イスロが口臭に効くって本当?効果/成分/服用時の注意点
「お腹の調子が悪い」「胃がムカムカして気持ち悪い…」そんな時に服用する薬には「セルベール」「パンシロン」「スクラート」など様々な種類の胃腸薬があります。多種多様な胃腸薬が多くのメーカーから販売されていますが、市販されている胃腸薬の中に、「イスロ」という薬があります。イスロは胃腸薬ですが、口臭の予防にも効果があると話題になっています。
今回は、イスロとはどんな薬なのか、なぜイスロが口臭予防に効くとされているのか、どんな臭いに効果があるのかについて、詳しく解説していきます。
イスロとはどんな薬?
イスロは、ゼネル薬品工業というメーカーから販売されている第3類医薬品の胃腸薬(胆汁製剤)です。吐き気や胃もたれ、食べ過ぎ・飲み過ぎなどによる胸やけ、腹部膨満感、食欲不振などいった胃腸系の不調に対し効果があります。
第3類医薬品というのは医薬品の分類のひとつです。医薬品は厚生労働省の認可によって1・2・3の3種に分類されており、1に近づくほど効果が強く、リスクが高いものになります。つまり、第1類医薬品や第2類医薬品と比べ、第3類医薬品は副作用が少なく比較的安全ということです。
第1類医薬品は薬剤師のいるお店で購入しなければいけませんが、イスロのような第3類医薬品はインターネット上でも購入が可能です。
胆汁製剤とは?
肝臓では1日に約1Lの胆汁が分泌され、胆のうという臓器に溜まっていきます。胆汁とは、肝臓で分泌される消化液のことです。胆汁はビリルビンやコレステロールなどから構成されており、食事後には十二指腸に流れて脂肪を消化し、身体に不要な成分を排出します。胆汁製剤は、この胆汁の分泌を助ける成分が含まれている薬剤のことを指します。
十二指腸にたどり着いた胆汁は腸壁から吸収され、肝臓に出戻り、再び胆汁として分泌されます。このリサイクルを腸肝循環(ちょうかんじゅんかん)といいます。胆汁製剤があると、腸肝循環が促進されるので胆汁が増えるのです。
イスロの薬用成分
イスロには、「ケイ酸アルミニウム」「バレイショデンプン」「乳糖」「タルク」「l-メントール」「ヒドロキシプロピルセルロース」「ステアリン酸マグネシウム」などの添加物のほか、薬用成分として「胆汁末」「デヒドロコール酸」「センブリ末」の3種類が配合されています。
それぞれの薬用成分がどのような役割を担っているのか、詳しく見ていきましょう。
胆汁末(たんじゅうまつ)
胆汁末とは胆汁の分泌を促進するための成分で、デオキシコール酸(デソキシコール酸)やコール酸のことを指します。胃腸の働きを良くする効果があります。
中国では古くから「熊胆(ゆうたん)」といって、熊の胆のうを乾燥させたものを生薬として利用してきました。この熊胆にはウルソデオキシコール酸という胃薬成分が含まれており、胆汁末の原料となっています。
デヒドロコール酸
デヒドロコール酸はコール酸が変化したものです。胆汁酸のひとつであり、コレステロールから生成されます。
胆汁末と同様、胆汁の分泌をアップさせ、かつ脂肪を消化しやすい形にして胃もたれを防ぐ効果があります。強い洗浄力を持ち、肝臓の病気や胆汁の流れが悪い場合にも用いられます。
センブリ末
センブリというのは、綺麗なピンクがかった白い花の咲く薬用植物です。ゲンノショウコやドクダミなどに並ぶ三大民間薬で、日本では江戸時代から当薬(とうやく)と呼ばれ、古くから胃薬や腹痛薬として利用されてきました。
センブリは乾燥したものを煎じて飲んだり、身体に塗ったりして使います。センブリ中のセコイリドイド配糖体という強い苦味の成分が胃液・唾液の分泌も促し、食欲不振を解消する効能があります。
また、センブリエキスは胃だけでなく髪の健康を保つ効果もあるため、育毛シャンプーにも配合されています。
イスロの用法・用量
イスロには主に錠剤、顆粒剤、ドリンク剤の3形態が揃えられています。中でもオーソドックスなイスロの錠剤は、108錠、240錠、480錠と3サイズ販売されています。
イスロ錠は1日に3回、食後に数錠を服用します。年齢ごとに服用量は異なりますので、服用時に必ず確認し、決められた用法用量を守るようにしてください。
- 大人(15歳以上)…1回につき6錠
- 15歳未満…4錠
- 11歳未満…3錠
- 8歳未満…2錠
- 5歳未満の子供…服用できません
イスロが口臭に効果があるって本当?
