熊笹ってどんな植物?口臭予防への効果とは
クマザサ(熊笹・隈笹)はイネ科ササ属の植物で、草丈は40cm~1mほどの高さになります。庭に栽培されることも多い熊笹ですが、皆さんは、熊笹が口臭予防に効果があると言われていることをご存じでしょうか。
今回は、熊笹の効能や特徴のほか、副作用の有無や摂取時の注意点などをご紹介します。
熊笹とは
熊笹は、北は北海道から、南は鹿児島県の屋久島までと、日本全国に広く自生している身近な植物です。その効果や効能が科学的に証明されるずっと古くから、熊笹は人々の暮らしに役立てられてきました。
熊笹という呼称は、葉の縁が白くなっている様子が、まるで歌舞伎役者が化粧として施す「隈取り」のように見えることが由来になっていると言われています。昔から民間療法で薬草として親しまれてきた歴史があり、傷ややけどの手当に使われてきたことでも知られています。
その他、胃腸の病気や高血圧、糖尿病、ぜんそく、感冒(風邪)などに効果が期待できる万能薬と考えられてきました。
熊笹の利用方法
古くから、熊笹の葉は食べ物を包むためによく用いられてきました。現代の「ちまき」はお餅がチガヤの葉で包まれていることが多くなりましたが、昔は熊笹で包むこともありました。
笹団子や笹飴、笹寿司などにも熊笹が使われていたこともあり、もっと身近なところでは、おにぎりなど携帯する食べ物を熊笹の葉で包むこともあったようです。
また、ものを包むだけでなく、虫刺されなどのちょっとした手当や、口臭・体臭を消すためのケアにも使われてきました。このように、熊笹は古くから人々の暮らしに深くなじみ、広く親しまれてきたのです。
こういった使われ方をしてきたのは、昔の人々がクマザサの葉に殺菌・防腐作用があることを経験的に分かっていたためと考えられるでしょう。
熊笹の効能・作用
熊笹の健康効果は、ビタミンやミネラル、葉緑素(クロロフィル)、バンフォリンとよばれるササ多糖類といった成分が豊富に含まれていることに起因しています。
その用途は非常に幅広く、美容に健康にと、様々な効果が期待できます。では、具体的にはどのような効能が期待されるのか、詳しく見ていきましょう。
1. 口臭や体臭予防
熊笹に豊富に含まれる葉緑素には、肌表面や粘膜面における抗菌作用があります。この抗菌作用が口腔内や肌表面の臭いを抑え、口臭や体臭の原因を予防するのに役立ちます。
2. 貧血の改善
貧血には、赤血球の数の減少と共に赤血球1個あたりに含まれるヘモグロビンも減少する「小球性低色素性貧血」と、赤血球1個あたりに含まれるヘモグロビンの量は変化せず、赤血球の数が減少する「正球性正色素性貧血」の2種類があります。
葉緑素には、血中の赤血球に含まれるヘモグロビンの働きを助ける働きがあることから、貧血の症状を改善する効果があるのです。
3. 動脈硬化の予防
動脈硬化とは、血圧の上昇や喫煙、高脂血症などの原因により、動脈の内膜にコレステロールなどの脂質が溜まっていくことで、動脈の内腔が狭くなっていく症状です。熊笹に含まれるフラボノイドや食物繊維には、このコレステロールを吸着する性質があることが分かっており、血栓の生成を抑制して動脈硬化を防ぐ働きがあるとされています。
4. 高血圧・コレステロール値の抑制
熊笹に含まれる食物繊維や葉緑素には、悪玉コレステロールが腸管から吸収されるのを妨げる働きがあります。これにより、血中のコレステロール値が上がるのを抑えてくれるのです。
また、細胞を活性化する働きがあることから、血圧を安定させ高血圧を予防する効果も期待できます。
5. 胃の症状の改善
クマザサには、殺菌・解毒作用のある「安息香酸(あんそくこうさん)」という物質が含まれており、胃の中で細菌が増殖するのを抑えてくれます。胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因であるピロリ菌や黄色ブドウ球菌といった細菌を抑制しますので、これらの症状の改善に役立つとされています。
6. 肌トラブルの改善
ニキビなどの肌トラブルは、肌表面の常在菌であるアクネ菌の中でも悪玉アクネ菌と呼ばれる細菌が脂質を分解し、毒性のある過酸化脂質を生じさせることが原因となります。
クマザサの葉緑素には、肌表面のアクネ菌の増殖を抑える働きがあり、ニキビなどの肌トラブルの改善にも役立ちます。
熊笹の副作用・アレルギーは大丈夫?
万能薬のように様々な効果が期待できる熊笹ですが、摂取には注意が必要です。クマザサはイネ科の植物で、ビタミンを豊富に含有しています。実は、このことが副作用やアレルギーを引き起こす原因にもなるのです。
- お米にアレルギーがある方
米と同じイネ科の熊笹を摂取するのは控えたほうがよいでしょう。一般的な用量よりも減らして摂る、あるいは、医師に相談した上で判断を仰ぎます。
- 血栓症の治療を行っている方
ワーファリンという血液を固まりにくくする薬を処方されている場合、熊笹に含まれるビタミンKには止血作用があることから、このワーファリンの効果を弱めてしまう可能性があります。ワーファリンを服用している方は、熊笹の摂取は避けたほうがよいでしょう。
薬草として古くから親しまれてきている熊笹ですが、アレルギーの有無や摂取する方の体質、服用している薬の飲み合わせ等によっては、思わぬ副作用やアレルギーの原因にもつながりかねません。熊笹を摂取することに対し、少しでも不安があれば医師に相談し、問題がないことを確認してから摂取するようにしてください。
アレルギーがなく服薬していない方であっても、多量に摂取したからといって健康が増進されたり、症状が改善されたりするというわけではありません。くれぐれも過剰摂取には注意し、その商品の摂取量を守るよう心がけましょう。
また、購入時にはそのクマザサ製品の製造元、原産地などから安全性をしっかり見極めることも大切です。
熊笹の摂取方法は様々です
熊笹は様々な方法で摂取することができます。よく知られている摂取方法のうち、市販されているクマザサ商品をご紹介します。
青汁
熊笹の葉を粉末状にしたものを水で溶いて飲むクマザサ青汁は、葉をそのまま細かくしたものです。そのため食物繊維をまるごと摂取でき、熊笹の効能がより作用しやすくなります。特に、便秘改善の効果を期待する方にとっては、ピッタリの摂取方法です。
癖がなく飲みやすく味を整えられているものがほとんどですが、はちみつを加えたり、牛乳に混ぜて飲んだりする方も多いです。青汁の味が苦手な方は、自分の好みで飲みやすくアレンジするのもよいでしょう。
熊笹茶
乾燥させた熊笹の葉をお茶として抽出して飲む熊笹茶は、熊笹の成分もお茶の中に入っていますので、手軽に摂取できます。お茶の味としても飲みやすく、ほんのりと甘い香りとあっさりとした飲み口が特徴です。「ちょっと口の中をさっぱりさせたい」といった場合には、適した摂取方法と言えます。
熊笹エキス
熊笹エキスは、熊笹から抽出したエキスをサプリメントやドリンク剤などにしたものです。ただし、熊笹エキスがどの程度の濃度で含まれているのかは、その商品によっても異なりますので、購入時にチェックしておく必要があります。熊笹エキスは、忙しい方や外出先で手軽にクマザサを摂取したい方におすすめです。
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