無臭にんにくと普通のニンニクの効能や味の違いを検証!
にんにくを料理に入れると香りや味が引き立ち食欲をそそられますが、やはり気になってしまうのが「臭い」です。そこで、にんにく特有の臭いが少ない「無臭にんにく」で代替しようと考える人も多いのではないでしょうか。
無臭にんにくとはどのようなものなのか、その味や効果・効能の違いを検証していきます。
無臭にんにくとは?
にんにくをたっぷり使った料理を食べたいけれど、食後や翌日の口臭のことを考えると、食べるのをためらってしまう人も多いでしょう。そういった人たちに注目されているのが「無臭にんにく」です。
無臭にんにくのよくある誤解
臭わないにんにくという名称は、さまざまな憶測を呼んだり誤解を招いたりしかねない面があります。たとえば、次のような誤解をしていませんか?
- にんにくの作り方が違うためニオイがしない
- 新芽の若いにんにくなので臭わない
- 薬品などを使って人為的に臭いを消している
- 品種改良によって臭いを抑えている
これらは全て誤りです。なぜなら、無臭にんにくはそもそも「にんにく」ではないからです。
無臭にんにくはにんにくとは別の植物
無臭にんにくは、「ジャンボリーキ」または「エレファントガーリック」と呼ばれる植物で、外見上はにんにくと非常によく似ていますが、大きさは普通のにんにくの8倍ほどもあります。見た目が大きなにんにくに見えることから、「ジャンボニンニク」と呼ばれることもあります。
つまり、無臭にんにくは厳密にはにんにくではなく、全く別の植物なのです。遺伝的にはリーキ(西洋ネギ)という太いネギのような植物に最も近いとされています。
無臭にんにくはどんな味?香りは?
実はにんにくとは別の植物だった無臭にんにく。外見上はにんにくとよく似ているのですが、味や香りもにんにくと似ているのでしょうか。
にんにくよりも味がマイルドで低刺激
無臭にんにくの味はにんにくと似てはいますが、にんにく独特の風味はやはり少ないです。にんにくよりも刺激が少なく生食でも口当たりが良いため、サラダなどに用いられることもあります。
そのため、にんにく特有の刺激が欲しいときは、にんにくの代替としては物足りないこともあるでしょう。また、風味がにんにくに比べてマイルドですので、香辛料としては使えないでしょう。
無臭にんにくの香りは?
無臭にんにくからも、普通のにんにくと似た香りはほのかにします。しかし、ほぼ無臭でどちらかと言えば玉ねぎに近い香りと言えるでしょう。無臭にんにくの香りは、「にんにくに似ていなくもないけれども、ニンニクではない」といった感じでしょう。
無臭にんにくの効果・効能は?
「スタミナをつけたい」「疲労回復のために」などと、にんにくの効果を期待して摂取する人も多いでしょう。
無臭にんにくで、にんにくと同様の効果が得られるのでしょうか。
におい成分「アリシン」の違い
にんにく特有の臭いは、にんにくが持つ臭い成分「アリシン」によるものです。無臭にんにくには、このアリシンを生成する「アリイン」という成分がにんにくに比べて少量しか含まれておらず、さらにアリインを臭い成分へ変換するアリイナーゼの力もにんにくと比較すると弱いことが分かっています。
つまり、もともと持っている臭い成分がにんにくよりもずっと少ない上に、臭いを発生させる力も弱いのです。
アリシンはにんにくの臭いの原因となるだけでなく、にんにくが持つ滋養強壮の力の源にもなっています。無臭にんにくは臭いがほとんどしない代わりに、にんにくが持つ効果・効能の恩恵を受けることもできないのです。
疲労回復には普通のニンニクを摂取して
にんにくを食べると、「スタミナがつく」「疲労回復の効果がある」などとよく言われますが、これは科学的にも立証されており、にんにくには疲労回復に役立つ成分がたくさん含まれていることが分かっています。
そもそも「疲労」とはどのような状態のことを指すのでしょうか。疲労は、精神的疲労や肉体的疲労、神経的疲労に分類されますが、肉体的疲労の原因はエネルギー供給が不足することや活性酸素による酸化ストレスなどと言われています。
にんにくの独特の臭い成分である「アリシン」には、これらの肉体疲労の原因を防ぐ効果があります。
無臭にんにくにもアリインは含まれているのですが、普通のにんにくのわずか60分の1程度に過ぎません。疲労回復を目的として摂取するのであれば、無臭にんにくではなく普通のにんにくがおすすめです。
にんにくのにおい成分でスタミナアップ!
にんにくに多く含まれるアイリンは切ったり潰したりすることで酵素と反応してアリシンへと変化しますが、アリシンはビタミンB1と結合して「アリチアミン」という物質に変わります。
ビタミンB1には糖からエネルギーを作り出す働きがありますが、水溶性であるため長く機能することができません。しかし、アリチアミンに変化することによって、その作用が持続しやすくなります。
にんにくのにおい成分アリシンは、糖質からエネルギーを作り出す際に欠かせないビタミンB1の働きを良くして、エネルギー供給不足を防いでくれるのです。
にんにくの抗酸化作用で疲労軽減!
にんにくのにおい成分アリシンには抗酸化作用があり、細胞を傷つける原因となる活性酸素を除去する働きがあります。
にんにくを摂取することにより、筋肉の活性酸素を除去することで酸化ストレスの状態を改善し、肉体疲労を軽減することができるのです。
抗酸化作用には、疲労の軽減だけでなく生活習慣病予防やアンチエイジングなどの効果もあります。活性酸素を除去することによって、さまざまな効果が得られるのです。
無臭にんにくには「サポニン」が多く含まれている
無臭にんにくには、におい成分が含まれていない分、疲労回復効果は普通のにんにくに劣ります。しかし、無臭にんにくには、「サポニン」と言う成分が多く含まれていて、多くの健康効果が得られます。
「大豆サポニン」と言う成分をご存知の方も多いかもしれません。サポニンは大豆に多く含まれている成分であり、肥満予防や免疫力アップ、肝機能の向上、動脈硬化の予防などの健康効果が期待できます。
また、サポニンにはアルコールの吸収を抑制するとともに、肝臓を強くする効果があることも分かっています。
このように無臭にんにくは、普通のニンニクと全く別の植物であるがゆえに、期待できる効果・効能も異なることを理解した上で、上手に摂取することが大切でしょう。
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