朝食を抜くデメリット・口臭にも影響が!?
「忙しい朝、急いでいる日などには、つい朝食を摂らずに出かけてしまう」「寝起きは食べる気がしない」などの理由で、日常的に朝食を抜いてしまっていませんか?
実は、朝食を抜くことには様々なデメリットがあり、身体に悪影響を及ぼす危険性が指摘されています。
朝食を抜くとどんなデメリットがあるの?
子どもの頃、「朝ご飯を食べないと力が出ないよ」「朝ご飯を抜くと頭がしっかり働かないよ」などと言われたことはないでしょうか。実は、朝食を抜くことによるデメリットは、科学的にも実証されているのです。
1.脳出血を起こしやすい
脳出血とは、脳内を通っている血管が何らかの理由により切れてしまう病気です。最近は軽症で済む症例が増えているものの、認知症や運動障害などの後遺症が残るケースも少なくありません。
国立がん研究センターの研究によると、1週間あたりの朝食摂取回数が少ない人ほど、脳出血(脳溢血)を引き起こすリスクが高まるという結果が報告されています。
脳出血を引き起こす最大の原因は高血圧ですが、早朝は特に血圧が上昇しやすく、脳出血につながるリスクが高まる時間帯と考えられています。
朝食を摂ることは血圧上昇を抑えるとともに、空腹によるストレスが原因で血圧が上昇するのを防ぐ効果があります。反対に、朝食を抜く生活を続けてしまうと、知らず知らずのうちに脳出血のリスクを高める可能性があるのです。
2.集中力が低下する
体の中で、かなりのエネルギーを消費しているのが脳です。脳のエネルギー源は、食物から摂取するブドウ糖です。ブドウ糖は体内に蓄えておくことができないため、常に食物から得る必要があります。
朝食を抜いてしまうと、その分ブドウ糖を補給する機会を逃し、脳はブドウ糖が足りない状態となり、エネルギー不足に陥ってしまいます。こうなると脳がしっかりと働くことが難しくなり、集中力や記憶力が低下してしまいます。
3.肥満になりやすい
朝食を抜いてしまうと、血糖が低下することで食欲が増進し、昼食や夕食時に食べ過ぎてしまうようになります。その結果、急激な血糖値の上昇を招き、血糖を脂肪へと変えるインスリンが多く分泌されてしまい、肥満の原因となります。
また、朝食を抜くことで、脳は非常時のために脂肪を蓄えようとし、心身の活動性を低下させます。これにより運動能力が低下してしまうことも、太りやすくなる一因と考えられています。
「ダイエットのために」と朝食抜きの生活を送ることは、結果的に肥満のリスクを高めることとなるのです。
4.糖尿病になりやすい
名古屋大学の研究チームが報告した調査結果によると、朝食を抜くことは、現在の糖尿病の9割以上を占める2型糖尿病の発症リスクを高めるとされています。これは、朝食を抜いた場合、朝食を食べたときと比べて昼食後のインスリン値や血糖が急激に変動・上昇するためです。
2型糖尿病では自覚症状がほとんどなく、気づかないうちに病気が進行し、網膜症や神経障害、腎不全などの合併症を引き起こす恐れがあります。
朝食を抜くと口臭がキツくなるって本当?
