銀歯が取れたら放置は厳禁!適切な対処法は?
「食事をしていたら銀歯が取れた」「仮止めしていた銀歯がなくなってしまった」などといった、急な銀歯のトラブルに遭ったことはありませんか?
日中であれば、かかりつけの歯科医院に電話すれば適切な対処法を教えてくれるでしょう。しかし、夜間の場合、歯科医院が閉まっているため、どうしたらいいか電話で聞くこともできません。
今回は、銀歯が取れたときの対処法について詳しく解説します。
そもそも銀歯が取れてしまう原因は?
銀歯が取れてしまう理由は様々ですが、主に以下のようなことが考えられます。
銀歯の下に虫歯がある
銀歯と歯の間には、微小ながらも隙間ができています。その隙間には細菌が入り込みやすいため、治療していない歯よりも圧倒的に虫歯のリスクが高いのです。
虫歯になると歯が柔らかく溶かされていき、銀歯が適合しなくなるため脱離しやすくなってしまいます。
歯科用セメントの劣化
銀歯をつけるための接着剤である歯科用セメントは、時間経過と共にどうしても劣化してしまいます。適切な方法でしっかりと接着しても、一生持つことは少ないでしょう。歯科医師の腕やものにもよりますが、銀歯は数年から長くても10年ほどで寿命がきてしまうことが多いです。
なお、虫歯はなく、セメントの劣化により銀歯が外れた場合、銀歯を再利用できることもあります。
銀歯が取れた!どうしたらよい?
銀歯が取れてしまった場合、最初に行うべきなのは、かかりつけの歯科医院への予約です。銀歯といっても形やケースは様々ですので、できれば電話で次回の予約までどうすればよいか、処置方法を尋ねましょう。このとき、「処置の仕方をあまり理解できなかった」という方は、まずは銀歯を捨てずに保管しておきましょう。
なお、取れた銀歯をティッシュに包んでおくと間違って捨ててしまうことがあるので、保管する際には小さなビニール袋やタッパー容器などに入れておき、次回の予約時に持参してください。
直接、歯科医院を訪れた場合は、急患扱いで応急処置を受けることが多いでしょう。銀歯を仮止めして、次回の予約以降に本格的な治療を行います。グラグラで保存ができない歯の場合は、その場で抜歯してしまうこともあります。
銀歯を自分で戻すと起こる悪影響
取れてしまった銀歯は、一見すると自分で付けられそうな気もします。しかし、余計なことをすると後で大変になる場合もあります。自己判断で不可逆的な処置を行うことはくれぐれも避けましょう。
特に気をつけてほしい事項として、以下のようなことが挙げられます。
銀歯は口腔内に戻さない
銀歯が取れてしまった際、中には「銀歯がないと前歯がなくなってしまって恥ずかしい」「とりあえず銀歯を歯に被せておきたい」と考える方も多いでしょう。
しかし、外れやすい銀歯を口の中に戻すと、外れたときに誤飲してしまう可能性もあります。飲み込んだ際に気管に詰まってしまうと、呼吸困難に陥る恐れもあり、特に小さな子供や高齢者の方はとても危険です。銀歯が取れたら、口腔内には無理に戻さないようにしましょう。
また、歯5~6本分のブリッジなど比較的大きい銀歯の場合は飲み込む恐れもほぼありませんが、それでも口腔内に長時間入れておくことはやめましょう。
自分で銀歯を接着剤でつけない
家庭用の接着剤を使って銀歯をつけてしまった場合、歯科医院で再利用できたかもしれない銀歯や健康な歯ごと削らなければならない可能性があります。取れた銀歯に対し、自分でアロンアルファなどの接着剤を用いて歯にはめることは絶対に止めてください。
そもそも、家庭用の接着剤は口の中に入れてよい材料ではありません。身体に悪影響を及ぼすリスクがありますので、使用しないでください。
歯科医院で銀歯を歯に接着するときは、口腔内専用の接着剤(歯科用セメント)を用います。完全に取れないようにする強力な接着剤や、仮止めをしておくための外れやすい接着剤など、いろいろな種類の接着剤があります。また、一部の接着剤の中にはフッ素が含まれており、虫歯を予防する効果もあります。
すぐに歯医者へ行けない時はどうしたらよい?
