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    ピロリ菌の症状チェック/口臭やおならが悪化することも!

    ピロリ菌の症状チェック/口臭やおならが悪化することも!

    ピロリ菌の症状はつい見過ごしがちなものが多いですが、万が一感染していた場合は重篤な病気を発症することも!胃の不調を感じている方は早めに病院を受診しましょう。

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  • 更新日:2016年08月24日

ピロリ菌の症状とは/口臭やおならが増えることも!?

皆さんは「ピロリ菌」という細菌の名前を聞いたことがありますか?何となく耳にしたことはあっても、実際にピロリ菌とはどんな菌なのか、感染するとどのような症状が出るのかを詳しく知っている方は少ないのではないでしょうか。

ピロリ菌に感染すると、私たちの身体には様々な症状が出現します。中にはピロリ菌の感染により、全身症状を伴う病気が引き起こされてしまうこともあります。今回はピロリ菌の症状について詳しく紹介していきます。

「ピロリ菌」とは?

ピロリ菌の特徴

ピロリ菌とは細菌の一種で、正式な名前を「ヘリコバクター・ピロリ」といいます。ピロリ菌は胃の粘膜の中に住み着いていて、らせん形をしています。全ての人間の胃の中に住み着いているわけではなく、感染している人と感染していない人がいます。

一般的には大人になってからピロリ菌に感染することはあまりなく、子供の頃に感染します。幼少期の食べ物の口移しや、おう吐物への接触などが感染する原因のひとつであると言われています。
北海道大学大学院医学研究科の教授、浅香正博氏の研究報告によると、ピロリ菌の感染率が高いのは、上下水道の完備が不十分であった戦後に生まれ育った団塊世代に多いことが分かっています。

ピロリ菌に感染しても、子供の頃は特に大きな症状はなく、感染していることに気付かないまま大人になることがほとんどです。しかし、大人になってから、ピロリ菌が原因となり様々な不快症状や全身的な病気を引き起こすことがあります

ピロリ菌に感染することによる主な症状とは?

ピロリ菌が引き起こす症状は様々で、「これが起こったらピロリ菌に感染している」と断定できるようなものはありません。
しかし、これらの症状を放っておくと、後々大きな病気につながってしまうことがあります。症状が続くようであればピロリ菌に感染している疑いがありますので、注意が必要です。

ピロリ菌は胃に住み着きますので、症状も胃の不快症状として表れてきます。主に見られるのは以下の5つです。当てはまるものがないかチェックしてみましょう。

  1. 胃もたれ
  2. 胸焼けや吐き気
  3. 食欲不振
  4. 食後の胃の痛み
  5. 空腹時の胃の痛み

上記のような症状は日本人には普段から起きやすく、「ストレスやただ胃の調子が悪いだけかもしれない」と放置されてしまいがちです。しかし、このような症状が長く続く場合は、ピロリ菌に感染している可能性があります。自己判断は難しいですが、病気の可能性も疑うべきでしょう。

胃の中でもピロリ菌が生きられる理由

胃の中は胃酸が存在し、金属を溶かしてしまうほど酸性度がとても高い場所です。ピロリ菌が最も活動的になるのはpH6~7の環境下ですので、本来であればピロリ菌にとっては住みにくい環境にあります。
しかし、ピロリ菌は「ウレアーゼ」という酵素を作り出す力を持っています。このウレアーゼが胃の中の尿素と反応し、アルカリ性であるアンモニアを発生させることにより、胃酸を中和させて生き延びているのです。

このとき発生したアンモニアは、胃の粘膜を傷つけて炎症を起こす原因となります。また、私たちの身体が胃の粘膜を守ろうとして生体防御反応が働くことにより炎症が起こることもあります。これらの炎症症状は胃の痛みなどの不快症状につながります。

口臭もピロリ菌の症状のひとつ!?

実は、ピロリ菌に感染すると、ピロリ菌が原因で口臭が強くなる場合があります。
ピロリ菌に感染して胃の調子が悪くなると、消化不良によって胃の中の内容物が発酵してしまいます。そのときに生じる発酵臭が口臭を助長してしまうのです。

また、ピロリ菌は胃の中で生き延びるためにアンモニアを発生させます。アンモニアはとても強烈な臭いを放つ気体ですので、そのニオイが胃から食道を通り、口腔内に到達することでさらに口臭が強くなることもあります。

ピロリ菌でおならが増える!?

