ブリッジで口臭が悪化する!?ニオイ防止に行う対策方法
虫歯や歯周病、事故などの理由により歯を失った場合、歯を補うための治療を行う必要があります。ブリッジはその治療法のうちのひとつで、歯がなくなった部分の両隣の歯を削り、ダミーの歯がついた被せものをすることでなくなった歯を補う方法です。
ブリッジは入れ歯のように取り外しをせずに済む一方、清掃が難しいために汚れが溜まりやすく、口臭が気になるという方が少なくありません。
今回はブリッジによる口臭が発生するメカニズムとニオイの防止策についてご紹介します。
現在ブリッジを装着している方、これからブリッジを装着する予定の方は、今後ブリッジを清潔に長く使用するためにも是非チェックしてみてください。
ブリッジで口臭が強くなる!?主な3つの原因
ブリッジで口臭が発生する原因として、以下のようなことが挙げられます。
1.磨きづらい形態をしている
ダミーの歯を歯肉の上に乗せる、取り外しができないといったブリッジの構造は、毎日の清掃において不利に働きます。食べかすや歯垢などの汚れが蓄積しても磨きにくいため、ニオイが増し、歯周病の進行へとつながります。
2.歯周病が進行しやすい
歯周病は、歯と歯肉の間の溝(歯周ポケット)に細菌や汚れが入り込むことで歯茎に炎症が起こり、歯を支えている歯槽骨にまで炎症が波及して溶かされてしまう病気です。歯周病が重度の状態にまで進行すると、最悪の場合、歯が抜け落ちてしまうこともあります。
歯周病には歯肉炎と歯周炎の2種類があり、歯肉炎がひどくなると歯周炎へと移行します。
歯周病を引き起こす歯周病菌は悪臭を放つガス(VSC)を発生させます。そのため、歯周病になると強烈な口臭が引き起こされます。歯周病患者からは特に「メチルメルカプタン」というガスが高濃度で検出され、そのニオイは「玉ねぎの腐ったような臭い」、「野菜の腐敗臭」などと表現されます。
3.虫歯になりやすい
一度治療した歯は、その他の健康な歯に比べて弱く、どうしても虫歯になりやすいものです。
また、ブリッジがどんなに適合していても、年数を経ることによって材質は劣化していきます。土台の歯とブリッジの間から虫歯が進行していくことは少なくありません。土台の歯の虫歯を放っておくと、歯の根に膿が溜まったり、悪臭を放ったりするだけではなく、最悪の場合、ブリッジがグラつき外れてしまう場合もあります。
ブリッジの磨き残しやすい箇所は?
ブリッジを装着した直後から起こり得るのが清掃不足による汚れの蓄積です。
では、ブリッジのどの部分が磨きづらいのでしょうか。ブリッジの中でも特に磨き残しの多い3つの箇所を紹介します。
1.ダミーの歯の下
ブリッジのダミーの歯の部分をポンティックと言います。
ポンティックの形には様々な種類があり、ポンティックの底の部分が少しだけ歯肉に接触しているタイプもあれば、歯肉から完全に離れているタイプなど、患者さんの失った歯の場所や歯肉の状態により、それぞれ異なる形で作られています。そのため、装着感や見た目はもちろんのこと、掃除のしやすさにも違いがあります。
完全に歯肉と離れているタイプ以外は、ポンティックと歯肉の間に汚れが溜まりやすいので、こまめな清掃が必要です。特に、抜歯した後の凹みにぴったりとくっつくタイプや、歯肉に全てが覆い被さるようなタイプは注意が必要です。
2.ダミーの歯と両隣の歯の間の連結部
ポンティックと隣の歯は連結されています。この連結部は、ポンティックの形態に関わらず歯肉との間に隙間ができてしまうので、やはり汚れが溜まり、ニオイが生じやすくなります。
3.両隣の歯の被せものと歯肉の間