朝食を摂らずに1日の活動を開始することで、様々なデメリットがあることがわかりましたが、実は、朝食を抜くことは口臭にも悪影響を及ぼすことが分かっています。
では、朝食を摂らないことがなぜ口臭に影響するのか、そのメカニズムについて詳しく解説していきます。
1.唾液が不足するため
口臭の一因として、口の中の細菌が食べかすや歯垢を分解する際に発生するガスが挙げられます。口臭を予防するには、食べかすや歯垢を放置せず清潔にしておき、口の中の細菌が増殖しないようにすることが大切です。
唾液には、食べかすや歯垢を洗い流してくれる自浄作用があります。また、唾液そのものに殺菌作用がありますので、口の中で細菌が増えすぎないようにする効果もあります。
ところが、唾液が不足してしまうと口の中が乾きがちになり、食べかすや歯垢が付いたままになりやすく、細菌が増えやすい口腔環境になってしまいます。
1日のうち、最も唾液の分泌量が少ないのは眠っている時間です。睡眠中は起きて活動しているときに比べて口や舌を動かすことが少ないため、どうしても唾液の分泌がスムーズに行われず、唾液が不足した状態になりやすくなります。寝起きの口臭がキツく感じるのは、眠りから覚醒した直後には、まだ口の中で唾液が不足した状態が続いているからなのです。
朝食を摂ることで、咀嚼によって唾液の分泌が促され、睡眠中に不足していた唾液が口の中全体に行き渡るようになります。唾液がしっかりと分泌されることで、唾液の持つ殺菌効果によって口の中の細菌の繁殖が抑えることができ、不快な口臭を予防することにもつながるのです。
2.膵液のニオイが発生するため
空腹の状態が長く続くことも、口臭を発生させる大きな原因となります。
朝食を摂らずに1日の活動を始めると、朝起きてから昼食までの間は空腹状態が続くこととなります。空腹の状態の消化器官は、いつ食べ物が入ってきてもいいように、食べ物が入ってくる前から少しずつ消化液を出して準備運動をしています。そのうちのひとつが、膵臓で作られ十二指腸で分泌される膵液です。
空腹で消化するものが何もない胃の中に膵液が分泌されると、膵液そのものが分解されます。膵液は分解される際、臭いの元となるガスを発生させるため、このガスが血液に吸収され肺から呼気とともに排出されると、酸っぱい臭いの口臭を放つ原因となるのです。
毎日、朝食をきちんと摂って、消化器官をしっかり働かせることが口臭予防につながります。
朝食をとるときのポイント
朝食を抜くことなく、しっかりと食べることが健康維持や口臭予防のために重要だということが分かりました。
しかし、朝食も「ただとればよい」というものではありません。ここでは、朝食をとるときに気をつけたいポイントをご紹介します。
1.一口ずつよく噛んで食べる
朝食を摂るための時間をしっかりと確保し、よく噛んで食べることを心がけましょう。顎をしっかりと動かして咀嚼することで、唾液の分泌が促され、消化器官も食べ物を受け入れる準備を整えてくれます。一口に多く頬張りすぎないように注意するとともに、一口ずつしっかりと噛んで食べるようにしましょう。目安としては一口につき30回噛むことが理想的です。
また、食事中にお茶や水を摂りすぎると、咀嚼する前に飲み物で流し込むような食べ方になりやすいです。食事中にはあまり水分を摂りすぎないようにし、よく噛んで唾液をしっかり分泌することを意識しましょう。朝食に汁物を取り入れる場合には、具だくさんにするよう心がけてください。
2.米を食べる
麺類のようにそのまま飲み込みやすいメニューの場合、あまり噛まなくても飲み込むことができるため、どうしても噛む回数が減ってしまいがちです。
米は比較的よく噛まなければ食べにくいので、噛むことで唾液の分泌を促しやすく、口臭予防にはおすすめの朝食と言えます。
また、粒食なのでゆっくりと消化・吸収されるため、急激に血糖値が上がりにくく、脳のエネルギー源となるブドウ糖を長時間にわたり安定して供給してくれます。さらに、口の中での滞在時間が比較的長いため、舌の表面にこびりついた舌苔(ぜったい)という汚れを除去してくれる効果も期待できます。
3.デザートには果物を
パイナップルやキウイフルーツといったフルーツ類には、たんぱく質を分解する酵素が含まれています。これらの酵素は、口臭の原因となる舌苔内にあるたんぱく質を少しずつ分解してくれる作用があるので、口臭を予防するのに役立ちます。
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