わさびの4大効能!ワサビは健康・口臭予防に効く?
わさびはお刺身やお寿司を食べる時に欠かせない薬味だと思いますが、わさびの効果・効能を期待して、健康のために摂取している人は少ないでしょう。
しかし、ワサビには健康や美容、口臭予防など…さまざまな効能を持ったありがたい食材なのです。
わさびの驚くべき4つの効能
1.強い抗菌作用
わさびの主な辛味成分であるアリルイソチオシアネート(AIT)には、強い抗菌作用があります。抗菌作用とは、細菌の繁殖を抑える働きです。
わさびは、刺身やお寿司の薬味として使用されていますが、生魚など加熱しない食材に細菌が繁殖するのを抑制する役目もあります。現在は食材を冷蔵することが可能ですが、昔はそうではありませんでした。生魚にはわさびが欠かせませんが、抗菌作用により寿司や刺身の食中毒のリスクを抑えた、先人の知恵によるものなのです。
わさびの辛味成分は、除菌スプレーなどの商品にも利用されています。
また、わさびには生魚が生臭くなるのを防ぐ作用もあります。生魚が時間とともに生臭くなるのはトリメチルアミンという物質の影響ですが、わさびに含まれるアリルイソチオシアネート(AIT)は、この物質の量を抑制することで、魚の生臭さを抑えてくれるのです。
2.血栓の予防・血流の改善
わさびに含まれているわさびスルフィニル(6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート)には、血栓ができるのを防ぐ効能があります。
血栓とは「血の塊」のことです。血管が傷ついた場合、その箇所に血小板が集まって傷を修復しますが、その際に作る血の塊が血栓です。血栓によって血管が詰まると、脳梗塞や心筋梗塞の原因となります。
わさびスルフィニルは、血小板が集まりにくくする(凝集するのを抑制する)働きがあり、血栓ができるのを予防します。わさびスルフィニルは、わさびの根茎に多く含まれています。
また、わさびの抗酸化作用によって、血液の流れが良くなる(血液がサラサラになる)という報告もあります。
3.がんを予防する
がん(癌)とは、健康な細胞が変異して癌化し、増殖していく病気のことですが、癌細胞そのものは健康体の人の体内でも毎日生まれています。しかし、人体には免疫力がありますので、異常な細胞が発見されれば、これを死滅させて増殖を抑える仕組みになっています。
癌を予防するには、発癌性物質をできるだけ体内へ入れないようにすること、免疫力を低下させないことが大切だと言えるでしょう。
わさびのがん予防効果は、わさびをすり下ろしたときに発生するわさびスルフィニルによるものであり、体内に取り込まれた有害物質(発癌性物質)を体外へ排出しやすくし、がんが発生するリスクを下げてくれるのです。
私たちの体では、有害物質が取り込まれたことを感知すると、肝臓が持つ酵素「グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)」が有害物質を無害化し、体外に排出しやすくします。わさびスルフィニルは、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)を活性化することにより、がんの発生を防ぎます。
4.花粉症を予防する
わさびに含まれている6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート(6-MSITC)という成分により、花粉症の症状が軽減されたという研究結果が発表されています。また、これはわさびの成分「6-MSITC」の持つ抗炎症作用によるものとされています。
花粉症はくしゃみや鼻水、目のかゆみなどの辛い症状が起こりますが、これらはアレルギー性の炎症によるものです。わさびに含まれる6-MSITCの抗炎症作用が、花粉症の予防に対しても効果を発揮すると考えられています。
わさびの効能が口臭に効く!?
わさびの辛味成分に抗菌作用があることは前に述べた通りですが、このわさびの抗菌作用によって、口臭を防ぐことはできるのでしょうか。
わさびの殺菌作用による口臭改善効果
口臭の原因はさまざまですが、口の中の細菌が作り出すガスが原因になっているケースも多いです。わさびには殺菌作用がありますから、口の中の細菌の働きを抑制して口臭を軽減できるのではないか…と考える人もいるかもしれません。
しかし、口の中の細菌は、舌の上にできる白い汚れ(舌苔)や歯に付着しているプラーク(歯垢)に存在していますが、単にわさびを摂取するだけで舌苔やプラークに存在する細菌の働きを抑制するのは困難と言えるでしょう。
また、プラークはうがいで除去することはできませんから、歯ブラシで物理的に除去する必要があります。口臭を予防・改善するならば、わさびの殺菌効果を期待することよりも、ブラッシングにより口の中の細菌を除去する方が効果的でしょう。
口臭の原因は様々
口臭は原因に応じた対策が必要です。口の中の汚れが原因となっている場合もあれば、歯周病や虫歯、全身疾患が原因となっている場合があります。
自分の口臭原因に応じた対策が必要であり、口臭原因を明確にすることが先決でしょう。
わさびとは?たくさん摂取しても大丈夫?
口臭への効果的対策に役立つとは言えないものの、さまざまな健康効果が期待できるわさび。いくら健康に良いからと言って、たくさん摂取できるものではないと思います。たとえ、わさびが大好きだという人であっても、わさびは刺激が強いため、過剰に摂取するのは良くありません。
健康効果の高い食品のみに頼ることなく、栄養バランスを考慮して、上手に取り入れることが大切です。
特に、胃腸の弱い方・胃腸の調子が悪い方は、わさびは刺激が強く消化液の過剰分泌を招く場合があるため、摂取量に注意が必要でしょう。
そもそも、わさびとは?
わさびはアブラナ科ワサビ属の香辛野菜で、長野県や静岡県、岩手県、島根県が主な産地です。中でも、匹見ワサビ(島根県益田市)、安曇野ワサビ(長野県安曇野市)、有東木ワサビ(静岡市)は日本三大わさびと称されるほど有名です。
わさびには渓流や湧水で育てられる水わさびと、畑で育てる畑わさびがあります。水さわびと畑さわびは、育てる場所が違うだけで全く同じ植物です。
私たちが刺身や寿司に付けて食べているのは、主にわさびの地下茎をすりおろしたものですが、茎や葉にも辛味があり、さまざまな料理に利用されています。
わさびの辛味の正体
わさび特有のツーンとする辛味は、唐辛子などの辛味と全く異なっています。唐辛子の辛味成分はカプサイシンですが、わさびの辛味はシニグリンという油配糖体の一種が、ミロシナーゼという酵素と反応して生じるアリルイソチオシアネート(AIT)によるものです。
つまり、わさびの辛味は唐辛子などの辛味とはメカニズムそのものが全く異なるのです。その証拠に、わさびの地下茎をそのままかじっても、辛味をほとんど感じません。すり下ろすことで細胞組織が壊され、酵素が働いて初めて、わさび特有の辛味を感じることができるのです。
セイヨウワサビ(ホースラディッシュ)との違い
刺身や寿司に用いられるわさびのことを「本わさび」と呼ぶことがあります。これに対して、ローストビーフのつけ合わせなどに使われる白いわさびのことを「セイヨウワサビ」と呼びます。実は、本わさびとセイヨウワサビは全く別の植物です。セイヨウワサビはホースラディッシュというアブラナ科ワサビダイコン属の植物で、根がちょうどダイコンのように白くて太く、本わさびに比べると大型であるのが特徴です。
家庭ではチューブ入りのねりわさびがよく使われますが、練りわさびのほとんどが本わさびにセイヨウワサビを混ぜ合わせたものです。セイヨウワサビは比較的安価で加工もしやすいことから、大量に生産されるチューブ入りわさびに使われるようになったのです。
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