「イスロが口臭の予防に効果がある」という口コミが話題となっています。イスロは胃腸薬なので、口臭抑制に効くとすれば胃や腸などの消化器系の調子が悪い方に対してでしょう。
また、イスロに含まれているセンブリには唾液分泌作用があります。唾液には抗菌作用や口腔内の汚れを洗い流して口腔内を潤す力がありますので、イスロは唾液不足が原因で発生する口臭にも一定の効果があると考えられます。
もちろん、イスロはメーカー側が「口臭に効果がある」と提言しているわけではないため、「イスロを飲めば必ず口臭が消える」とも限りません。
口臭を完璧になくすためには、根本的な口臭の原因がどこにあるのかを知ること、口腔内のトラブルや病気が原因であると判明した場合には、まずはその病気の治療を最優先とすることが最も大切と言えるでしょう。
イスロを服用する際の注意点・副作用
イスロ錠を服用するにあたって、いくつか留意すべき点があります。以下に該当する方は、自己判断でイスロを飲んでしまうことのないよう注意が必要です。
- 持病のある方
持病などで定期的に病院の診察を受けている方は、主治医に相談した上で使用するようにしましょう。特に肝・胆道疾患を持っている方は、影響が大きいため自分の判断で飲まないようにしてください。
- 妊娠中の方
妊娠中の女性は、母体だけでなく子供にも副作用が及ぶ可能性があります。妊娠中の使用は避けるか、必ず医師に相談してからにしましょう。
- アレルギー性疾患のある方
アレルギー性疾患を持っている方の場合、念のため主治医に確認してから使用してください。
イスロ錠を2週間以上飲んでも病状が改善されない場合には、服薬を中止して病院を受診し、イスロ錠を服用していることを伝えて医師の判断を仰ぎましょう。
イスロには顆粒タイプもあります
イスロには顆粒タイプのものもありますが、錠剤タイプとは含まれる成分が異なります。
イスロ顆粒には制酸薬である沈降炭酸カルシウムが配合されており、胃酸を中和して抑える働きがあります。その他、胃の粘膜を保護して胃酸を抑制し、胃炎や胃潰瘍を防ぐメタケイ酸マグネシウム、胃酸の分泌そのものを抑えて痛みを鎮めるロートエキス、さらに生薬としてケイヒ、ガジュツ、ショウキョウ、チンピ、ソウジュツなどが含まれており、抗炎症効果があります。
顆粒タイプのイスロには、錠剤のイスロに比べて制酸・鎮痛効果が加わっているのです。
顆粒タイプは第2類医薬品
イスロの顆粒タイプは第2類医薬品なので、服用する場合には充分な注意が必要です。
副作用として、皮膚にかゆみや発疹が出たり、下痢や便秘などの症状が起こったりする場合があります。また、授乳中の方の場合、母乳が出にくくなるなどの症状が出ることがあります。
なお、透析治療を受けている方や他の胃腸薬・腹痛薬を飲んでいる方は、イスロ顆粒の服用はできません。
薬は、使用方法を守らなければ効果が半減したり、場合によっては身体に毒となってしまったりすることもあります。正しく使用して適切な効果を得ましょう。
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