子供の口呼吸に注意!口臭/いびき/出っ歯の原因に…
自分の子供が鼻呼吸なのか口呼吸なのか、あまり意識したことがないかもしれません。しかし、口呼吸は口臭やいびき、虫歯、出っ歯、風邪といったさまざまな悪影響を及ぼすため、大人が早く気付いて改善してあげることが必要です。
「うちの子は風邪を引きやすい」「歯並びが良くないから矯正が必要かも…」と思っているママ・パパも少なくありませんが、これらは口呼吸が原因になっているかもしれないのです。
口呼吸は悪影響ばかり…主なデメリット6つ
口呼吸の主なデメリットは次の通りです。口呼吸による悪影響によって、メンタルや発育などに、さらなる影響が及んでしまう可能性も否定できません。口呼吸によって、どこかが痛くなったりするわけではありませんから、軽くみてしまう人も少なくありませんが、大きな影響が及ぶ前に対処してあげることが大切です。
1.口臭が強くなる
子供も口が臭くなることがあります。口臭は、痛みなど自覚しやすい症状はありませんが、とてもデリケートな問題であるため、適切な対処が必要になります。
お友達に「口が臭い」と指摘されたことがきっかけで、引っ込み思案になってしまったり、いじめに発展してしまったりする可能性も否定できないでしょう。
口呼吸は、口の中の乾燥を招きます。乾燥することによって、細菌が繁殖しやすくなって口臭が強くなってしまうのです。
口臭はなかなか自分で気付くことはできませんから、大人が気付いて対処してあげることが大切です。もちろん、親の言葉であっても子供は傷つくことがありますから、慎重に対応することが求められるでしょう。
2.虫歯になりやすくなる
先にもありましたが、口呼吸は口の中の乾燥を招き、細菌の繁殖を招きます。虫歯の原因となる細菌も繁殖しやすくなります。
また、唾液には口の中の汚れを除去する働きや再石灰化を促進する働き、酸性に傾いた口腔内を中和して脱灰(歯が酸によって溶かされること)を起こりにくくする働きなどがありますが、口の中が乾燥することによって、唾液の効果が得られず、虫歯ができやすくなってしまうのです。
歯周病のリスクも高まる
口呼吸は口腔内細菌の繁殖を招くため、歯周病のリスクも高まります。歯周病は年齢が高くなるほど罹患する率が高まりますが、近年は子供にも歯周病の初期段階である歯肉炎を多く発症しています。
子供も、口呼吸を続けることによって、歯肉炎になりやすくなってしまうのです。
3.見た目の印象が良くない
口呼吸が習慣になると、口をポカンと開けていることが多くなります。大人も同様ですが、口をポカンと開けたままでいることは、だらしない・まぬけといった良くない印象を与えてしまうでしょう。
お口ポカンは 口の周りの筋肉が緩む
口呼吸によって、口を開けている時間が長くなると、口の周りの筋肉(口腔周囲筋)が緩んでしまいます。口腔周囲筋がゆるむことによって、口を閉じにくくなったりするのです。
「お口閉じようね」などと声をかけた時に、口を閉じることができたとしても、やはり口が開いている方が楽なので、意識しなければ口を閉じられなくなってしまいます。
4.歯並びが悪くなる
口呼吸が習慣化すると、舌も正しい位置でなくなってしまいます。舌の位置が正しくないと、顎の成長や歯並びに影響し、悪い歯並びになりやすくなります。
通常は、舌が上顎の前歯の少し後ろにつく位置にありますが、口呼吸の場合は口を開けて空気を吸い込みますから、この位置に舌が来なくなってしまいます。このことにより、上顎が十分に成長しない(広がらない)ため、上顎前歯が前に出てしまい、出っ歯になってしまうのです。
口呼吸を改善しなければ矯正治療の効果も出にくい
近年は、さまざまな矯正治療が登場し、悪い歯並びの治療も可能となっています。しかし、やはり歯並びを悪くする習慣を改善しなければ、矯正治療の効果が出にくいですし、後戻りを招く要因となってしまいます。矯正治療とともに、口呼吸の癖を改善することが必要です。
5.風邪や病気にかかりやすくなる
鼻呼吸では、鼻粘膜などがフィルターの役割をしているため、外から細菌やウイルスが侵入するのを防ぐことができます。また、粘膜の働きによって湿った空気が肺に送られます。
しかし、口呼吸になると、細菌やウイルスをそのまま体内に取り込んでしまうため、感染しやすくなってしまいます。乾燥した空気をそのまま吸い込むため、喉にも負担がかかります。
「風邪を引きやすい」「毎年インフルエンザになる」というのは、口呼吸が原因かもしれません。もちろん、病気への抵抗力は個人差がありますし、食事や睡眠などさまざまなことが影響していますが、口呼吸もリスクを高める一つの要因となっています。
6.脳の働きに悪影響・学習能力が低下する
鼻呼吸と口呼吸では、鼻呼吸の方が酸素を多く取り込むことができるとされています。
また、鼻呼吸には、脳を冷却する働きもあります。活動によって温度が高くなった脳を冷やすことによって、脳の働きを低下させないようにできるのです。口呼吸では、血流が良くなって温度が高くなった脳を冷やすことができません。そのため、集中力が続かなかったり、学習能力が低下したりするとされています。
そもそも、口呼吸になるのはどうして?
