糖尿病が口臭を発生させる!?その原因と対策
糖尿病と口臭、一見あまり関係のなさそうに思ってしまいますが、糖尿病になると独特の口臭を発生させるようになります。もしかしたら、気になる口臭の原因が糖尿病かもしれないのです。
糖尿病は大人だけではなく、子どもでも発症します。糖尿病がどういう病気で、どういうことに気をつけなければならないのか、しっかり把握して食事や生活習慣などに配慮していきたいものですね。
糖尿病ってどんな病気?
糖尿病とは、血液中の糖分(血糖)が高い状態が続いてしまう病気です。「血糖値」という言葉をよく耳にするかと思いますが、これは血液中に含まれる糖の割合のことです。
血糖値は、「インスリン」というホルモンの作用によって下がりますが、糖尿病になるとインスリンが何らかの原因によって欠乏あるいは不足し、血糖値が高い状態(高血糖)が続いてしまいます。
高血糖が続くことによって恐ろしい合併症を引き起こされるため、適切な血糖値のコントロールが必要になります。
糖尿病の種類
また、糖尿病は大きく分けて、「1型」と「2型」の2つのタイプがあります。
1型糖尿病
インスリンの欠乏による糖尿病です。インスリンを分泌するすい臓の細胞が壊れることによって、インスリンを分泌できなくなってしまいます。そのため、インスリン注射を行うことによって、インスリンを補う必要があります。
子供や若年層に多く見られますが、全ての糖尿病患者のうち1割にも満たない患者数となっています。
2型糖尿病
インスリンの働きが悪くなったり、分泌が少なくなったりすることで、血糖値が高くなってしまいます。糖尿病の大半が2型とも言われていて、遺伝的な要因のほか、生活習慣も影響しています。
主に中高年世代に多いと言われていますが、近年は子供の肥満増加に伴い、子供の2型糖尿病が増えていることが指摘されています。
2型糖尿病は生活習慣病の一つですが、運動不足や肥満のほか、日本人はインシュリンを分泌する機能が欧米人に比べて遺伝的に弱いことが発症に影響しています。
糖尿病のメカニズム
私たちは、毎日の食事によってさまざまな栄養素を体内に取り入れています。血液中に取り込まれたブドウ糖の濃度は、通常インスリンによってコントロールされます。しかし、この調節が上手くできなくなってしまうと、血糖値が高い状態が続いてしまいます。
インスリンとは
血液中のブドウ糖を筋肉や肝臓などへ取り込み、血糖値を下げる働きを持つホルモン。すい臓の「ランゲルハンス島」のβ細胞から分泌され、全身のさまざまな細胞でブドウ糖をエネルギーとして利用できるように作用します。
糖尿病と口臭の関係
一見あまり関係なさそうに思われますが、糖尿病になるとイヤな口臭を発生させることがわかっています。口臭がきっかけで糖尿病に気付く人もいます。
なぜ糖尿病が口臭を発生させるの?
糖尿病になるとインスリンが不足しますが、これによって糖を分解してエネルギーをつくり出すことができなくなり、代わってたんぱく質や脂肪を分解してエネルギーをつくり出すようになります。
この過程で「ケトン体」という物質が作られてしまうのですが、これが口臭の原因になります。ケトン体の中の「アセトン」という物質は独特な臭いがあり、口臭だけでなく体臭の原因になるのです。
ケトン体が糖の代わりにエネルギーとして使用されるため、ケトン体が血液中に取り込まれ、全身を巡ります。ケトン体中のアセトンが呼気として排出されたり、汗と一緒に排出されたりする際に、臭いを放出してしまいます。
アセトンによる口臭はどんなにおい?
糖尿病に罹っている人のアセトンが原因の口臭は、腐ったフルーツのような甘酸っぱいニオイがします。
ドライマウスが原因となる場合も!?
糖尿病の症状の一つに、唾液分泌量の減少があります。唾液の分泌量が低下することによって、口腔内が乾燥し、いわゆる「ドライマウス」の状態になります。
ドライマウスになってしまうと口の中の細菌が繁殖しやすくなるため、口臭が強くなる原因になります。
また、ドライマウスは歯周病や虫歯のリスクを高めるため、さらなる口臭原因を招きかねないと言えるでしょう。
糖尿病による口臭対策は?
