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    肝臓の不調で口臭がネズミ臭やドブ臭に!?原因/予防/対策

    肝臓の不調で口臭がネズミ臭やドブ臭に!?原因/予防/対策

    強烈な口臭は肝臓の病気が原因!?ネズミ臭・ドブ臭・アンモニア臭などひどい口臭を招く肝疾患の種類や口が臭くなるメカニズム、肝機能を改善する生活習慣などを解説。

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  • 更新日:2016年01月06日

ひどい口臭は肝臓の病気から来ているかも?

口臭の原因はさまざまです。歯周病が原因になっている場合もありますし、ストレスで口が臭くなることもあります。あまり知られていませんが、肝臓の不調・病気が原因で口臭が強くなる場合もあります。

肝臓と言えば、『アルコールを分解してくれる臓器』などと認識している人も多いと思いますが、肝臓にはさまざまな働きがあって、働きが悪くなると体にさまざまな悪影響を及ぼします。口臭もその一つであり、その口臭は「ネズミ臭」とも呼ばれます。名前の通り、強烈なニオイを放ちます。

そもそも、肝臓の働きとは?

肝臓の働きとは?

肝臓でアルコールが分解されることは、ご存知の方も多いと思います。でも、それだけではありません。老廃物や人の体に有害な物質を分解するといった「解毒」、食事で得た栄養素を体の中で利用できる形に変える「代謝」、脂肪の消化・吸収を助ける「胆汁を合成」、といった働きがあります。

肝機能の低下によるトラブル

肝臓の働きは多岐に渡るため、肝臓の機能低下による健康への悪影響はさまざまです。疲れやすくなる・脂肪がつきやすくなるといった症状から、黄疸・発熱・湿疹・高血糖・脂質異常などの症状まであります。

肝臓の働きが悪くなると、強烈な口臭になると話しましたが、解毒がうまく行われなくなり、体の外に排出されるはずの物質が体内に蓄積されてしまうことなどが原因です。

肝臓は言わずと知れた「沈黙の臓器」

肝臓が「沈黙の臓器」と呼ばれていることは、ご存知の方も多いと思います。
肝臓は機能が低下しても、痛みなど自覚しやすい症状が現れないのです。肝機能の低下によって起こる症状に、疲労感がありますが、疲れやすくなったからといって、肝臓の病気を疑う人は多くないでしょう。

肝臓の不調は気付きにくいため、肝臓の不調を放置してしまい、病気を発症させてしまうケースが多いのです。気付いた頃には、肝臓疾患が重症化してしまっていたというケースも珍しくないでしょう。
肝機能の低下による口臭は強烈です。強烈な口臭が、肝臓の不調を知らせるサインとなっている可能性があるため、見逃さないことが大切でしょう。

肝臓の不調が強烈な口臭を引き起こすメカニズム

肝臓の不調が強烈な口臭を引き起こす

肝臓には、体の中で使用済になった栄養素(老廃物)や毒性物質を分解する働きがあります。

肝臓の機能が弱ってくると分解能力が低下し、老廃物や毒性物質など本来排出されるはずの物質が、血液に乗って全身に運ばれてしまいます臭いの原因となる物質も、体の外に排出されることなく、全身を巡ってしまうのです。

血液によって運ばれた臭いの原因物質が、肺から呼気として排出されるため、口臭の原因となってしまいます。汗として排出されると、体臭の原因にもなります。

肝臓が原因の強烈な口臭はどんな臭い?

先にも、肝臓が原因の口臭は「強烈」だと言いましたが、肝臓の働きが悪くなることによって生じる口臭は、ドブの臭いネズミのような臭いカビの臭いなどと表現されます。
口臭はとてもデリケートな問題ではありますが、こんな指摘を受けたら、だれでもショックを受けてしまうでしょう。

肝機能の低下により体臭が発生することも…

肝臓にはアンモニアを尿素に変える働きがありますが、肝臓の機能が低下すると、スムーズに尿素に分解されず、そのままアンモニアが血液に乗って体内を巡ってしまう場合もあります。
アンモニアは、言わずと知れた悪臭物質です。そのアンモニアが息に混ざって排出されるのですから、口の臭いが強烈になってしまうのも納得できると思います。

肝臓が原因の口臭は主に「アルコール臭」「ネズミ臭」「アンモニア臭」

1.アルコール臭

アルコール臭

お酒をたくさん飲んだ次の日に、「酒臭い」と指摘されたことのある人は少なくないでしょう。この酒臭いニオイがアルコール臭です。

肝臓でアルコールを分解してできた、アセトアルデヒドや酢酸がニオイの原因となっています。通常は、これらの物質は尿として排出されるのですが、肝臓で処理しきれない量のアルコールを摂取すると、これらの物質が血液によって全身を巡り、体臭や口臭の原因となってしまうのです。

