生にんにくは体に悪い!?副作用と安全な摂取量
にんにくと言えば、「元気が出る」「スタミナがつく」など、体に良い印象が強いと思います。にんにくの食べ方はさまざまですが、生で食べると体に悪いと言われています。
すりおろして薬味に使ったり、醤油漬けにしたり、生でにんにくを食べる機会はありますが、それは体に良くないことなのでしょうか。生にんにくの副作用や安全性についてご紹介していきます。
生にんにくの4つの副作用と注意点
にんにくは健康効果の高い食品です。しかし、その効果の高さゆえの副作用・注意点もあります。
にんにくの健康効果は「アリシン」という成分によるものですが、加熱するとその効果は弱まるため、生で摂取するよりも副作用の心配は軽減します。(加熱したとしても過剰摂取は良くありません)
「生のにんにくは体に悪い」と言われているのは、次に紹介するような副作用があるためなのです。
胃痛
生のにんにくはとても刺激が強いです。そのため、にんにくの刺激で胃壁が傷ついてしまう場合もあり、胃痛だけでなく、胸焼けや吐き気などを生じることもあります。にんにくの刺激は、加熱によって抑えられますが、やはり加熱しても刺激性は残りますので摂取量に気を付ける必要があるでしょう。
適量の加熱したにんにくであれば、食欲を誘う香りと胃への程よい刺激によって適切に胃酸を分泌してくれます。食べ方に応じた摂取量が大切だと言えるでしょう。
また、空腹の方がにんにくの刺激による影響を受けやすいため、空腹時のにんにく摂取は注意が必要でしょう。
腹痛・下痢
にんにくには高い殺菌作用があります。適度な殺菌作用が得られると、腸内の悪玉菌の繁殖を抑制して、腸内環境を整える効果が得られます。しかし、生にんにくの殺菌作用は高いため、善玉菌を減らし過ぎるなど腸内細菌のバランスを悪くしてしまう可能性があるのです。
腸内環境が乱れると、腹痛や下痢などの症状が起こります。にんにくは、本来ならば腸内環境を整え、整腸作用が期待できる健康食材ですが、生で摂取すると作用が強すぎて逆効果になってしまう場合もあります。
適切な摂取量・摂取方法を心がけることが大切でしょう。
止血しにくくなる
にんにくには、血液をサラサラにする効果があります。血栓治療に用いられる「アスピリン」という薬と同様な作用があり、血液を薄めて固まらないようにする働きがあるのです。とてもありがたい作用なのですが、血が固まらないようになる(固まりにくくなる)ということは、血が止まりにくくなる場合もあるため注意しなければならない場合もあります。
術中や術後においては、特に問題になるため注意が必要です。手術の予定があるという人は少ないかもしれませんが、歯の治療予定などがある場合にも注意しましょう。
また、出血性の疾患がある場合、ワーファリン(ワーファリンカリウム)などの血液凝固防止薬(抗血栓薬)を服用している場合には、特に注意が必要です。
ワーファリンなどの血液凝固防止薬は血液を固まりにくくする薬ですが、にんにくを過剰に摂取すると、作用を増強して血が止まりにくくなる可能性があるためです。抗血栓薬と納豆の相性が悪いことは有名ですが、にんにくについてはあまり知られていません。
口臭・体臭がきつくなる
にんにくはニオイの強い食品ですが、そのニオイが魅力でもあり、にんにく好きな人は多いです。しかし、そのニオイが口臭や体臭の原因となります。そのニオイは翌日まで続く場合もあることから、にんにくを摂取するタイミングに慎重な人も多いでしょう。
にんにくの臭いの原因である「アリシン(硫化アリル)」という成分は、体内に入って分解されると硫黄化合物であるジアリルジスルフィド(二硫化アリル)に変わりますが、ジアリルジスルフィドにも、にんにく特有の強いニオイがあります。
にんにくの臭い成分は、体内に入ると血液に取り込まれて汗や呼気として排出されます。これにより、息が臭くなったり、体からニンニク臭がしたりするのです。
にんにくの臭い(口臭・体臭)の出方は、摂取量や代謝により違いがあるため個人差があります。にんにくを食べた翌日まで口臭が続く場合もあります。
生にんにくを安全に食べるには?
