膿栓は自分で除去できる?病院での処置は?
皆さんは、クシャミや咳をするとたまに出てくる膿栓(臭い玉、臭玉)を見たことがあるでしょうか。
膿栓は加齢臭のような、生ゴミのような、とても不快なニオイを放つ白い塊です。口の中を見ると、喉にある扁桃腺上に白いプツプツが付着している方がいますが、それが膿栓というものです。
膿栓は成長すると1cmほどにまで巨大化することもあれば、石のように硬くなることもあります。今回は、不快な膿栓を除去する方法をご紹介します。
膿栓を自分で除去する方法
膿栓はその名の通り、膿の塊です。膿というのは細菌や白血球の死骸、食べカス、垢などで構成されています。喉の奥の左右にある、扁桃腺という免疫器官の表面の凹みに生じます。
膿栓ができたことがある方ならわかると思いますが、膿栓が溜まっているとゴックンと嚥下をした時に臭いニオイが漂ってきて、かなり不快です。口臭も気になりますし、扁桃腺の見えるところに白い膿栓があるとどうしても取ってしまいたくなりますよね。毛穴の角栓や皮脂汚れを取り出したい感覚に近いかもしれません。
では、そんな膿栓を自分で除去する方法には、一体どんなものがあるのでしょうか。
1.綿棒で除去する方法
セルフで膿栓を除去する方法として挙げられるのが、綿棒による除去方法です。まずは汚れていない綺麗な綿棒、鏡、ペンライトを用意します。
鏡を見ながら口を大きく開けます。このとき、口を開けたまま「アー」と発声すると喉が広がり、奥が見えやすくなります。また、舌を下方に下げるように力を入れると、なお見えやすくなります。
口の中は暗いのでペンライトを使って照らし、左右に位置する扁桃腺の凹みに膿栓が見えたら、膿栓だけに綿棒が当たるように近づけ、軽い力で掻き出します。
柔らかい膿栓の場合、分解させて小さくなってしまうと取り除くのが大変なので、できるだけ塊で取り除けるように注意深く行ってください。それでも取れなければ、綿棒を凹みの周りの扁桃腺に当て、膿栓を押し出すように軽く押します。
強く同じ箇所を押し続けると傷つけてしまうので、場所を変えて何回か行ってください。どうしても取れない膿栓をしつこく取り続けるのは危険ですので、数分いじっても取れなければ諦めましょう。
綺麗な綿棒とはいえ、バイ菌が感染すると扁桃炎を起こしてしまいます。膿栓除去を終えた後は、感染防止のため、必ずイソジンなど殺菌作用のあるうがい薬でうがいを行いましょう。
2.ピンセットで除去する方法
ピンセットでの膿栓除去は、綿棒より操作性は上がりますが、鋭利な器具なので大変組織を傷つけやすく、細かな注意が必要です。危険なのでおすすめはできません。
ピンセットは使い捨ての滅菌済のものが用意できればベストです。ネット通販では、使い捨てのプラスチック製のものが1本あたり60円前後で売られています。金属製のピンセットは自宅で滅菌することはまず無理なのでおすすめしませんが、石けんでよく洗ってお湯を沸騰させた鍋で、15分間煮沸消毒を行う、消毒剤のエタノールやヒビテンで殺菌を行うなどの対策をしてください。
綿棒の時と同様に鏡を見て、ライトを照らしながら膿栓を摘んで取ります。取り除いた後はイソジンでうがいを行い、細菌感染を予防しましょう。
3.耳かきで除去する方法
耳かきで除去する方法も、ピンセット同様、あまりおすすめはできません。「自己責任でどうしてもやってみたい」という方には、LEDライト付きの耳かきが便利です。
膿栓除去は本来の耳かきの使用目的とは異なりますので、十分に注意しながら行いましょう。
4.水圧で除去する方法
水を勢いよく当て、水圧で膿栓を洗い流す方法です。シャワーを使って挑戦している方もいますが、やや不衛生です。口腔洗浄機のウォーターピックも水圧が高く危険ですので、膿栓除去を目的とした使用は控えましょう。
