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    【尿毒症の治療方法】薬は効果ある?食事療法/人工透析

    【尿毒症の治療方法】薬は効果ある?食事療法/人工透析

    尿毒症の症状には全身の浮腫(むくみ)やだるさ、アンモニアのような口臭が引き起こされることも!日頃から腎機能を低下させない生活習慣や病院受診を心掛けましょう。

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  • 更新日:2016年08月24日

尿毒症の治療法/改善すれば口臭が減ることも!

尿毒症による口臭はアンモニア臭という独特のニオイを発生させます。「自分の口臭は尿毒症による口臭なのかな?」と悩んでいる方も少なくないでしょう。
もし、全身に大きな問題がなく、アンモニア様の口臭だけが問題である場合は、尿毒症による口臭の可能性は低いと考えられますが、最近腎不全と診断を受けたり、腎臓病で通院されていたりする方は、尿毒症による口臭である可能性もあります。

今回は尿毒症の治療法についてわかりやすく説明します。

尿毒症ってどんな病気?

尿毒症とは、腎機能の低下により、全身にわたって不調や異常が現れている症状のことです。

腎臓の働き

腎臓

腎臓といえば尿を作るところなので、全身に症状が出ることに違和感があるかもしれませんが、腎臓の働きはそれだけではありません。老廃物を排泄してホルモンの分泌によって骨を強くしたり、赤血球を産生したり、血圧のコントロールをしたりと、大変多くの機能を担っています。
腎臓は体内のバランスを維持する恒常性(こうじょうせい)のためにも、とても重要な器官なのです。

そのため、腎臓がうまく働かなくなる腎不全の状態になると、尿量の減少や脱水症状、下痢、嘔吐、肺水腫、浮腫、高血圧、心不全など様々な異常が引き起こされます。

尿毒症の症状

腎臓の病気は数多く存在し、原因も多種多様です。慢性化すると腎機能が低下し続け、慢性腎不全の状態になります。この病態まで進行してしまうと、残念ながら治療を行っても腎臓の機能は元に戻りません。尿毒症がよくみられる慢性腎不全の末期では、透析治療が必要になります。

尿毒症になると様々な症状がみられ、日常生活に支障をきたし、また生命を脅かします。腎不全の症状に加えて頭痛、意識障害、認知障害といった神経症状が現れます。肺炎になりやすく、呼吸器にも異常が現れます。血液産生に関わるホルモンも減少するため、貧血や血が止まりにくくなります
皮膚症状としては肌がかゆくなったり、チクチクしたりすることもあります。身体は疲れやすくなり、倦怠感を感じます。

さらに、注目すべきは独特の口臭です。尿毒症になると、尿毒性口臭というアンモニアのようなニオイの口臭が現れるようになります。アンモニアはおしっこのニオイなので、尿臭と呼ぶこともあります。

尿毒症の治療方法

尿毒症の症状を改善するには、機能が落ちてしまった腎臓へのケアが必要となります。主な治療方法として、薬物療法、食事療法、人工透析などが挙げられます。

1.薬物療法

腎機能を回復させる治療薬は存在しないため、現れた症状に対してその症状を抑えるだけの対症療法となります。

◆ 高血圧・・・ACE阻害薬(アンギオテンシン変換酵素阻害薬)、カルシウム拮抗薬
◆ 浮腫・・・フロセミド利尿薬など
◆ 貧血・・・ESA製剤(エリスロポエチン刺激薬)
◆ 低カルシウム血症、高リン血症・・・カルシウム製剤
◆ 高尿酸血症・・・アロプリノールなど

なお、カリウムが排泄されず高カリウム血症になってしまった場合や、代謝性アシドーシスを起こしている場合などには、経口投与ではなく点滴で入れなければならないケースもあります。

