とっても臭い膿栓を予防したい!予防法はあるの?
やや汚いお話になりますが、クシャミをしたと同時に白い色をした塊が飛び出してきたことはありませんか?
あの白い塊の正体は医学的には「膿栓(のうせん)」と呼ばれるもので、通称「臭い玉(くさいだま)」あるいは「臭玉(くさだま)」とも言います。膿栓は喉に発生するため、人によってはゴクンと唾を飲み込むだけでもその臭いを自覚することがあります。
膿栓に鼻を近づけるとひどい悪臭がして、本当に自分の体内から出てきたものなのかと疑うほどの臭いに、驚く方も多いかもしれませんね。
膿栓は口臭の原因ともなるため、繰り返しできることに悩まされている人も少なくありません。では、膿栓の予防はどう行っていけばよいのでしょうか。
そもそも膿栓とは?
膿栓ができるのは扁桃と呼ばれる喉の奥の方に位置するリンパ組織で、人によって大きさや形に個人差がある部位です。
膿栓は、主に扁桃腺のくぼみである陰窩(いんか)に溜まった細菌や炎症の産物、食べ物の残りカス、剥がれた粘膜から形成されるものです。
色は乳白色や薄い黄色、黄緑色で、大きさがあるものだと約3~5mm程度のものもあり、一見すると「おから」のようにも見えます。膿栓を潰すと下水やドブ、ザリガニのような強い悪臭を放ち、口臭の原因となります。
膿栓ができやすい人の特徴は?
「膿栓」「臭い玉」というと、その名称からも不潔なイメージを持ってしまいがちですが、膿栓は誰にでもできるものです。ただし、中には「膿栓ができやすいタイプ」の方もいます。
膿栓が生じやすいのは、主に次のような特徴を持っている方です。膿栓予防のためにも、当てはまっているかどうかチェックしていきましょう。
扁桃炎などの耳鼻咽喉系の疾患にかかりやすい
扁桃腺は、鼻や口から入ってくるバイ菌を食い止める免疫機構で、風邪をひくと喉が痛くなるのは、この扁桃腺や粘膜が腫れて炎症を起こしているためです。
炎症はバイ菌と身体が戦っている証拠で、その結果として細菌の死骸が集まり、膿栓が形成されます。そのため、慢性扁桃炎の方には特に膿栓が生じやすく、中には1cmほどの大きさの膿栓が発生することも少なくありません。
扁桃腺には喉の上の方にある咽頭扁桃(いんとうへんとう)、左右に位置する口蓋扁桃(こうがいへんとう)、舌の根にある舌扁桃(ぜつへんとう)があるのですが、膿栓は主に口蓋扁桃の表面にある「陰窩(いんか)」という10~20個のくぼみに形成されます。
口呼吸をしている
鼻で呼吸せずに口で吸って吐いてを繰り返しがちな口呼吸の癖がある方は、喉や扁桃腺が乾いた状態になり、炎症が起こりやすくなります。扁桃腺が炎症を起こして腫れて凸凹した形状になると、膿栓が溜まりやすくなるのです。
口呼吸は口腔内が口臭を発生しやすい環境にするだけでなく、唾液量を減らしてドライマウスによる虫歯や歯周病といったリスクを高める原因にもつながりますので、早急に鼻呼吸へ矯正していくことが大切です。
膿栓と口臭の関係
膿栓は喉の奥の方にできるため、少量ならば自分が臭いと感じるだけなのですが、膿栓の量が増えてくると、周囲の人にもわかるほどの強い口臭へとつながります。
口臭が気になるという方は、その原因のひとつとして膿栓の存在を疑ってみる必要があるでしょう。
自分の膿栓が臭っているかどうかは、マスクをした状態で息を吐いて確認する、ビニール袋に息を吹き込んで嗅いでみるなどの方法でセルフチェックしてみましょう。
膿栓を予防する3つの方法
扁桃炎になりやすい方や口呼吸をしてしまう方は、膿栓ができやすいということが大きな悩みの種ではないでしょうか。そこで、「膿栓をできにくくする予防策」を3つご紹介していきます。
イソジンなどでこまめにうがいをする
