親知らずは抜くべき?智歯抜歯のメリット/デメリット
あなたの口の中には親知らずが残っていますか?歯医者さんで「親知らずを抜いたほうがいい」と言われたことがある人も多いと思いますが、いつかは抜かなくてはと思いながらも、抜歯に踏み出せていない人が多いのでしょう。
「親知らずを抜いたら腫れた」「痛くて眠れなかった」などの体験談を聞くと、どうしてもためらってしまいますよね。
しかし、親知らずを残しておくことによるリスク、抜くことによるメリットを知ったら、治療に向けての一歩を踏み出すことができるかもしれません。それだけ、親知らずは悪影響を及ぼす可能性が高いのです。
親知らずが生える人と生えない人がいるのはどうして?
そもそも、抜かなければならない親知らずはなぜ生えてくるのでしょうか。昔の人は、現代人よりも顎が発達しており、上下に16本ずつの歯が生えているのが一般的でした。
現代は、昔と比べて柔らかい食べ物が多くなり咀嚼回数が減少したことで、顎が小さい人が増え、その結果一番奥の親知らずが上手く生えてこない人が多くなったのです。
上手く生えない親知らずはどうなる?
上手く生えてくることができなかった親知らずは、斜めになって生えてきたり、横向きになって外に出てこられなくなったりします。このような親知らずは、物を食べたりするときに活躍することができません。
「生えるべき歯が生えないのは問題なのではないか」と考える人もいるかもしれませんが、その反対と言えます。親知らずが生えてこなくても問題なく、トラブルの原因になるケースが多いのです。
親知らずが生えてくるのは何歳まで?
親知らずが生えていない人の中には、「自分には親知らずがないのかもしれない」と思っている人も多いでしょう。「30歳まで生えなかったのだから、自分には親知らずがなかったんだ」などと認識している人もいると思います。
一般的に18~20歳くらいで生えてくるとされていますが、50代で生えてくるケースもあります。親知らずが生まれつき存在しないという人は4人に1人くらいの割合でいるのですが、抜歯しない限り、親知らずが生えてくる可能性はゼロではありません。「〇歳だからもう生えてこない」ということはないのです。
親知らずを抜歯することのメリット
親知らずを抜歯することは、抜歯による体への負担はありますが、次のようなメリットがあります。そのため、早めに抜歯することを勧められることが多いです。
1.虫歯や歯周病のリスクを減らせる
上手く生えていない親知らずは、他の歯と違って歯ブラシを当てることがとても難しい歯です。手前の歯より高さがないので、歯ブラシが届きにくいです。
また、歯茎の下に埋もれてしまっている場合には、その箇所に歯ブラシを当てることができず、汚れが蓄積してしまいます。
さらに、親知らずとその手前の歯の間には、歯ブラシは入りにくい隙間ができており、そこにも磨き残しや細菌が溜まってしまいます。その結果、親知らずだけでなく、手前の歯までも虫歯や歯周病になる可能性が高いのです。
親知らずを抜歯することによって衛生管理が行いやすくなり、虫歯や歯周病など病気のリスクを減らすことができます。
2.親知らずによる口臭をなくせる
上手く歯ブラシを当てることができないと、親知らず自体も虫歯や歯周病になります。しかも、親知らずが上手く生えていない場合は、治療器具が親知らずに届かないため、その治療をすることができません。虫歯や歯周病になったまま放っておくと、親知らずの神経が腐ってしまったり、周りから膿が出てきたりします。
腐ってしまった神経や膿からの嫌な臭いがお口の中に広がると、非常に酷い口臭の原因となります。この口臭を断ち切る方法は、親知らずを抜くことだけと言えます。
また、先にもありましたが、親知らず周辺は不衛生になりやすく、プラークが蓄積すると口臭の臭いの原因になります。プラーク内の細菌が、口臭の原因となるガスを放出するのです。
3.歯並びの悪化を防げる
親知らずが、他の歯を押し出しながら斜めや横向きに生えてくると、歯並びが変わってしまう可能性があります。
歯並びが悪くなると、虫歯や歯周病のリスクを高めるなど、さまざまなデメリットがあります。見た目の印象にも影響するでしょう。
歯並びを治すには、歯列矯正をしなければなりません。早めに不必要な親知らずを抜くことで、歯並びの悪化を防ぐことができます。
4.小顔になれる可能性がある
親知らずを抜くことで、小顔になる可能性もあります。数字にすると約1~2mmとわずかではありますが、見た目の印象が違ってくる場合も多いです。女性には嬉しいことかもしれませんね。
親知らずを抜歯することで、親知らずを抜歯することで、親知らずを支えている周辺の骨が痩せることが原因です。もちろん、小顔効果には個人差が大きいですが、「エラが気にならなくなった」「フェイスラインがすっきりした」と効果を実感する人も多いです。
抜かない方が良い親知らずもある!
「親知らずは必ず抜かなければいけないのか」というと、そんなことはありません。親知らずの生え方によっては、残しておいた方が良い場合もあります。
まっすぐ生えている親知らずは抜かなくてもいい
親知らずが、他の歯と同じように何の問題もなくまっすぐ生えてくる場合もあります。上下そろって親知らずが生え、しっかりかみ合わせができているならば、無理に抜くことを考えなくても良いかもしれません。
もちろん、奥の方に生えていることには変わりないので、不衛生になりやすいと言えます。虫歯や歯周病にならないよう、ブラッシング方法を見直して、しっかりケアすることが大切になるでしょう。
手前の歯がなくなったときに、親知らずが活躍する場合も
まっすぐ生えている親知らずを残しておくと、万が一、親知らずの手前の歯を虫歯や歯周病で抜かなければいけなくなったとき、抜いた部分に親知らずを移植することができる場合があります。
必ずしも成功するとは限りませんが、可能性は0ではありません。高度な技術を必要としますので、大きな病院の口腔外科などで処置をすることが一般的でしょう。
また、移植ができない場合でも、親知らずを土台として、無くなった手前の歯を補填する「ブリッジ」治療を行うことができます。親知らずは、残しておけるのであれば大切にするべき存在なのです。
親知らずで受診するタイミング
親知らずを抜きたい場合も、残したい場合も、一度受診しておくと安心です。親知らずは、受診してすぐに抜歯ができるわけではありません。生え方によってはかかりつけの医院ではなく、病院で全身麻酔のもと抜歯しなければならない場合もあります。この場合は、数日間の入院が必要になります。
抜歯の難度が高い場合もあるということを考慮して、痛みなど何らかのトラブルが生じる前に、親知らずの状態を確認しておくと良いでしょう。
親知らずが生えてきて、何らかの違和感が生じているならば、早めに医師に相談することをおすすめします。
親知らずを抜くメリットとデメリットの両方を理解しましょう
親知らずを抜くときは、まず、自分の親知らずがどのように生えているか、現在どのような状態か、歯科医院で診察してもらいましょう。その上で、医師とよく相談し、メリットとデメリットの両方を理解することが大切です。
親知らずを抜くか抜かないか、最終的に決断するのは、医師ではなく患者さん本人なのです。
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