糖尿病による口臭は、根本原因である糖尿病を改善しなければ口臭も改善されないと言えるでしょう。適切な血糖値のコントロールが必要です。
口臭の原因の多くが口の中にあることから、口臭が気になると歯磨きなどオーラルケアに努める人が多いですが、口の臭いの原因が糖尿病である場合には、糖尿病の対策が必要となるため、甘酸っぱい口臭の場合には糖尿病検査を受けることが望ましいでしょう。
糖尿病は合併症を招く恐ろしい病気ですから、放置することは危険です。口臭の改善はもちろん、全身の健康のためにも口臭の原因を明確にすることが大切です。
糖尿病の予防・治療において、次のような生活習慣の改善が必要になりますが、糖尿病の可能性がある場合には、自己流の対策だけではなく、医師の指示に従った治療が必要になるでしょう。
糖尿病予防のための生活習慣改善ポイント
1.ストレスを溜めない
ストレスは血糖値が高くなる原因になります。普段からストレスを解消するように心がけ、ためないことが大切です。
2.正しい食習慣を心がける
糖尿病=食事制限というイメージがあるかと思いますが、単にカロリーや糖質を制限するのではなく、影響バランスの良い食事を心がけることが必要になります。
また、食事の時間が不規則にならないようにしたり、間食を控えたりすることも必要になるでしょう。
3.適度に運動する
運動によってインスリンの働きが良くなることから、糖尿病治療において運動は不可欠とも言えます。また、適度な運動によって合併症の発生リスクを下げる効果も期待できます。
4.禁煙に努める
喫煙は、糖尿病の原因の一つであると考えられています。そもそも喫煙者には独特の口臭がありますので、「タバコをやめる」ことが口臭対策、ひいては糖尿病対策にとっても最善の策と言えるでしょう。
子供も糖尿病で口臭が!?
糖尿病は、運動不足や肥満など生活習慣が影響していると思われがちです。しかし、1型糖尿病はインスリンを分泌する細胞が壊れてしまうことが原因です。どうして細胞が破壊されてしまうのか、現在のところ明確になっていません。
1型糖尿病は子供に多いことが知られています。小児糖尿病の約8割が1型で、約5000人が発症しているとされています。
1型はインスリン注射が必須であり、体重や食事量、運動量を勘案していかなければならず、現在のところ完治が難しいとされ、上手に付き合っていくことが必要になります。
こどもの糖尿病の口臭
糖尿病には独特の口臭があることは先に触れましたが、子供が糖尿病である場合も、大人と同様に口臭を発生させます。その独特の口臭から糖尿病が発見される場合もあります。
いち早く口臭に気づいて適切な対応を
糖尿病は合併症が引き起こされる病気です。インスリンの使用や生活習慣に注意することによって、血糖値をコントロールしなければ、合併症が起こってしまいます。
主な合併症は、「網膜症」、「腎症」、「神経障害」で、この3つは「糖尿病3大合併症」と呼ばれています。
糖尿病の症状や治療法は大人も子供もほぼ同じです。ただし、子どもはやはり自らの症状や具合を、うまく伝えられないこともあります。したがって、親は常に子供の状態を気にかけてあげましょう。口臭も重大な一つのサインです。注意深く見守ってあげることが大切です。
心のケアの重要性
糖尿病による口臭は大人も子どもも同じです。しかし、子どもの場合は学校や友だち関係などでからかわれたりする対象ともなり得ます。
糖尿病による口臭の場合には糖尿病の治療が第一となります。口臭がある場合には、病院と相談すること、そして保育園や学校ともしっかり連携し、相談をしながら心のケアに努めていくことが必要です。
なお、子どもの糖尿病は1型である場合が多いのですが、昨今は中学生以降の2型糖尿病の発症増加が指摘されています。
親は子どもの食事内容や生活習慣に留意しながら健康に育てていくことに努めたいものですね。
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