ブリッジの左右の両端の歯は、クラウンとほぼ同じ作りの被せもので作られています。歯と被せものの間には微細な段差があるので、磨き残しが発生しやすい場所です。段差がある場所は歯と歯肉の間で見えづらいですが、歯肉が下がって歯根が露出している方は確認しやすいでしょう。
ブリッジにしても清潔に!上手なお手入れで口臭対策
「磨きづらいのであれば、いっそブリッジを装着しない方がよいのでは?」と考える方も多いことでしょう。
しかし、歯がなくなったままの状態を長く放置していると、見た目の問題だけではなく、空いたスペースに隣の歯や上の噛み合うはずの歯が出てきてしまうなど、その他の歯にまで悪影響を及ぼす恐れもあります。
口臭を発生させることなく、長くブリッジを使い続けるためには、ブリッジに適したお手入れ方法をマスターすることが大切です。
1.歯ブラシで全体を丁寧にブラッシングする
まずは、通常の歯ブラシを用いて歯全体をしっかり磨いていきます。このとき、歯と歯肉の間に毛先が入り込むように当てるのがポイントです。歯の生えている方向に対して45度に歯ブラシを傾け、歯肉をマッサージするように優しく磨いていきましょう。
歯と歯の間は小刻みに動かすことで、汚れがよく落ちます。ポンティックの下や連結部も、汚れを掻き出すように丁寧にブラッシングします。
2.ポンティックと歯肉の間はタフトブラシを使う
ポンティックと歯肉の間など、ヘッドの大きい通常の歯ブラシではブラッシングが困難な場所には、タフトブラシという円柱状に毛が揃えられた細い歯ブラシが有効です。
タフトブラシはブリッジ以外にも矯正中の歯や、生えかけの親知らず、インプラントの歯の清掃ケアなどに使用される、部分磨きに適した清掃道具です。
タフトブラシの毛のカット形状には山切り型と平切り型がありますが、山切り型の方が隙間に入れやすいため、初心者の方にもおすすめです。
3.連結部にはデンタルフロス・歯間ブラシを使う
ポンティックと歯肉の間と同じく、ブリッジの連結部は通常の歯ブラシでは汚れを除去し切れない部分です。従って、デンタルフロスや歯間ブラシを使って汚れを落としましょう。
デンタルフロスの場合は、フロスを連結部に通し、ノコギリのように左右に引いて掃除していきます。太めの方が汚れを効率よく落とせます。
歯間ブラシにはSSS、SS、S、M、L、LLと様々なサイズがあります。サイズが小さすぎても汚れが落とせませんし、太すぎても歯肉を傷つけてしまいますので、歯間よりも少し小さいくらいのサイズを選びましょう。わからなければ、行きつけの歯科医院で相談し、自分に合うサイズのものを選んでもらうとよいでしょう。
4.歯垢染色剤で磨き残しを確認する
ブリッジのお手入れの仕上げとして、最後に磨き残しをチェックしましょう。
歯垢染色剤を用いて染め出しを行うと、汚れている部分だけが赤く染まるので、磨けているところと磨けていないところが一目瞭然となり、非常にわかりやすいのでおすすめです。なお、歯垢染色剤はドラッグストアや薬局などで購入することができます。
セルフケアと定期検診の両立を
クラウンや差し歯に比べて、ポンティックや連結部があるブリッジは清掃がしにくい補綴物です。歯周病や虫歯、口臭などのリスクを防ぐためにも、ケアの方法をしっかりと理解しておく必要があります。
ブリッジを装着した時点で、担当の歯科医師や歯科衛生士からお手入れ方法のアドバイスを聞いておくのが望ましいでしょう。
また、インプラントと比べると軽視されがちですが、虫歯などのトラブルを早期発見してブリッジを長持ちさせるには、正しいセルフケアと並行して定期的に検診を受けることも大切です。
セルフケアと歯科医院でのメンテナンスを両立し、ブリッジによる口臭を防ぎましょう。
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