ここでは、使い捨てのプラスチック製の注射器を用いた方法をご説明します。注射器は通販や薬局、東急ハンズ、100均などで購入できます。スポイト、あるいはシリンジと称していることもあります。何mlでも構いませんが、口腔内に入れるため小さい方が使いやすいです。
膿栓が溜まった扁桃腺の凹みに注射器の先端を少しだけ差し込み、水をチョロチョロと出し、力の入れ加減に慣れたら出す量を増やして、徐々に水圧を上げて膿栓を除去していきます。
水圧で取れない場合も、通常の状態よりは取れやすくなっているので、綿棒を使って優しく除去するとよいでしょう。
5.うがいをして除去する方法
膿栓は食べカスからも生成されるため、食事後のうがいは膿栓予防のポイントとしてとても重要です。膿栓として作られる前に扁桃腺の汚れを落として、常に清潔な状態に保ちます。うがいにはイソジン、アズノールといったうがい薬を使用しましょう。
また、殺菌作用や抗炎症作用がある塩水でのうがいもおすすめです。方法はコップ1杯のぬるま湯に、塩を1さじ入れるだけですので、うがい薬がないときの代用として試すのもよいでしょう。
6.くしゃみをして除去する方法
それなりの大きさになった膿栓は、咳やクシャミをすることによって飛び出してきます。気長に待つ根気が必要な方法ですが、自然にくしゃみが出るのを待ちましょう。
ティッシュでこよりを作って鼻腔を刺激し、クシャミを促すこともできますが、何回も続けてクシャミをすると喉を痛めるので避けるのが賢明でしょう。
膿栓を自分で除去するのは危険?
自分で膿栓を除去する方法をいくつかご紹介しましたが、扁桃腺はデリケートな器官であるため、いざ自分で除去する際には注意が必要です。
どうしても気になる場合は耳鼻科へ
最も安全な方法は、やはり専門の耳鼻咽喉科を受診し、医師に膿栓を除去してもらうことです。病院で行われるのは、吸引機による除去方法や、専用の金具を使って圧迫する除去方法、洗浄など様々です。ただし、膿栓は1度に完璧に取れるというわけではなく、何度か通院を必要とするケースもあります。
また、臭い玉による口臭や違和感を気にしすぎて何回も処置すると、精神的にも身体的にも良い影響は与えませんので、そういった方には積極的な処置はおすすめできません。慢性扁桃炎、扁桃腺肥大(アデノイド)の方は、場合によっては扁桃腺ごと除去する外科手術を行います。
膿栓は除去しても繰り返しできます
気になってどうしても除去してしまいたくなる膿栓ですが、膿栓は一度除去しても繰り返しできます。
また、膿栓のできやすさには個人差があり、体質的に膿栓ができやすい方も少なくありません。扁桃腺の形は人によって異なるため、扁桃腺の形状が凸凹している人ほど膿栓が溜まりやすくなります。
子供の頃から口呼吸を習慣的に行っていると、扁桃腺が肥大化しやすく、膿栓のできやすい扁桃腺になる傾向があります。大人で口呼吸をしている方の場合は、喉が常に乾燥しているので唾液の分泌量が減り、頻繁に扁桃炎を起こすために膿栓ができやすくなります。
さらに、免疫力が落ちている風邪やインフルエンザの際にも、免疫系の細胞が一生懸命働いた名残で、膿栓ができやすい傾向があります。
扁桃腺の形を変えることは手術を伴うため困難ですが、口呼吸はある程度改善することができます。自分で膿栓を除去するというよりは、口呼吸を改善する、こまめに水分補給をして口腔内の乾燥を防ぐなど、膿栓を予防することが大切と言えるでしょう。
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