2.食事療法

腎不全の進行度合いによってその摂取量は異なりますが、尿毒症において重要な食事療法のポイントは、水分、タンパク質、塩分、カロリーの摂取量のコントロールです。

水分

健康な人の場合、腎臓では水の吸収と排出が行われますが、腎臓が水分のバランスをコントロールできない方は、自分で水分摂取量を調節しなければなりません。

尿の量は尿素や塩分と関係がありますが、腎臓の機能が落ちているとこれらの物質がうまく濾過できず、尿の量が減ったり、逆に増えたりします。尿の量が減っているのにたくさん水分を摂取すると、身体の中に水が多くなりすぎて浮腫(むくみ)や肺水腫になりやすくなります。

塩分

塩分控えめの食事

塩には水を引き込む力(浸透圧作用)があるため、腎不全によって塩分がきちんと排泄されず身体の中に溜まっていると、水分がどんどん増えて浮腫が助長されてしまい、水分が増えると血液量も増えるので、高血圧になってしまいます。
かといって、全く塩分をとらないと、今度は水分が不足して脱水症状を引き起こしてしまいます。水分と塩分には密接な関係があるため、そのコントロールが必要となります。

日本人の平均塩分摂取量は一日あたりおよそ11~12gと多めですが、できれば6~7g未満に抑えるのが望ましいです。なお、病状によって制限量は異なります。

タンパク質

タンパク質は筋肉を作るために大切な要素ですが、代謝する際には身体に大きな負担がかかります。タンパク質が分解されて生成される尿素窒素やクレアチニンをうまく排泄できないと、老廃物を体内に溜めてしまい、尿毒症の悪化につながるのです。

血中のクレアチニン量によってタンパク質の制限量は異なりますが、タンパク質の過剰摂取は避け、肉や魚、牛乳、卵などから質の良いタンパク質を適量摂取するよう心がけましょう。

カロリー

腎不全ではタンパク質の摂取を制限するので、エネルギー不足に陥りがちです。
食べ過ぎはよくありませんが、食欲がないからといって食べないと、脂肪だけでなく筋肉量がどんどん落ちていきます。筋肉が分解されると、タンパク質を摂取した時と同じ尿素窒素が作られてしまい、腎臓に負担をかけることになります。低タンパク・高カロリーの食事を目指しましょう。

3.人工透析

人工透析

尿毒症がみられるほど腎臓の機能が低下している場合は、すぐに適切な治療が必要となります。数値として、糸球体ろ過率10%、血清クレアチニン値8mg/dl以上の場合が対象です。
基本的には腎代替療法といって、だめになってしまった腎臓の代わりに透析装置を用いて、腎臓の働きを補います。

血液透析(HD)

血液透析では、腕の静脈から血液を取り出し、ダイアライザーという透析装置に血液を通して不要な尿素を排泄し、再び体内に血液を戻します。ダイアライザーは腎臓の代わりだと考えるとわかりやすいでしょう。

血液を出し入れするためには、手術によって動脈と静脈を結びシャント(内シャント)を作ります。シャントは血管に通じているため、とてもデリケートな部分です。詰まったり感染したりしないよう、腕にいつも包帯などを巻いて清潔にしておかなければなりません。
治療は1回につき4~5時間前後かかり、透析のために1週間に2~3回通院しなければなりません。

腹膜透析(PD)

お腹の中には、腹膜という臓器を覆っている半透明な膜があります。この腹膜には毛細血管が通っているので、お腹の中に透析液を注入して腹膜の血管を介して体内の毒素を綺麗に取り除き、不要物が移行した透析液を排出する方法が腹膜透析です。

腹膜透析ではお腹の中にカテーテルを入れなければいけませんが、自分で透析ができます。通院回数は月1、2回と、血液透析のように毎回通院する必要がなく、自宅や職場で治療を行うことが可能です。

なお、腹膜透析には「自動腹膜透析(APD)」「連続携行式腹膜透析(CAPD)」の2通りの方法があります。ADPでは自宅で眠っている間に自動的に透析を行うことができ、CAPDは一日数回に分けて透析を行う方法です。

尿毒症を予防するには

尿毒症が出現するほど症状を悪化させないためには、治療をお医者さん任せにするのではなく、生活習慣の改善など自分でできる範囲のことはしっかり管理する必要があります。
ただし、病気の進行具合、年齢、体重などによってもその内容は異なります。個人に合わせた正しいアドバイスの元で予防策を実践しましょう。

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