二日酔いによる頭痛や吐き気は、血液中のアセトアルデヒドの濃度が高くなることによって起こります。頭痛や吐き気などの症状がなくても、口臭や体臭には表れている場合もあるため、飲み過ぎた次の日は口臭・体臭対策が必要でしょう。

肝機能が低下するとアルコール臭も出やすくなります

肝臓の機能が低下すると、アルコールの分解能力も低下します。そのため、同じ人が同じ量のお酒を飲んだとしても、血中アルコール濃度は違ってきます。

また、肝機能だけでなく、アルコールの分解にはさまざまなことが影響していて、肝臓の大きさ年齢なども関係しています。男性は女性よりもアルコールが分解されるのが速いとされているのは、男性の方が肝臓の大きさが大きい傾向にあることが理由です。

2.ねずみ臭

ねずみ臭

ねずみ臭とは、その名の通りネズミのような臭いのことを言います。
肝機能の低下によって、悪臭の原因となる物質が分解されず、呼気として排出されるために起こります。本来体の外に排出されるはずの物質が、血液に乗って呼気や汗として排出されてしまうのです。

口臭や体臭がねずみ臭となっている場合、肝臓の機能を低下させる何らかの病気が疑われるでしょう。そして、肝臓疾患が進行するほど、この臭いも強くなります。ねずみ臭を指摘された場合は、早めに受診することが必要でしょう。

3.アンモニア臭

尿の臭いは、主にアンモニアによる臭いです。肝機能が低下すると、口臭や体臭が尿臭のようなアンモニア臭になってしまう場合もあります。

口臭や体臭がアンモニア臭になってしまう原因は、肝臓の不調だけではありませんが、肝臓疾患や腎臓疾患など、何らかの病気が隠れている可能性は否定できません。肝機能や腎臓機能の検査を受け、原因を明確にすると安心でしょう。

口臭予防に!すぐに始めるべき肝臓に良い生活習慣5つ

お酒を飲む人には、「肝臓に気をつけないと」と思っている人も多いかもしれません。しかし、肝臓の不調に気付きにくいため、なかなか行動に移すことができていない人も多いと思います。
口臭を防ぐため、健康のため、肝臓の機能を向上させる生活習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか?肝臓に良いことを取り入れ、肝臓に悪い生活習慣を改善するように心がけましょう。

1.お酒の量を控える

お酒の量を控える

アルコールを過剰に摂取すると、肝臓へのダメージが大きいです。肝臓に負担をかけ続けると、肝機能の低下・肝臓疾患を招いてしまいます。摂取量は日本酒で1合程度まで、ビールは中瓶1本程度までに抑えることが望ましいとされています。
また、アルコールの摂取量を抑えることに加え、週に1日以上の休肝日を作ることが大切とされています。

2.適度な運動を取り入れる

適度な運動を取り入れる

肝疾患は、お酒を飲まない人でも起こります。お酒以外にも、肝臓に負担をかける要因があるのです。その一つが運動不足であり、消費されなかったエネルギーを肝臓に溜め込んでしまうことによって、肝臓に負担がかかってしまうことが原因です。
適度な運動で、消費エネルギーを増やすことが大切です。

3.食べすぎないようにする

食べすぎないようにする

食事の量は適量を心がけることが大切です。先にもありましたが、摂取したエネルギーを消費し切れないと、肝臓に蓄積されてしまい、負担をかけてしまいます。また、食事量が多いほど、肝臓の活動量も多くなりますから、その分負担がかかりやすくなってしまいます。
暴飲暴食をせず、栄養バランスのとれた食事を適度に摂取することが大切でしょう。

4.規則正しい生活を心がける

不規則な生活は、疲労の蓄積につながり、肝臓に負担をかけてしまいます。十分に睡眠をとり、ストレスを溜めないようにすることも大切です。
不規則な生活やストレスは、自律神経のバランスを乱す原因となり、肝臓に悪影響を及ぼす可能性があるのです。

5.禁煙する

禁煙する

タバコには、さまざまな悪影響がありますが、肝機能にも影響しています。タバコに含まれている有害な物質は、肝臓で処理されます。タバコを吸う量が多くなるほど、肝臓を酷使していると言えるでしょう。
また、ニコチンは血液の流れを悪くしますから、これも肝臓機能に影響します。
過剰なストレスとならないようにしながら、禁煙に向けて取り組むことが大切です。

