蓄膿症の治療法って?自宅でケアは可能?
「夜、寝ようとしても息がしづらくて熟睡できない」「口呼吸でうまく息を吸うことができず口が乾く」「鼻が気になって集中できない」「人前で鼻をかむのが嫌」など、蓄膿症で一番困るのは、やはり鼻づまりの症状ではないでしょうか。
鼻をスッキリさせる手っ取り早い方法は点鼻液ですが、一時的な効果しか得られず、また1日に何回も使うと薬が効きづらくなります。
誤った使い方を続けると、薬なしでは鼻で息がうまくできなくなる危険性もあるため注意が必要です。
では、蓄膿症を根本的に治すには、どのような治療法が効果的なのでしょうか。今回は蓄膿症の治療について詳しく解説していきます。
蓄膿症の治療はどんなことをするの?
蓄膿症の治療で耳鼻咽喉科を受診した場合、最初の検査で前鼻鏡(金属の器具で、鼻の穴の中をよく見るためのもの)や鼻内視鏡(クネクネ曲がるカメラの付いたファイバースコープ)で、粘膜の炎症状況や膿汁の確認をします。こちらの検査には違和感はあるものの、強い痛みを感じるものではありません。
画像診断機器を完備している医院や、症状の進行具合によっては、より詳しい病状を把握するためにレントゲン写真やCT撮影で診査することもあります。
保存的治療
症状の度合いによっても対応は異なりますが、基本的に治療の第一選択は投薬となります。エリスロマイシンやクラリスなどのマクロライド系の抗菌薬を、少量にして1~2ヶ月以上飲み続けます。
蓄膿症におけるマクロライド療法では、通常の抗菌薬とは異なり、殺菌効果のほか、粘膜の抵抗力の改善やアレルギーの抑制を目的に投薬が行われます。
その他、副鼻腔に溜まった膿を排出し、洗浄する排膿洗浄、薬液を霧状にして副鼻腔の内側まで薬剤を届けるネプライザーという機器を使用した薬液吸入も、蓄膿症の治療法のひとつです。
ネブライザー療法では事前に鼻の中を洗浄し、自然孔を拡げて薬剤が十分に行き渡るような状態にしてから行います。
手術による治療
鼻茸(はなたけ)ができてしまって鼻腔が塞がれている方や薬で治らない方など、蓄膿症の症状が重度の場合には、副鼻腔の換気をスムーズにするために手術療法を行うことがあります。
昔は上の歯茎をメスで切開し、上顎洞と交通させるような大掛かりな外科手術が行われていましたが、現在ではESS(内視鏡下副鼻腔手術)という方法で行っていることがほとんどです。
こちらは麻酔を施し、鼻の穴から内視鏡を入れて、そこから炎症を起こしている病的な粘膜やポリープだけを取り除くという最小限の治療法となります。
なお、最近ではマイクロデブリッダーと呼ばれる「粘膜やポリープの切除」「出血や分泌物を吸引する」という操作を連続して行える器具が開発されたことから、手術時間が短縮され、さらに患者への負担を軽減した手術が行えるようになりました。
手術を行う場合、入院期間はどれくらい?
中には日帰りで手術を行ってくれる医院もありますが、病院によっては2~3泊、約1週間の入院など病院によって入院期間は異なります。
蓄膿症の治療期間はどれくらい?
蓄膿症の治療期間には個人差があり、原因によっても左右されるため明確な予測は困難ですが、一般的にスパッと治るものではありません。あらかじめ長期戦だと思っておいた方がよいでしょう。
いずれにせよ、蓄膿症となった大元の原因を考えることが必要です。
アレルギー性鼻炎や花粉症がある方の場合は、これらの症状の治療を行う必要がありますし、歯性上顎洞炎から発生した蓄膿症であれば、原因の歯を取り除くことも治療となります。
子供の蓄膿症の治療は必要?