ピロリ菌に感染し、胃の機能が低下し続けると「慢性胃炎」という病気になります。
慢性胃炎では胃粘膜が弱り、炎症が繰り返されることで治癒しにくい状態です。この状態が続くことで、おならやゲップが多くなったり、吐き気がしたりという症状が強くなってしまいます。

なお、慢性胃炎のほか、おならが増えてしまう病気としては、空気を飲み込むことによる「呑気症(どんきしょう)」、主にストレスが原因で慢性的に下痢や便秘などの症状が起こる「過敏性腸症候群(IBS)」「大腸がん」などが挙げられます。

ピロリ菌によって病気が引き起こされることも…

ピロリ菌に感染したまま時間が経つと、不快な症状だけでなく、様々な病気が引き起こされることがあります。ここでは、ピロリ菌に関わる主な病気をご紹介します。

慢性胃炎

慢性胃炎

ピロリ菌が胃の粘膜に感染している状態が長く続くと、その炎症が周りにどんどん広がっていきます。胃全体の粘膜が炎症を起こすと、慢性胃炎という状態になります。なお、このピロリ菌が原因で引き起こされる慢性胃炎を特に「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」といいます。

慢性胃炎と聞くとそこまで重大な病気に聞こえないかもしれません。しかし、この慢性胃炎の状態が続くと「萎縮性胃炎」、さらに萎縮が進行すると「腸上皮化生(ちょうじょうひかせい)」と呼ばれる現象が起こります。
腸上皮化生とは、胃粘膜が腸の粘膜のように変化してしまうことです。この腸上皮化生になった患者のうち、一部の方が胃がんを起こしたというケースも報告されていますので、決して「たかが胃炎」と楽観視できない病気と言えるでしょう。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍や十二指腸潰瘍の発症原因はピロリ菌やストレスによるものです。特にピロリ菌は胃潰瘍・十二指腸潰瘍になった患者のうち、約90%にピロリ菌の感染が見られたというデータもあるほど、胃潰瘍や十二指腸潰瘍との関連性が深いものです。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、胃や十二指腸の炎症が進行し、粘膜に潰瘍という大きな傷ができてしまっている状態です。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍になると、激しい腹部の痛みを伴います。主に胃潰瘍は食後、十二指腸潰瘍では夜間や明け方、空腹時に痛みが現れます。そのまま放置しておくと痛みも潰瘍もどんどん悪化し、潰瘍からの出血による吐血や下血を伴うこともあります。
なお、胃や十二指腸に穴が開いてしまっている場合は、手術を行わなければなりません。

胃潰瘍や十二指腸潰瘍は一度治っても再発しやすい厄介な病気ですが、ピロリ菌に対し薬の服用による除菌治療を行うとその再発率はぐっと下がります。

胃がん

胃がんの患者

2001年に報告された胃潰瘍・十二指腸潰瘍の患者を追跡した研究では、ピロリ菌に感染していない人の胃がん発症率は0%である一方、ピロリ菌に感染している人の胃がん発症率は2.9%という結果が出ました。
さらに、2008年に報告された調査では、早期胃がんを治療したのちに新しい胃がんが発生した人の割合を調べたところ、ピロリ菌を除菌することで、新しい胃がんができる確率が約3分の1にまで下がったという結果が報告されています。

このように、ピロリ菌と胃がんはとても密接に関係しています。もちろん、がん予防のためには食事や運動をはじめとする生活習慣の改善も重要事項ではありますが、胃がん予防のためにピロリ菌を除菌することは特に有効であると考えられています。

おかしいなと思ったら病院を受診しましょう

胃痛や食欲の減退のほか、口臭やおならなど、ピロリ菌による症状は生活に支障が出るものも少なくありません。
ピロリ菌は大人になってから症状が出る細菌です。「そういえばなかなか胃炎が治らない」「何度も胃の病気を繰り返してしまう」など、気になる症状がある方は、念のため病院でピロリ菌の検査をしてもらうことをおすすめします。

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