肝機能の低下は病気が原因!?主な肝疾患

主な肝疾患

肝臓の機能が低下する病気としてはウイルスによる肝炎とウイルス以外の原因で起こる肝障害があります。ウイルス以外の原因となる肝障害には脂肪肝、アルコール性肝障害、薬物性肝障害、自己免疫性肝疾患、先天性肝疾患があります。

これらの肝炎や肝障害が進むと肝硬変から肝不全になり死亡する場合もあります。特にC型肝炎から肝硬変になると肝癌になる場合もあります。

1.脂肪肝

脂肪肝は、名前からもわかるように、肝臓に脂肪(中世脂肪)が過剰に蓄積されている状態を言います。アルコールを多く摂取する人に多いイメージがあるかもしれませんが、アルコールを全く飲まない人でも脂肪肝になります。

アルコールを過剰に摂取したことによる脂肪肝を「アルコール性脂肪肝」と呼び、その他の原因から起こるものを「非アルコール性脂肪肝」と呼びます。脂肪肝は、アルコール性肝炎の前段階です。
肝臓内の中性脂肪の割合は、通常3%程度ですが、脂肪肝と診断されるのは30%以上です。

アルコール性脂肪肝

アルコールでなぜ脂肪肝になってしまうのか?と思った人も少なくないかもしれません。肝臓でアルコールは分解されますが、アルコールが分解される際に中性脂肪ができるのです。アルコールを多く摂取するほど、肝臓で中性脂肪が多く作られてしまうのです。

脂肪肝は、どこかが痛くなるといった症状が現れるわけではありません。そのため、進行を招きやすいと言えるでしょう。

アルコール性の脂肪肝は治りやすい!?

アルコール性の脂肪肝は、原因となるお酒を控える必要があります。でも、お酒をちゃんとやめれば、非アルコール性脂肪肝に比べて、短期間で改善できる傾向があります

非アルコール性脂肪肝(NASH)

非アルコール性脂肪肝は、肥満や糖尿病、脂質異常症、高血圧などの生活習慣病と深く関係していて、特に肥満の人に非アルコール性脂肪肝が多いとされています。

非アルコール性脂肪肝は、近年増加傾向にあります。改善には、肥満の解消が必要であり、減量を要します。適度な運動を取り入れ、栄養バランスのとれた食事の摂取が必要となります。
適切な対策を行わなければ、肝炎や肝硬変、肝がんに進行する場合もあるため、早い段階での対処が求められるでしょう。

2.肝炎

肝炎とは、肝臓に炎症が起きている状態です。炎症によって、肝臓の細胞が壊されてしまいます。アルコール性・非アルコール性がありますが、いずれも早期に適切な対処が必要です。
肝炎から進行すると、肝硬変になります。

アルコール性肝炎

アルコール性脂肪肝の状態でありながら、アルコールを過剰に摂取し続けてしまうと、肝炎に進行します。
肝炎の段階になると、命にも関わります。アルコール性肝炎が進行すると、アルコール性肝硬変へと進行します。

非アルコール性肝炎

非アルコール性肝炎には種類がありますが、生活習慣の影響を受ける非アルコール性脂肪性肝炎は非アルコール性脂肪肝から進行したもので、脂肪肝と同様に「NASH」と呼ばれています。

非アルコール性脂肪性肝炎

非アルコール性脂肪肝と同様に、肥満や糖尿病、脂質異常症などが関係しています。肥満や生活習慣病を招く、運動不足・過食・不規則な生活を改めることが不可欠となります。

ウイルス性肝炎

ウイルス性肝炎は、A型・B型・C型・D型・E型に分類され、5種類あります。日本で多いのはB型とC型であり、両方の感染者を合わせると、200万人を超えると推定されています。日本では肝炎の大半をウイルス性肝炎が占め、その割合は8割とも言われています。
感染する主な原因は、A型・E型は食べ物や水など、他は血液や体液とされます。

3.肝硬変

肝硬変は急に発症することはありません。原因にかかわらず、肝炎を放置することで肝硬変になります。つまり、肝炎の段階で適切な治療・対処を行うことで、肝硬変への進行を防ぐことができると言えるでしょう。
かつては、肝硬変は回復しない「非可逆的」とされてきました。一度発症すると、元の健康な肝臓に戻すことはできないのです。
肝硬変の治療は、進行を抑制し、合併症による症状の改善を目指します。

口臭が肝機能低下のサインかも!?

肝機能が低下すると、口臭が強くなります。肝疾患は進行するまで自覚できる症状がなく、進行させやすい特徴がありますが、口臭で肝臓の不調に気付くことも可能かもしれません。
口臭の原因はさまざまですから、「口臭=肝機能の低下」とは言えませんが、さまざまな角度から口臭の原因を見つけ出せるよう、知識を身に付けておくことは大切なことでしょう。

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