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    鼻息が臭いのは病気の兆候?ニオイの原因と疾患別の治療法

    鼻息が臭いのは病気の兆候?ニオイの原因と疾患別の治療法

    鼻息が臭いのは、蓄膿症や気管支炎、逆流性食道炎や糖尿病など内臓の病気によるものの可能性も…原因をしっかりと見極めた上で治療を進めることが大切です。

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  • 更新日:2016年03月10日

鼻息が臭い理由と治療法/そのニオイ、口臭じゃないかも!

口の中にひどい虫歯や歯周病がなく、歯磨きや舌そうじをキチンと行っているのに鼻息が臭いという方は、その原因は口腔内ではなく他の場所にある可能性があります。
では、一体どのような場所に鼻息が臭い原因が隠されているのでしょうか。今回は、鼻息が臭くなる理由とその対策方法を疾患別にご紹介します。

鼻息が臭い!原因は何?対策方法は?

鼻息が臭い場合の原因は、大きく分けると2つの要因が挙げられます。ひとつは鼻咽頭・呼吸器・消化器でニオイが生じ、直接上方へ上がってくることでニオイを感じる場合、もうひとつは腎臓や肝臓で作られたニオイの元となる物質が血液を通じて肺に行き、呼吸をする際にニオイを感じる場合です。
では、それぞれの疾患ごとに臭くなる理由を見ていきましょう。

1.蓄膿症、扁桃炎など鼻咽頭の病気

蓄膿症は副鼻腔炎ともいい、顔面にある副鼻腔という骨の空洞に炎症が起き、膿がどんどん溜まっていってしまう病気です。蓄膿症は副鼻腔の中でも上顎洞に起こりやすく、鼻水は喉を伝って喉に垂れてくることもあり、この状態を後鼻漏(こうびろう)といいます。喉や口がネバネバし、口や鼻からニオイを感じることが多くなります。

扁桃炎やアデノイド(咽頭扁桃)増殖症になると、喉の左右にある扁桃腺が腫れたり増えたりして、細菌や食べカスなどの汚れが溜まりやすくなります。汚れが蓄積していくと膿栓(臭い玉)を形成し、鼻と口から嫌なニオイを感じるようになります。また、咽頭腫瘍や咽頭癌によっても臭いニオイが出ることがあります。

対策は?

うがい

蓄膿症であれば、霧状の薬を鼻から吸うネブライザー・マクロライド系抗菌薬の長期服用、漢方薬では荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)という薬が、蓄膿症や慢性の鼻炎に効くとされています。薬が効かない場合は手術を行う場合もあります。
セルフケアとしては生理食塩水を使った鼻うがいをするとスッキリしますが、あくまで対症療法であり根本の解決にはなりません。症状を長引かせないためにも、まずは病院を受診することをおすすめします。

扁桃炎は症状の重さによって対処法は異なります。自分でできる対策は「うがい」です。イソジンやアズノールなど殺菌作用のあるうがい薬で1日3回うがいを行いましょう。膿栓予防には食後のうがいが効果的です。
腫瘍や癌の場合、生命に関わるため病院での治療が最優先となります。手術や抗ガン薬、放射線治療など、病状に合わせて治療が行われます。

2. 気管支炎、肺膿瘍など呼吸器の病気

細菌感染や粉塵などを吸い込むことによって気管支に炎症を起こしたり、アルコールや加齢による誤嚥で肺の組織が破壊され、膿が溜まる肺膿瘍(はいのうよう)になったりすると、嫌気性細菌という臭いガスを出す細菌が増え、口臭に似た臭いニオイを出します。
また、肺癌でも壊死巣ができるので、病状によっては鼻息が臭く感じることがあります。

対策は?

マスク

気管支炎は感染症なので、マスクをして感染を防ぎ、十分な栄養を取って規則正しい生活を心がけることが大切です。
肺炎・肺膿瘍・肺癌は適切な治療が必要です。誤嚥しやすい、臭い痰が出る、痰に血が混じっているなどの症状に心当たりがある方は、病院を受診して適切な診断と治療を受けましょう。

3.逆流性食道炎など消化器の病気

口臭や鼻息と密接な関わりがあると言われているのが逆流性食道炎です。逆流性食道炎とは、食道の筋肉の一部が緩んで胃酸が上がってきてしまう状態で、胃酸のツーンとしたニオイが食道を通じて口や鼻に到達すると、呼気として臭いを感じることがあります。

対策は?