病院へ電話がつながらない夜間に銀歯が取れてしまった場合や、旅行先で取れてしまった場合などにはどうすればよいのでしょうか。
すぐに歯医者へ行けない場合は、銀歯を失くさないように取っておき、食事時には銀歯が取れた側でものを噛まないよう注意しましょう。熱い・冷たい・硬いものを噛む、パンなどを引き千切る、辛いものを食べるなど、歯に刺激を与えることは極力避けてください。もちろん、指で患部をいじることもやめましょう。
もし痛みがある場合は、ロキソニンやカロナールといった鎮痛剤を飲んで一時的に我慢しましょう。
銀歯が取れたまま放置すると起こりうるデメリット
銀歯が取れたままでいると、日常生活が不便になるばかりか、後々の治療に大きな支障をきたすことがあります。どんな問題が起きるのか、具体的に解説していきます。
1.虫歯が進行する
銀歯が取れてから時間が経てば経つほど、虫歯のリスクは高まります。
銀歯の下に虫歯がある状態を二次カリエス(にじかりえす)と呼びます。二次カリエスの場合、放置していると虫歯がどんどん深くに進行してしまいます。
歯を覆うような大きな銀歯は既に神経が死んでいることが多いので、すぐに痛みは感じません。そのため、気づいたときには手遅れで、抜歯しなければならないケースも少なくありません。
2.口臭が強くなる
二次カリエスによって銀歯が取れた場合は、普段からしっかりと歯を磨けていないことが多いです。細菌の塊であるプラークが歯に多量に付着していると、それが口臭の原因となる場合もあります。
また、歯科用セメントの経年劣化で銀歯が取れた場合でも、放置するとその部分は虫歯になりやすくなります。虫歯があるということは細菌が増殖している証拠であり、細菌が出す臭いガスによって口臭が強くなります。
3.見た目が悪くなる
奥歯ならあまり気になることはないのですが、前歯部の銀歯が取れてしまった場合、見た目が悪くなり、歯が抜けたように見えてしまいます。結果、歯を見せるのが嫌になり、人前で笑うことが苦手になってしまいます。
4.歯が移動してしまう
歯というものは、噛み合わせがないと移動してしまう性質を持っています。
例えば、下顎の銀歯が1本取れた場合、歯の高さが低くなるので、その銀歯と噛み合っていた上顎の歯が下方へ飛び出してきます。すると、銀歯を作り直す際に高さの低い銀歯を作らなければならず、銀歯の金属量が減ってしまい、強度の弱い銀歯になってしまいます。
また、噛み合わせを調整するときに、銀歯以外の天然の歯を削らなければいけない可能性も出てきます。
取れた銀歯を飲み込んでしまった!どうしたらよい?
万が一、自分自身や誰かが自宅で銀歯を飲み込んでしまった場合、息苦しく呼吸がしづらいといった身体に異常が見られるようであれば、すぐに救急車を呼んでください。喉に異物を詰まらせた際の対応として、「ハイムリック法(腹部突き上げ法)」や「背部叩打法」といった応急処置がありますが、これは実際に練習してみないと難しいでしょう。
全く問題がない場合は、次回の来院時に銀歯を飲み込んでしまった旨を歯科医師に伝えた上で、しばらく様子を見ましょう。
歯科医院における治療中でも、小さなインレーなどを装着する際に誤って飲み込んでしまうことがたまにあります。そういった場合には、喉頭部や胸部のレントゲン写真を撮影できる病院に行って、気管などに銀歯が詰まっていないかどうか、念のため確認を行います。
喉に詰まっていることがなければ、そのうち排泄物と一緒に出てくるので、経過を見ることになります。
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