親知らずで口臭が強くなる2大原因とその対策
親知らずは生えて来ない人もいますが、正常に生えなくて手術が必要になる人・炎症などのトラブルで痛い思いをする人…親知らずに苦労する人は少なくありません。さらに、親知らずが生えて口が臭くなって困った、抜歯後に口臭が強くなったという人も多いです。
親知らずは何かとトラブルが起こりやすいため、親知らずが生えてきたら早めに歯科を受診して、自分の親知らずの状態を把握しておくと安心でしょう。
親知らずが生えてから口臭が強くなったという場合は、トラブルのサインかもしれません。適切な対処が必要です。
親知らずで口臭が強くなる主な2つの原因とその対策
1.汚れ・プラーク
親知らずは、一番奥に生えてくる歯です。そのため、歯ブラシが届きにくく不衛生になりやすい特徴があります。プラーク(歯垢)は、口臭の原因となる揮発性硫黄化合物(VSC)を放出しますから、口が臭くなる原因になります。
揮発性硫黄化合物には、ゴミのようなニオイのするジメチルサルファイド、腐ったタマネギ臭のメチルメルカプタンなどがあります。
また、親知らずが完全に萌出していなくて歯肉が被さっている状態の場合、歯肉弁の隙間に汚れが溜まりやすくなります。被さっている歯肉を「歯肉弁」と呼びますが、ビラビラとした歯肉弁の隙間の汚れは、ブラッシングで完全に除去するのは困難と言えるでしょう。
歯肉弁との隙間の汚れが発酵し、口臭の原因になってしまう場合もあるのです。
歯ブラシだけでなく補助用具を活用する
歯ブラシだけで歯のお手入れをしている人も少なくないでしょう。しかし、歯ブラシだけでは磨きにくい箇所も多数あり、特に1番奥に生えている親知らず周辺は、歯ブラシが届きにくく、しっかり磨くことができません。
親知らず周辺の歯のケアには、ワンタフトブラシなどの補助用具使用をおすすめします。ワンタフトブラシは、奥まで届きやすいため親知らず周辺の清掃に適しています。
親知らずはもちろん、親知らずの手前の歯(第二大臼歯)の虫歯を防ぎ、口臭の原因となるプラークの除去率を高めることができるでしょう。
補助用具を上手く使えない、親知らず周辺のお手入れがうまくできないという場合は、歯科医院で相談すると良いでしょう。
痛くて歯磨きができない場合は早めに歯科で相談を!
「親知らず周辺の歯肉が腫れて歯磨きが十分に行えない」という場合には、早めに歯科で相談しましょう。清掃ができずに汚れが溜まった状態では、歯肉の炎症を改善することもできませんし、口臭をさらに強めてしまう可能性があります。
親知らずの周辺で起こる歯肉の腫れは、特に「智歯周囲炎」と呼び、とても多い症状です。炎症も口臭も、磨き残しによる溜まった汚れが原因ですから、歯肉の炎症を改善して衛生管理を行える状態にすることが大切でしょう。
智歯周囲炎とは?
親知らずは「智歯」とも呼びます。智歯周囲炎は、親知らず周辺の歯肉に起こる炎症(腫れ)のことです。親知らず周辺が不衛生になることで生じます。
進行すると痛みを生じるようになり、ひどくなると膿を持つようになります。
繰り返す特徴があることから、一度症状が改善されたからといって安心せず、口の中の衛生管理をしっかり行うことが大切でしょう。他の歯に悪影響を及ぼす場合もありますから、歯科医院で相談することをお勧めします。
2.虫歯
先にも紹介した通り、親知らずの周辺は不衛生になりやすいため、虫歯のリスクも高くなります。親知らずだけでなく、親知らずの手前の歯(第二大臼歯)も虫歯になりやすいため注意が必要です。
顎が小さい人の場合、親知らずがまっすぐに生えてくるスペースが十分にありませんから、斜めや横になって生えてくる場合があります。このようなケースでは進行が早く、すぐに神経にまで虫歯が達してしまいます。
虫歯になると、虫歯の穴の中に汚れが溜まって腐敗し、ニオイの原因になったり、感染した神経が腐ってニオイの原因になったりします。
親知らずのむし歯は治療する?残せる条件は?
