストフードなどのよく噛まなくても食べられる食品が増えたり、忙しさから早食いになってしまう人が増えたりしていることが要因となっています。
よく噛むことで得られる効果は唾液分泌の促進だけでなく、脳の活性化、肥満防止、胃腸の働きを良くするなど、たくさんあります。よく噛むことを、普段から意識することが必要でしょう。
また、咀嚼回数が減っているのは大人だけではありません。成長期によく噛むことは、唾液腺の発達にも影響しています。子供のうちから、よく噛んで食べる習慣を身に付けることが大切です。
ドライマウスの原因究明は大切!その場しのぎの口臭対策は注意
ドライマウスの原因はさまざまですし、引き起こされる症状も多くあります。ドライマウスがきっかけで、口臭がきつくなるだけでなく、発音に障害をきたしたり、舌の痛みなどにより摂食に障害をきたしたりすることもあります。
単に口臭対策を行うだけでは、ドライマウスを進行させるだけでなく、ドライマウスの原因となっている病気・症状を進行させてしまうことにつながりかねません。
早めに専門家に相談し、適切な治療を開始することが大切です。
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