子供の蓄膿症の場合、被爆のリスクを最小限にとどめるため、CTやレントゲンなどを行うことは稀です。治療法は服薬や鼻洗浄と吸引、ネブライザー療法が主流となります。
また、子供の蓄膿症は副鼻腔の成長により10歳頃までに治ることが多く、手術を行うケースはほぼありません。
蓄膿症の治療は痛い?
検査で鼻に冷たい金属の道具を当てられると、ちょっと緊張してしまいますよね。
人によっては多少の痛みがあることもありますが、検査・診断の段階ではそこまで痛みについて不安にならなくても大丈夫です。
蓄膿症の治療で痛みを感じるタイミング
蓄膿症の治療中、痛みが出るとすれば手術前と手術後のタイミングです。
手術の前には麻酔をするため、注射が苦手な方は我慢しなければいけませんが、手術中は麻酔が効いているので痛みの心配はありません。なお、手術の際に行う麻酔には、全身麻酔と局所麻酔の場合があります。
術後に麻酔が切れてくると、徐々に痛みを感じることもあるため、場合によっては除痛のために内服薬や座薬などの痛み止めが処方されます。
自宅で治療できる?自力で治せる?
蓄膿症の症状が軽い段階であれば、自宅で行う治療(セルフケア)でも対処が可能な場合があります。
アレルギー性鼻炎からくる蓄膿症の場合はハウスダストやダニ、ペットの毛などが原因として挙げられます。部屋の掃除を行い、しっかりと換気を促しましょう。
また、免疫力が低下していると蓄膿症による炎症はなかなか鎮まりません。十分な睡眠時間と健康な食生活を心がけましょう。
鼻うがいも有効です
鼻をスッキリさせたいなら鼻うがい(鼻洗浄)が効果的です。
真水で行うとプールで水を鼻から吸った時のように痛みが生じてしまうので、鼻うがいでは体内の組織液と同じ浸透圧である0.9%の生理食塩水を用います。
生理食塩水の作り方と鼻うがいのやり方
- 人肌程度のお湯200ccを入れたコップに塩1.8gを加え、ぬるい温度の生理食塩水(塩分濃度0.9%)を作る
- 片方の鼻の穴を塞いだ状態で、もう片方の穴から塩水を吸う
- 口から塩水を出す
- 片方の鼻も同様に行い、3~5回ほど繰り返す
慣れないうちは上手くいかず、塩水で服を濡らしてしまう場合があります。そのため、濡れてもよい服装で行うか、浴室や洗面所などで行うのがおすすめです。
なお、大きく上を向いて行ったり、うがい水や唾液を飲み込んだり、直後に勢いよく鼻をかんでしまったりすると中耳炎になる恐れがあるため注意が必要です。「自分で上手くできる自信がない…」という方は、耳鼻科医院の先生に相談してみましょう。
また、あまりに頻繁に鼻うがいを行うと、却って鼻の粘膜を痛めてしまう可能性がありますので、一日に何度も行うのは避けましょう。
蓄膿症に良い食べ物・飲み物は?
どくだみやなたまめはともに古くから民間で使用されている漢方薬ですが、中には「どくだみ茶やなたまめ茶などの漢方茶が蓄膿症に効いた」という方もいるようです。
しかし、実際には個人差もあり、蓄膿症への効果が科学的に証明されているわけではないようです。
なお、反対に糖分を過剰摂取する食生活を送っていると、炎症やかゆみを引き起こすヒスタミンが過剰に生成されてしまいます。特に砂糖がたっぷり使用されたお菓子類、アイスクリーム、缶コーヒー、ジュース類は蓄膿症を悪化させてしまいかねません。
また、卵や牛乳、肉などの動物性たんぱく質の過剰摂取も、消化に時間がかかることからアレルギー反応を起こす成分として体内に残ってしまうことがあるため注意が必要です。
蓄膿症の食事療法としては、偏食をせず、糖分や動物性たんぱく質の取り過ぎに気をつけながら、穀物や野菜などを中心としたヘルシーな食事を1日3食、規則正しくとることが重要と言えるでしょう。
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