親知らずが虫歯になってしまったら、抜歯するケースが多いと言えるでしょう。斜めや横向きに生えてきた場合は、治療を行っても残すことができないため、抜歯する可能性が高いでしょう。
また、神経にまで達している場合や手前の歯に悪影響を与えている場合にも、虫歯治療をせずに、抜歯した方が良いケースが多いです。
親知らずが虫歯になってしまったら、抜歯するケースが多いと言えますが、治療して残す場合には次のような条件を満たしていなければなりません。(以下の条件だけでなく、他の歯や口の中全体を考慮する必要があります。)
- 親知らずがまっすぐ生えていて、噛み合う歯がある
- 口の開閉に支障をきたしていない
- 手前の歯に悪影響がない
など
親知らずが原因の口臭を予防するには?
親知らずの口臭を防ぐには、親知らず周辺の衛生管理が不可欠です。親知らずが生えてくると、さまざまなトラブルが生じますが、その多くに親知らず周辺の衛生管理が不十分であることが関係しています。
先にも紹介した通り、歯ブラシ以外の補助用具も使用して汚れを溜めないことが大切です。
しかし、虫歯や歯周病のリスクが高いため、トラブルが起こる前に抜歯するケースも多いです。親知らずの口臭予防として、早めに抜歯するという方法もあるでしょう。
親知らずの抜歯は、他の歯よりも負担がかかりやすいですし、抜歯後の腫れ・痛みなど不安は多くあると思いますが、他の歯に悪影響を及ぼしたり、歯並びを悪くしたりする可能性も否定できません。早めの抜歯を勧められるケースも多いでしょう。
親知らずが生えてきたら、口臭などトラブルが起こる前に歯科で相談すると安心です。
親知らず抜歯後に口臭が強くなるって本当?
親知らずに限らず、抜歯後に口臭が強くなるケースは少なくありません。抜歯後は口の中の衛生管理が行いにくくなるため、細菌が繁殖しやすくなることが理由に挙げられます。
しかし、抜歯後は傷口に刺激を与えることは良くありませんから、歯ブラシを当てたり、強いうがいを行ったり、頻繁にうがいをしたりすることは控える必要があります。
口の中の衛生管理は気になるところですが、傷の治癒・傷口に刺激を与えないという点も考慮して、過度な口臭予防を行わないことが大切です。
1.抜歯した箇所は食べ物が詰まりやすい
歯を抜いて穴が開いている箇所(抜歯窩)に、食べカスが溜まってニオイの原因になる場合もあります。
抜歯後の穴は数カ月で歯肉が再生して、自然に埋まります。食べカスが詰まってニオイを引き起こすのは一時的なものですので、それほど心配は要らないでしょう。
食事のたびに食べカスが詰まるというのは大変不快なのですが、つまようじなどを使って取り除いてしまうと、歯肉を傷つける場合があるので良くありません。治癒を遅らせることにもつながります。
うがいを控えるべき時期は、抜歯した側の方で噛まないようにするなど、食べカスが詰まらないようにすることが必要でしょう。
抜歯後にうがいをしてはいけない理由
通常、抜歯した箇所(抜歯後の穴)は血液がかたまる(かさぶたができる)ため、骨がむき出しになることはありません。骨の上にかさぶたができ、歯肉が再生されていきます。
しかし、何らかの原因でかさぶたができないと、骨がむき出しになって強い痛みを生じます。この状態を「ドライソケット」と言います。
抜歯後は口の中が血液のニオイや浸出液のニオイでいっぱいになり、とても気になるかと思います。しかし、うがいを過剰に行ってしまうと、かさぶたが取れてドライソケットの状態を招きかねないのです。
傷の治りは個人差がありますが、当日はうがいを控えるべきですし、数日間は強くブクブクするようなうがいは控えましょう。心配な場合には、担当医に相談すると良いでしょう。
2.傷口が膿んで口臭の原因になる場合もあります
傷口が細菌に感染すると、膿が出て口臭の原因になる場合があります。抜歯後はうがいやブラッシングなど、口の中の衛生管理を過度に行うことは良くありません。処方された抗菌薬を指示に従って服用することが大切です。
抜歯後は、痛み止めと抗菌薬が処方されるケースが多いですが、痛み止めは痛みがなければ服用の必要はありません。しかし、抗菌薬は痛みがなくても飲み切る必要があります。術後は医師の指示に従うことが大切です。
また、体調が悪く抵抗力が低下している時に抜歯を行うことは避けましょう。抜歯は体調を万全にして臨むことが大切ですし、抜歯後は安静にしてトラブルを防ぐように心がけましょう。
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