仁丹の効果とは?口臭予防に役立つって本当?
皆さんは、「仁丹(じんたん)」とい家庭薬をご存知でしょうか?仁丹とは森下仁丹から発売されている「口中清涼剤」で、医薬部外品の一種です。医薬部外品とは、医薬品と食品の間に位置づけられ、薬ではないけれども効果があるとされているもののことを言います。
仁丹は銀色の小さな丸い粒をしており、独特な匂いを放ちます。最近では年輩の方々を中心に愛飲されていますので、若い世代の方にはあまり馴染みがないかもしれません。
今回は、仁丹の効果や含まれている成分をはじめ、副作用、摂取時の注意点などについて解説していきます。
仁丹とは?味や香りは?
現在販売されている仁丹は銀色をしていますが、1905年に発売された当初は「赤大粒仁丹」という、読んで字の如く赤い色をした丸薬でした。保存性や携帯性を考慮し、酸化鉄顔料であるベンガラで生薬をコーティングしていたのです。その後は改良を重ね、赤い色から現在のような銀色の丸薬へと変わっていきました。
仁丹の銀色は銀箔のコーティングによるもので、舌で軽く転がすだけで中の生薬が出てくるほど薄い銀箔で包まれています。
仁丹の歴史
仁丹は明治時代から中国やインドに輸出され、特にインドでは大変な知名度を誇っていました。この他にもチリやハワイ、タイ、インドネシアといった世界13か国以上の国々に輸出された、日本発の国際的な嗜好品だったのです。
仁丹は生薬を丸めたものを銀箔でコーティングしているもので、容器から取り出した瞬間から生薬の独特な匂いがします。口に含むと、生薬の強い匂いが口の中に広がりますが、後味には甘い香りが残ります。この味や香りがクセになるのと、口臭予防のために役立つということで、今でも嗜好品として根強い人気があります。
梅味やレモン味の仁丹も販売されています
通常の仁丹とは含まれる成分や効果なども異なりますが、仁丹には梅味やレモン味の清涼菓子も販売されています。
仁丹の効果と主な成分
仁丹の効果は、二日酔いなどの胸のムカつきが気になるとき、口臭を予防したいとき、不快な気分をリフレッシュさせたいとき、めまいがするとき、乗り物に酔ってしまったときなど、様々なシーンで発揮されます。
仁丹には16種類もの生薬が配合されています。これらの生薬の働きが、仁丹の複雑な味・香りと健康に対する様々な効能につながるのです。では、仁丹の主な有効成分について紹介していきます。
甘草(かんそう)
生薬として用いられるカンゾウは、マメ科カンゾウ属植物の根茎・根を乾燥させたもののことを指します。痛みや咳を鎮めたり、緊張を和らげたりする効果があるとされています。
阿仙薬(あせんやく)
阿仙薬はアカネ科カギカズラ属の植物の葉や若枝の乾燥水製エキスで、口腔清涼剤や整腸剤などとして利用されます。また、仁丹のほか、胃腸薬の「正露丸」にも配合されています。
桂皮(けいひ)
クスノキ科の常緑樹の樹皮から作られるもので、生薬以外では「シナモン」として知られています。日本産のものが特に和桂皮、別名「ニッキ」と呼ばれ、温熱の作用があると言われています。
茴香(ういきょう)
セリ科ウイキョウ属のウイキョウは、フェンネルとも呼ばれます。胃の調子を整える作用があるとされ、胃腸薬である「太田胃散」などに使われています。
生姜(しょうきょう)
生姜はいわゆるショウガのことで、冷え性の改善や胃の健康維持、免疫力の増補に役立ちます。
一般的に生のものは「生姜」、生姜を蒸したのちに乾燥させたものは「乾姜」、蒸さずに乾燥させたものは「乾生姜」と呼びます。
丁字(ちょうじ)
フトモモ科のチョウジノキの花蕾を乾燥させた香辛料で、古くから消毒や殺菌に使用されており、胃腸の中で溜まってしまったガスを排出したり、食欲増進をさせたりといった効果が得られます。英語では「クローブ」と呼ばれ、肉料理などに使用されています。
縮砂(しゅくしゃ)
ショウガ科の多年草で、日の当たらない湿った土地に生えるシュクシャという植物の成熟果実の果皮を除き、種子を乾燥させたものです。整腸薬として用いられ、消化機能が低下している際に効果的です。
益智(やくち)
ショウガ科の一種の益智の果実部分を乾燥させた生薬です。香りのあるシネオールという精油成分を含んでおり、胃腸の調子を整える効果があると言われています。
木香(もっこう)
芳香性を持つキク科の植物の根部分を使用した生薬で、整腸作用があります。また、気の巡りを促す行気薬としても使用されています。
薄荷脳(はっかのう)
鼻がスッと通るようなハッカ臭を放つ揮発性の無色の結晶です。薄荷脳は和名であり、「メントール」としてよく知られています。
仁丹はいつ飲むのがベスト?
仁丹には生薬成分が含まれていますが、食前、食後、食間などといったように、特に服用するタイミングが指定されているわけではありません。携帯用のケースなども販売されていますので、ポケットにしのばせておいて、口臭が気になるときや気分転換したいときなどに口に含むとよいでしょう。
1回10粒まで、1日に100粒まで
1粒1粒は小さいとはいえ、仁丹は生薬の塊です。1粒に含まれる生薬は微量だとしても、これらを一度に大量摂取すれば、当然ながら摂取量に伴って生薬の作用も強くなります。
大人であれば1回10粒まで、1日に100粒までの服用に留めるよう但し書きがされています。より高い効能を得たいからといって、仁丹を一度に過剰摂取することのないよう注意しましょう。
仁丹はどこで購入可能?値段は?
医薬部外品である仁丹は、薬局だけでなく、スーパーマーケットやディスカウントストアのような一般的な小売店で販売することが認められています。つまり、法律上はどこでも購入することが可能です。
しかし、かつてはスーパーマーケットなどでごく普通に売られていた仁丹も、最近では見かけることが少なくなりました。現在、比較的仁丹が入手しやすい場所としては、やはり薬局が筆頭に挙がるでしょう。
仁丹の値段は購入する場所によっても異なりますが、公式オンラインショップでは、「仁丹瓶入(3250粒入りのもの)」が1,500円(税抜)で販売されています。
仁丹に副作用はないの?
仁丹は医薬部外品ですので、摂取することで人体に効果が表れることが認められています。摂取の仕方や摂取する方の体調によっては、思わぬ副作用を引き起こすこともあるので、くれぐれも注意が必要です。
どんな人が注意すべき?
病院にかかっている方や他の薬を服用している方は、必ず医師や薬剤師に相談し、薬の飲み合わせに問題がないか確認しましょう。
また、妊婦や授乳婦の方、肝障害、重度の腎不全、糖尿病や高血圧、低カリウム血症などの疾患を持つ方、利尿剤や緩下剤、強心配糖体、コルチゾールを服用している方は、摂取を控えるべきとされています。
なお、服薬等の問題がない健康体の方であっても、過剰な摂取により健康を損なう場合もあります。指定されている使用目安量を必ず守ることはもちろん、仁丹の長期間にわたる服用は避け、半年以内にとどめるようにしましょう。
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