生にんにくは、ラーメンなどの料理に加えたり、薬味として使用したり、さまざまな料理で摂取する機会があります。生にんにくの副作用や悪影響を防いで、安全に摂取するためには摂取量に注意する必要があります。
生のにんにくはどれだけ摂取して良い?
安心して摂取できる生にんにくの量は、1日1片程度と言われています。子供の場合はさらに少なく、大人の半分(1日1/2片)程度とされています。
加熱したにんにくに比べ、生の方が副作用は起こりやすいですが、加熱したにんにくも過剰に摂取すると副作用が起こる可能性があります。加熱したにんにくであっても、1日3片程度の摂取に留めることが望ましいとされています。
摂取量に対する身体の反応には個人差があります。体重・体質・体調・身体の抵抗力などによって、効き目や副作用の有無は違ってくるでしょう。明確な上限値が決まっているわけではないですが、過剰に摂取することがないように気をつけることが大切です。
にんにくは、健康効果が高い食品ですが、たくさん食べればその分効果が高まるわけではありません。反対に、食べすぎによって健康を害することもあるのです。
適量を継続して摂取することが望ましいでしょう。また、にんにくに限ったことではありませんが、特定の食品に頼ることなく、栄養バランスのとれた食生活を心がけることも大切です。
にんにくでアレルギー症状が起こることがあります
卵アレルギーや小麦粉アレルギーはよく知られていますが、「にんにくアレルギー」があることを知らない人も多いのではないでしょうか。にんにくの粉末を鼻から吸い込んで喘息になったり、稀にショックを起こしたりすることがあるようです。
にんにくアレルギーは、硫黄化合物であるジアリルジスルフィドが原因と言われていて、アレルギー誘発性は低いとされています。しかし、まだわかっていない点が多いのが実状です。
にんにくは健康効果大!適切に摂取しよう!
副作用を知ってしまうと、にんにくを摂取するのが心配になってしまう人も多いかもしれません。しかし、にんにくには、次に紹介するような多くの健康効果があります。安全に摂取して、健康維持に役立てることが大切でしょう。
にんにくの健康効果は「アリシン」によるもの
にんにくの独特なにおいの原因は、「アリシン」という成分にあります。アリシンは、ニラやネギにも含まれる成分ですが、特にニンニクに多く含まれています。
にんにくの滋養強壮効果は、アリシンによるものであり、その他にもさまざまな健康効果が期待できます。
しかし、にんにくに初めからアリシンが含まれているわけではなく、「アリイン」という状態で含まれています。にんにくを摩り下ろしたり切ったりすることによって、アリインが分解されてアリシンに変わります。
アリシンは、にんにくの独特な臭いの原因となる成分なのに対し、アリインは無臭です。そのため、皮を剥いただけのにんにくはあまりニオイを発しませんが、刻んだりすりおろしたりすることによってアリインが分解され、独特な臭いを発するようになります。
アリシンの5つの主な健康効果
臭いが気になる人にとっては、アリシンは摂取を避けたい成分かもしれません。しかし、にんにくの健康効果は、このアリシンによるものが大きいと言えます。
アリシンの主な効果には、次のようなものがあります。
- 疲労回復
- 血糖値上昇を抑制
- 血行改善
- 殺菌・抗菌
- 生活習慣病予防
アリシンを効果的に摂取するには?
刻む・すりおろす
アリシンはにんにくの細胞が壊れることによって、アリインが変化して作られる成分です。そのため、にんにくを刻んだりすりおろしたりすることで、効果的に摂取できるでしょう。
加熱する場合は油と一緒に
アリシンは熱に弱い性質があり、加熱するとアリシンが分解されてしまいます。しかし、油と一緒に加熱することでアリシンの分解を防ぐことができ、効果的にアリシンを摂取できます。
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