膿栓の予防法として、最も簡単で効果が期待される方法がこまめなうがいです。膿栓は、口の中で不衛生な状態が続くとできやすくなります。汚れが溜まりやすい食事の直後には毎回うがいを行い、口腔内の清潔を保つことを心掛けましょう。
特に、空気が汚れている時期、寒い冬の時期には塵やほこりが舞いやすく膿栓ができやすくなりますので、積極的にうがいをしてくださいね。
また、殺菌成分の含まれているイソジンや、抗炎症作用のあるアズノールを使ってうがいを行うと、膿栓予防の効果は更に高まります。
風邪予防の目的としても、これらのうがい薬はしっかりと常備しておきたいところですが、うがい薬が手元にない場合には、殺菌作用のあるカテキンを含むお茶でのうがいも効果的と言われています。
口呼吸をやめる
鼻腔は呼気への加湿作用があります。外から吸い込んだ乾いた空気に湿気を持たせ、喉の炎症を防いでくれるのです。
日頃から気が付くと口をぽかんと開けてしまい、つい口呼吸をしてしまうという方は、口を閉じて鼻呼吸を心掛けましょう。
華呼吸への具体的な改善方法としては、就寝中に専用の口テープで塞いでしまう方法や、枕の高さが合っているかどうかのチェック、歯並びの矯正などが挙げられます。
口呼吸の原因によっても対処法は様々ですので、口呼吸がなかなか改善されない場合には耳鼻科や歯科の専門医に相談し、その原因を調べてもらった上で適切な処置を受けることをおすすめします。
漢方薬を服用する
膿栓を予防、なくすということではなく、膿栓の原因である扁桃炎を和らげる目的として漢方薬が使われるケースがあります。
漢方薬にも様々な種類がありますが、中でも「荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)」は蓄膿症や扁桃炎に有効な漢方薬で、炎症を鎮め痰や膿を排出する働きを持っています。
膿栓の根本的な原因が扁桃炎にあると判断される場合には、担当の医師に相談してみるとよいでしょう。
ただし、自己判断での漢方薬の服薬は大変危険ですので、必ず医師との相談の上、処方してもらいましょう。
膿栓の除去は専門家に相談を
中には綿棒や歯ブラシ、耳かき、シャワーの勢いなどにより、膿栓を自力で除去しようとする方も少なくありません。
しかし、膿栓ができる部位は大変デリケートですから、自己流の除去方法では扁桃腺や口腔内の粘膜を傷つけてしまい、却って症状を悪化させてしまう可能性があります。
膿栓があることでどうしても違和感があって気になる方や、他人にも気づかれるような口臭にまで発展してしまったという方は、無理に自分で解決しようとはせず、一度専門の病院を受診してみましょう。
膿栓は何科を受診すべき?どんな治療が行われる?
歯科は歯周組織(歯周病)や舌からくる口臭には対応できますが、喉は診療範囲外のため、対応できないところがほとんどです。
膿栓を専門分野にしている科は「耳鼻咽喉科」です。耳鼻咽喉科での膿栓に対する主な処置としては「扁桃処置」といった膿栓の吸引や洗浄による除去が行われます。
保険点数は40点なので400円、健康保険による3割負担の場合は120円程度となり、治療費はこれに初診料ないし再診料などが加わった値段となります。気になる方は、受診前に病院へ詳細を確認するとよいでしょう。
膿栓は病気ではなく、多かれ少なかれ誰にでも生じるもので、除去してもまた繰り返しできることもあります。気にしすぎるのは精神的に好ましくなく、医院によっては「何もしない方がいい」とアドバイスされることも少なくありませんので、その場合はうがいをこまめに行うなどの予防ケアでしばらく様子を見ましょう。
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