サラダを食べる食生活

逆流性食道炎になると、臭いゲップや胸やけが多くなります。逆流性食道炎の原因は様々ですが、主に食生活のバランスが乱れていること、寝る前に食事を摂る回数が多いこと、肥満などが挙げられます。
予防対策としては、和食中心で野菜をたっぷり使った食事を規則正しい時間に食べることです。食べた直後に寝転がると胃液が逆流してきやすくなるので、椅子に座って上半身を起こすようにしましょう。

セルフケアでは回復が見込めない重度の場合には、薬物療法や手術などの治療が必要となります。

4. 糖尿病、魚臭症など代謝の病気

大元の疾患が身体のどこかにあり、そこから揮発性のニオイ物質が血液に溶け、血流に乗って体内を回った結果、肺に達して鼻から臭い息を感じることがあります。

糖尿病になると、食事から摂取した糖分をエネルギー源として使うことができなくなるため、糖分の代わりに脂肪が分解され、ケトン体という物質が発生します。ケトン体は甘酸っぱいニオイをしているので、鼻からも酸っぱいような甘いようなニオイ(ケトン臭)を感じることがあります。ケトン臭は鼻や口からだけでなく、体臭として感じる場合もあります。

魚臭症(トリメチルアミン尿症)は名前の通り、鼻息・口臭・汗・尿が魚のような生臭いニオイになってしまう病気です。原因はハッキリとはわかっていませんが、肝不全の影響があるとされており、女性の場合は月経やストレスが大きく関係しているとも考えられています。

対策は?

エクササイズで運動

糖尿病には1型と2型があります。1型は子供でも罹るもので、予防することはできません。生活習慣病の影響によって発症する糖尿病は2型の方です。遺伝も関与していますが、主な原因は肥満や食べ過ぎ、運動不足などによるもののため、ある程度予防することが可能です。
特に中年以降の方は、運動やエクササイズで筋肉量を増やして基礎代謝を高め、ヘルシーな食生活を持続させましょう。ただ、急激で過度なダイエットによってもケトン臭が発生するため注意が必要です。

魚臭症はまだ謎が多い病気ですが、トリメチルアミンに変化するコリンレシチントリメチルアミンオキシドなどの成分が臭いの元になるため、これらが含まれる食品の摂取を控えることがニオイ予防につながります。

あなたの鼻息は大丈夫?鼻息の臭いをチェックしてみよう!

鼻息が臭いのかを確認するには、マスクやビニール袋、コップなどを使って確かめることができます。
しかし、これらの方法では臭いが鼻息によるものなのか、口臭によるものなのかを見分けることができません。まずは歯磨きやデンタルフロスなどで適切なプラークコントロールを行い、口臭の要因を排除してから行いましょう。
また、虫歯や歯周病を全て歯科医院で検査してもらい、異常がないかどうかチェックすることも重要です。

セルフチェックを行った上でやはり鼻息が臭いと感じる場合は、上記のような疾患を疑って病院を受診する必要があります。

鼻息が臭いと思い込んでいるケースも…

実際は普通の鼻息なのに、自分で臭いと思い込んで頭から離れず、日常生活に支障をきたすケースがあります。これを自臭症(自己臭症、自己臭恐怖症)といいます。これは鼻息に限らず、体臭や口臭を含むものであり、口臭の場合は仮性口臭症や口臭恐怖症と呼ぶ場合もあります。

自臭症は自分が醜いと思い込んでしまう醜形恐怖症と原理が似ており、対人恐怖という点で共通しています。精神的な病気なので心療内科や精神科の受診が必要ですが、まずは本当に臭いのかを正しく鑑別する必要があります。
大学病院や一部の歯科医院に設置されている口臭専門外来では、臭いを数値化するメーター機器があり、客観的に臭いを判定してくれます。どうしても原因がわからないという場合は、病院で原因を突き止めましょう。

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