花粉症や口臭予防にも!鼻うがいのやり方と効果
花粉症や鼻炎持ちの方の中には、鼻詰まりの症状に悩まされている方は少なくありません。「たかが鼻づまり」と長期に渡り症状を放っておくと、さらに悪化したり、蓄膿症などの病気に発展したりすることもあります。
鼻詰まりを完治させるには、病院に行くことが先決ではありますが、辛い花粉症や鼻炎の症状を改善する方法として鼻うがい(鼻洗浄)が挙げられます。
鼻うがいは症状を緩和してくれるだけでなく、病気の予防にもつながります。今回は痛くない鼻うがいのやり方について詳しくご紹介します。
鼻うがいとは?
鼻うがいとは、鼻から水を吸って口から出すことで、鼻や喉の奥を洗浄するといったうがいのことです。
プールの水が鼻に入ると痛いように、普通の水で鼻うがいをしようと思うと痛いのですが、鼻うがいを行うときは専用の水を使用すれば痛くありません。
花粉症や慢性鼻炎の方は、鼻が詰まり、何回も鼻をかんでもなかなかスッキリしないということがありますので、試してみる価値があるかもしれません。また、鼻炎ではないという方にも、鼻疾患の予防効果が期待できます。
鼻うがいの効果
鼻うがいによる効果には、鼻づまり症状の解消や副鼻腔炎・花粉症の改善、口臭予防など様々なものが挙げられます。
1.鼻づまりの解消
花粉症や鼻炎持ちの方にとって、鼻詰まりの解消は一番嬉しい効果と言えるでしょう。鼻づまりは、風邪のウイルスや花粉などのアレルギーによって炎症が起こり、鼻の粘膜がむくんでしまうことにより発生します。
鼻うがいは、鼻と喉の奥の境目である上咽頭のウイルスや花粉を洗い流し、鼻の粘膜の炎症を改善してくれるのです。
2.副鼻腔炎(蓄膿症)の予防
副鼻腔とは前頭洞(ぜんとうどう)、篩骨洞(しこつどう)、上顎洞(じょうがくどう)、蝶形洞(ちょうけいどう)という、左右にそれぞれ4つずつ存在する空洞のことで、鼻腔とつながっています。
花粉やウイルスが原因でひどい鼻炎になったり、慢性鼻炎を放置したりすると、この副鼻腔炎に炎症が起こり、膿が溜まります。この状態を副鼻腔炎(蓄膿症)といいます。副鼻腔炎は薬物治療で治るケースがほとんどですが、薬物治療によって改善されない場合やポリープ(鼻茸)がある場合は手術を要することもあります。
鼻うがいで花粉やウイルスを洗い流して鼻炎を予防することは、副鼻腔炎の予防にもつながります。
3.花粉症の症状緩和
日本人のおよそ1/4がかかっているとされる花粉症は、ヒノキやスギ、ブタクサなどの花粉が鼻や目から入ってくることでアレルギー症状を引き起こす病気です。
鼻うがいで原因となる花粉を洗い流し、体内の花粉の数を減少させることにより、症状の緩和につながります。
また、鼻水が出ていると、そこに花粉が付着しやすくなります。鼻うがいを行うことで鼻水を洗い流し、花粉が鼻腔に停滞して炎症を起こすのを防ぐことができます。
4.口臭の予防
鼻づまりがあるとき、多くの方にみられる症状が後鼻漏です。後鼻漏とは、鼻水が鼻腔から喉の方に垂れてきてしまう症状のことです。
後鼻漏により口に流れこんでくる鼻水の粘性が強い場合、その鼻水にはたくさんの細菌が存在しています。膿のような粘性を持つ鼻水自体が嫌なニオイを発することはもちろんのこと、細菌が口腔内のタンパク質を分解し、ニオイの原因となる物質を作り出し、口臭を悪化させる恐れがあるのです。
鼻うがいでは、鼻から喉までを洗浄することが可能です。後鼻漏による鼻水をスッキリと洗い流すことができ、口臭の軽減につながります。
ただし、鼻うがいは鼻水を洗い流すだけであって、病気の根本的な治療にはなりません。鼻水や口臭などの症状が続く場合は、専門の病院を受診して治療を受ける必要があります。
歯磨きで口臭が消えない場合は口呼吸の可能性も
鼻が詰まっているときは、鼻から呼吸ができず口呼吸になりがちです。口呼吸が癖になってしまうと、口腔内の唾液が減少して、唾液の殺菌作用が働かなくなります。すると、口腔内の細菌が増殖し、口臭が悪化してしまいます。
「歯をしっかり磨いているのに口臭が消えない」という方は、鼻詰まりの症状がないか、また、口呼吸が癖になっていないかどうかを確認してみましょう。
痛くない!鼻うがいの正しいやり方
鼻うがいは鼻づまりの緩和や予防に効果的です。しかし、だからといって何度も行うと、鼻の粘膜を傷つけてしまう恐れがありますので、くれぐれもやりすぎは禁物です。
また、風邪をひいている方や耳に何らかの疾患を抱えている方は、鼻うがいを行うことは避けましょう。
鼻うがいは水道水で行う?