口呼吸になってしまう原因は、鼻づまりや歯並びです。
鼻が詰まっていると苦しくなってしまいますから、自然に口で呼吸するようになってしまいます。一時的な口呼吸はそれほど問題ではありませんが、慢性的に鼻づまりが続き、口呼吸が長期的に続いてしまうと、口呼吸が習慣化してしまいます。
また、歯並びが原因で口呼吸になってしまう場合もあります。歯並びが悪いために、口が閉じにくいことが原因です。意識的に口を閉じることはできても、意識をしていない時は口が開いてしまうのです。
口呼吸の期間が長くなればなるほど、それだけ骨格や筋肉の発達に影響するため、改善が困難になる可能性が高いでしょう。また、口呼吸を招いた根本の原因を改善することも必要になります。
口呼吸を治す主な6つの方法
口呼吸の治し方はさまざまです。鼻づまりだけが原因ならば、鼻づまりを改善することで、鼻呼吸に変えることは可能かもしれません。しかし、子供の口呼吸は骨格や歯並びなどにも影響しやすいことから、口呼吸によって悪影響が及んだ部分へのアプローチも必要になる場合があるでしょう。子供の口呼吸に気付いたら、早めの対処が必要なのです。
1.鼻づまりを解消する
口呼吸の根本の原因が、鼻づまりであるケースも多いです。蓄膿症やアレルギーなどは、長期的な鼻づまりを招きます。「ただの鼻づまり」と放置せず、耳鼻科を受診して適切な治療を行うことが必要でしょう。
2.口呼吸テープを使用する
口にテープを貼って開かないようにし、口呼吸を防ぐ方法です。もちろん、鼻詰まりがある場合には、呼吸ができなくなってしまうため使用できません。
専用のテープも販売されていますが、医療用のテープなどで代用も可能です。(肌荒れする場合は、すぐに使用を中止してください)
3.鼻腔を拡げるテープを使用する
鼻にテープを貼ることによって、鼻腔を広げて鼻呼吸を行いやすくできます。もちろん、鼻づまりの根本原因を治す方法ではありませんから、耳鼻科を受診して適切な治療を行うことも必要です。根本原因となる疾患治療との併用が望ましいでしょう。
4.口を閉じるように声がけする
「お口を閉じようね」などと、気付いた時に口を閉じるように声をかけることも必要でしょう。もちろん、時間が経つと忘れてしまうかもしれませんが、怒らずにやさしく声をかけてあげることが大切です。
5.歯並びを治す
口呼吸の原因が歯並びにあるならば、歯並びを改善しなければ鼻呼吸に変えられない場合もあります。歯並びに原因があるかもしれないと思う場合には、小児歯科や矯正歯科を受診すると良いです。
単に歯並びを治しただけでは、矯正治療の効果も出にくくなってしまいますし、長期的に良い歯並びを維持することはできません。歯を動かすことだけでなく、顎の成長や筋肉の発達など、総合的にみて治療を行う必要があるでしょう。
6.口の周りの筋肉を鍛える
口呼吸や歯並びが悪くなることは、口周りの筋肉(口腔周囲筋)と深く関係しています。そのため、口周りの筋肉が衰えてしまうと、口呼吸になってしまったり、歯並びが悪くなってしまったりする場合があるのです。
また、その反対のこともあり、口呼吸や悪い歯並びが筋肉の発達を阻害する場合もあります。
口周りの筋肉を鍛える方法に、MFT(口腔筋機能療法)があります。
おしゃぶりで口呼吸が改善できる?
「おしゃぶりは歯並びを悪くする」という認識が強いかと思います。しかし、口呼吸になるのを防ぐことができるというメリットもあります。
もちろん、大きくなってからもおしゃぶりの使用を続けていると、歯並びに悪影響となってしまうため、3歳になるまでに使用をやめることが望ましいでしょう。
しかし、どうしてもおしゃぶりをやめられない子は少なくないようです。心理面を考慮することも必要なので、慎重に進めることも大切でしょう。どうしてもやめられない場合は、小児歯科などで相談すると良いでしょう。
口呼吸を病院で治すには?何科を受診?
原因に応じた病院選びが必要だと言えるでしょう。口の中に問題がある場合には、歯科医院や小児歯科で相談すると良いですし、鼻や喉に問題がある場合には耳鼻咽喉科を受診すると良いです。
鼻詰まりはないか、歯並び・噛み合わせは正しいかなど、普段の子供の様子をよくみて、何科を受診すれば良いのか検討すると良いでしょう。
子供のいびきに注意!?
いびきをかくことは珍しいことではありません。子供のいびきの主な原因は鼻づまりですが、この鼻づまりが一過性のものでない場合もあるため注意が必要でしょう。
特に、アデノイド肥大が原因となっている場合には、口呼吸になるだけでなく、顔つきが独特になる(アデノイド顔貌)、睡眠時無呼吸症候群、集中力の低下、成長障害といったさまざまな悪影響が懸念されます。
子供の発育にさまざまな影響があるため、「ただのいびき」と軽視するのは良くありません。何らかの原因が隠れている可能性があるのです。こどものいびきに気付いたら、「トラブルのサインかもしれない」と捉え、注意してみてあげることも大切でしょう。
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