サンクロンで口臭を除去!歯周病の予防効果も
口臭を予防する効果があると言われている薬に、「サンクロン」という商品があります。薬局などで見かけたことのある方も多いかもしれません。サンクロンは緑色をしているため一見すると青汁のようですが、その成分は青汁とは異なります。
サンクロンとはどんな原料を使った薬で、どんな成分が口臭予防に効果をもたらしているのでしょうか。
サンクロンとは?成分・用法容量
サンクロン(散苦緑)は、口臭や体臭に対する消臭効果、口内炎、歯槽膿漏、疲労の回復や食欲不振に対し効果がある薬です。株式会社サンクロンという、商品名と同名の会社から販売されています。
サンクロンは濃緑色の小瓶に入った液体状の薬で、抹茶のような苦みがあり、ややしょっぱい味がするというのが特徴です。野菜が好きではない方は苦手に感じる可能性があります。
サンクロンは第3類医薬品
サンクロンは第3類医薬品に分類されますが、この分類は何を意味しているのでしょうか。
薬には「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」の3種類があります。このうち、病院で処方される薬を含む、ハッキリとした効果がある薬が「医薬品」です。「医薬品」は、「医薬部外品」や「化粧品」に比べると効き目が強い傾向にあります。サンクロンは医薬品なので、十分な効果が期待できる薬ということです。
医薬品の分類について
医薬品はさらに細かく「第1類」、「第2類」、「第3類」に分類されています。数字が小さいほど薬理作用が強く、リスクが高い薬となります。サンクロンは第3類医薬品なので、医薬品の中ではリスクは低めで、対面販売に限らず、ネットや通信販売でも購入可能とされています。
サンクロンの歴史
サンクロンの誕生は1949年、厚生労働省に医薬品として承認されたのは1954年のことですから、とても古い薬です。医学博士である初代の金子卯時雨(うじう)社長が、牛や馬が笹の葉を食べて元気に成長している姿を見て、人間にも応用できるのではないかと考えたのが始まりです。
特に現代人には緑色野菜が不足していますから、その栄養素を補えるという点でも笹は有効でした。西洋医学というよりは、漢方薬などを扱う東洋医学に近い考え方といえるでしょう。
笹にはチシマザサ(千島笹)やマキザサ(巻笹)などの様々な種類がありますが、その中でも金子社長が注目したのが、民間薬・漢方薬・生薬として昔から使われてきたクマザサです。クマザサの細胞から特許取得した方法で抽出したのが、主成分のクマザサ原形質液になります。
ただ抽出しただけでなく、植物の細胞を取り囲む細胞壁を壊して抽出しているので、サンクロンは体内により吸収されやすい形で製造されているといえます。
サンクロンの成分
サンクロンの添付文書によると、主な成分は1本あたり、およそ300枚ものクマザサの生葉を原料としており、油溶性のクロロフィリンを加水分解することで水溶性とした銅クロロフィリンナトリウムを含んでいると記載されています。
銅クロロフィリンナトリウムには消化性潰瘍に対して治癒効果があるので、胃炎や胃潰瘍の薬に含まれていることもあります。例えば、エーザイから販売されている胃薬「サクロン」が挙げられます。サンクロンと名前が似ており、どちらも葉緑素(クロロフィル)である銅クロロフィリンナトリウムを含んでいるので、緑色をしています。
また、銅クロロフィリンナトリウムによる抗炎症作用は、胃の粘膜を保護して食欲不振を解消するだけでなく、歯槽膿漏(歯周病)や歯周組織の修復(口内炎)にも効果があるとされています。
サンクロンの用法・容量
サンクロンは原液なので薄めて使います。お湯やお茶でもいいですし、独特の味が苦手な方は、牛乳やヨーグルトに混ぜると飲みやすいでしょう。
成人の場合は1回につき約2~3mL、子供の場合は約1~1.5mLの容量で、食事後2時間ほど経ってから服用します。1本につき120mLなので、だいたい60回程使用することができます。
サンクロンの口臭予防効果とは
サンクロンの口臭予防作用の秘密は、主原料であるクマザサに含まれる成分銅クロロフィリンナトリウムにあります。サンクロンには0.23~0.27%の銅クロロフィリンナトリウムが含まれていますが、口臭に対し、一体どんな効果を発揮するのでしょうか。
1.口臭物質である揮発性硫黄化合物(VSC)を阻害
口臭の原因の大きなウェイトを占めるのは、揮発性硫黄化合物(VSC)と呼ばれる物質です。揮発性硫黄化合物とは、口腔内の細菌が垢や血球などのタンパク質を分解した際に産生する、嫌なニオイのするガスで、主に硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドという3種類のガスを示します。
揮発性硫黄化合物は舌の表面の舌苔(ぜったい)中に存在していることが多く、銅クロロフィリンナトリウムには、この揮発性硫黄化合物を阻害・吸着する作用があると考えられています。
2.歯周病を防いで口臭予防
歯周病になると、揮発性硫黄化合物のうち、特にメチルメルカプタンが高濃度で検出され、腐ったタマネギのような強い口臭を放つようになります。
クロロフィリン由来の銅クロロフィリンナトリウムには抗菌作用があるため、歯周病に対しても一定の効果を発揮します。歯周病が改善されれば、口臭の原因となる揮発性硫黄化合物の発生が少なくなり、膿も排出も抑えられるため、口臭を抑制する効果が期待できます。
サンクロンの副作用・注意点
サンクロンは危険性が低く、副作用も少ない薬です。防腐剤や着色料などの添加物は使用されておらず、妊娠中の服用も問題ないとされています。
大量に服用することで便が緑色になる場合がありますが、これも銅クロロフィリンナトリウムの着色によるものであり、特に心配する必要はありません。
しかし万が一、皮膚に発疹やかゆみなどのアレルギー症状が出たり、腹痛・吐き気・下痢・便秘などの症状が起こったりした場合は、ただちに使用を中止し、内科で診察を受けましょう。また、子供が服用する際には、必ず大人が見届けるようにしてください。
開封した後は、変性しないように冷蔵庫に保管し、2ヶ月以上経ったものは使用しないようにしましょう。
歯周病には治療が必要です
サンクロンを服用して一時的に口臭が消えたとしても、歯周病は治療をしなければ治らない病気です。根本的な口臭の原因を解決するためにも、歯科医院を受診し、適切な治療を受けることが重要となります。歯科医院を受診する際には、担当の歯科医師に口臭予防としてサンクロンを服用していることを忘れずに伝えておきましょう。
サンクロンには外用薬の軟膏もあります
サンクロンには内服薬のほか、「サンクロン軟膏」というアルミチューブ入りの外用薬も販売されています。こちらも第3類医薬品で、サンクロンと、ワセリン成分からなる軟膏を半分ずつ混合したものになります。サンクロン軟膏は1日に数回、皮膚に塗ることで効果を発揮します。
皮膚に塗る薬なので口臭予防に効果はありませんが、肌馴染みがよく浸透力に優れており、銅クロロフィリンナトリウムの抗炎症作用・抗菌作用により、ニキビなどの肌トラブル、切り傷・火傷・ただれなどにも有効です。
サンクロン軟膏は敏感肌の方や赤ちゃんでも使うことができるので、気になった方は内服薬と合わせてぜひ使用してみてください。
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