水道水や真水は、私たちの体液と浸透圧が異なります。その浸透圧の違いにより、鼻に入るとツーンと強い痛みを感じてしまうのです。鼻うがいを水道水や真水で行うことはやめましょう。
鼻うがいで使用する水は生理食塩水です。生理食塩水は、わたしたちの身体や細胞に含まれている体液と同じ浸透圧の水溶液なので、鼻うがいを行っても痛みを感じることはありません。
また、生理食塩水の温度が熱すぎたり冷たすぎたりすると、鼻うがいをするときに刺激を感じることがあります。生理食塩水は、使用する前に37℃程度の人肌に温めておくようにしましょう。
生理食塩水の作り方・手順
生理用食塩水は、水1Lに対して9gの食塩を溶かして作ります。市販のものを買うよりも低コストですし、とても簡単に作ることができます。
生理食塩水に使用する水ですが、わざわざ滅菌精製水などを買わなくても水道水で構いません。ただし、水道水の場合は一度沸騰させて殺菌し、冷ましてから使いましょう。沸騰時間は10分以上が目安です。
また、衛生上作り置きはよくありませんので、その都度作るようにしましょう。
1.滅菌した容器に生理食塩水を入れる
滅菌したコップなどの容器に、専用のうがい液、あるいは生理食塩水を入れます。
2.生理食塩水を鼻から注いで口から出す
片方の鼻の穴を押さえながら、もう片方の穴から生理食塩水を入れていき、口から水を出します。
このとき、「えー」と言いながら行うと、水を出しやすくなります。喉の方に水が流れこんできますが、水や唾を飲み込まないように気を付けましょう。両方の鼻の穴で、鼻うがいを2~3回繰り返してください。
鼻うがいを行う際の注意点
鼻うがい後に強く鼻をかむと、中耳炎を起こす恐れがあります。必ず水が出切ってから、優しく鼻をかみましょう。
また、最初からうがい液を口から出すのは難しいので、鼻から水を吸い込んで鼻から出してみましょう。慣れてきたら口から水を出せるように練習してみてください。
市販の鼻うがい器もおすすめです
「自分で鼻うがいを行うのは怖い」など抵抗のある方は、薬局やドラッグストアで専用の鼻うがい器を購入し、使用するのもよいでしょう。市販品は、洗浄液と鼻洗浄器のセットで売られているものや、洗浄液のみを販売しているものなど様々です。
ミントの香りがついていてスッキリ爽やかな使い心地の洗浄液や、コップや洗面器よりも使いやすい仕様の鼻うがい器など、全てを自分で準備するよりも試しやすく、初心者の方もやりやすいのでおすすめです。
鼻うがいで鼻づまりをスッキリ解消!
鼻うがいは、適切なやり方をマスターすれば、自宅でも手軽に花粉症・アレルギー対策を行うことができます。
ただ、鼻うがいは治療ではありません。症状の緩和はできますが、病気を完全に治すためには専門医にしっかり診察してもらう必要があります。鼻づまりを放置していると、症状が悪化して治療に多くの時間とお金がかかりますので、おかしいなと感じたら速やかに医療機関を受診しましょう。
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