PMTCの6大効果と手順・料金(保険適用)・頻度
PMTCとは、歯科医院で受けられる歯のクリーニングのことです。「毎日歯磨きしているから大丈夫」という人も多いかと思いますが、誰でも磨き残しはあるものです。定期的にプロのクリーニングを受け、口の中を完璧にキレイにすることが、虫歯や歯周病の効果的予防に大切なことです。
「毎日歯磨きしているのに、虫歯・歯周病になった」という人は、磨き残しになっている可能性が高いでしょう。効果的な予防を目指すなら、定期的なPMTCをおすすめします。
PMTC(プロフェッショナルクリーニング)の目的
PMTCは、Professional Mechanical Tooth Cleaningの略であり、日本語では専門的機械的歯面清掃となります。その名の通り、プロフェッショナルによるクリーニングです。
虫歯・歯周病など、口の中のトラブルの原因は、主に口の中の汚れです。プラークや歯石によって病気が起こり、最悪の場合は歯を失うことにつながってしまいます。
毎日歯磨きをしていても、磨き残しは誰にでもあります。不十分なセルフケアによって病気が発症する前に、徹底したクリーニングを行うことが、病気の効果的な予防のためには必要なのです。
つまりPMTCは、病気の原因を徹底的に除去して、健康な口腔環境を維持することを目的として行われます。セルフケアでは除去しきれない汚れを取り除くことで、高い予防効果が得られると言えるでしょう。
PMTCはどんなことをする?
PMTCは、主に次のような手順で行われます。(医院によって異なる場合もあります)
- 歯石除去(スケーリング)
- 口の中のチェック・染め出し
- 歯面清掃(ポリッシング)
- フッ素塗布
歯石除去(スケーリング)
歯石が付着している場合は、スケーリングを行い、歯石を除去します。歯石の付着量によっては、手順が異なる場合もあるでしょう。
口の中のチェック・染め出し
口の中をチェックします。染め出し液を使って、磨き残し(プラークが付着しているところ)を確認します。
歯面清掃(ポリッシング)
歯の表面の汚れを徹底的に除去するクリーニングです。専用の器具とペーストを用いて、歯の表面の汚れを落とし、磨き上げます。
フッ素塗布
歯の表面にフッ素を塗ります。フッ素には再石灰化を促進し、虫歯を防ぎ強い歯を作る効果があります。
「フッ素塗布は子供にしか効果がない」と思っている人も多いかもしれませんが、大人の虫歯予防にも効果があります。
PMTCで歯が白くなる?クリーニングで得られる効果
PMTCには、以下のような6つの効果が期待できます。
1.バイオフィルムを除去して虫歯を効果的に予防
クリーニングによって、歯に付着したプラーク除去はもちろん、バイオフィルムを除去することも可能です。
バイオフィルムとは、細菌でできた薄い膜のことを言いますが、歯ブラシでの除去は困難です。また、バイオフィルムには、薬剤が効きにくいという特徴があるため、付着している場合には歯科医院でのクリーニングが必要になるでしょう。
PMTCによりバイオフィルムを除去することで、効果的に虫歯・歯周病を予防します。
2.着色汚れを除去して歯が白くなる
歯の黄ばみをクリーニングで除去することによって、歯が白くなる場合もあります。もちろん、ホワイトニングとは異なり、歯自体を白くするわけではありませんから、もともとの歯よりも白くなることはありません。
歯表面の汚れによる黄ばみを除去することで、元の歯の白さを取り戻すことも可能でしょう。
3.歯がツルツルになる
歯の表面を磨き上げるので、歯がツルツルになります。歯面がザラザラしていると汚れが付着しやすいですが、表面がツルツルになることで汚れが付着しにくくなるという効果もあります。
また、着色の要因となる汚れも付着しにくくなるため、歯の黄ばみの予防にもつながります。
4.口臭を予防する
歯石やプラークが付着していると、口臭が強くなる原因になります。プラークは口臭の原因となるVSC(揮発性硫黄化合物)を作り出しますし、歯石が付着しているとプラークが付着しやすくなってしまうためです。
気になる口臭対策として、歯磨きをしっかり行っている人も多いのですが、もしかしたら磨き残しが多くなっているかもしれません。PMTCで磨き残しになりやすい箇所を把握して、徹底的に汚れを除去することは、効果的な口臭予防につながると言えるでしょう。
5.歯ブラシでは除去しにくい場所の汚れを落とせる
歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)・歯と歯の隙間などは、歯ブラシだけでは汚れを除去しにくいです。PMTCでは、これらの箇所に溜まった汚れをしっかり除去することが可能です。
もちろん、歯周ポケットが深くなっているケースでは適応できませんが、歯周ポケットが3ミリ程度までの場合はポケット内に付着した汚れをしっかり除去することが可能です。
(歯周ポケットが深くなっている場合には、歯周外科治療が適用となるケースが多いでしょう)
6.歯周病や虫歯の早期発見につながる
歯周病も虫歯も、初期段階では痛みはありません。痛くなってから歯医者に行ったのでは、病気は進行してしまっているでしょう。
クリーニングのために定期的に歯科を受診することは、病気の予防効果が高まるだけでなく、病気の早期発見にもつながります。
PMTCは何か月に1度?効果的な頻度とは?
PMTCの頻度は、その人によって異なると言えるでしょう。虫歯や歯周病のリスクはその人によって異なりますし、セルフケアの質もその人によって異なるためです。
普段からしっかり磨いている人の中にも、虫歯リスクが高い人もいますし、その反対の人もいます。自分自身に合ったペースでPMTCを受けることが大切です。
一度PMTCを受けると、その後どのくらいの頻度で受けたら良いのか、その間どのようなケアを行ったら良いのか、アドバイスをもらえるでしょう。
実際にプロにみてもらい、その後のクリーニングの頻度を相談すると良いでしょう。
PMTCは保険適用?費用の相場は?
PMTCは保険が適用となりません。多くの治療が国民皆保険制度によって、一部負担で受けられるのですが、予防を目的とした診療については保険が適用とならないのです。
PMTCは病気の治療を目的とした診療ではなく、歯周病や虫歯の予防を目的としていますから、保険が適用とならない自由診療となってしまいます。
自由診療は全額負担であり、料金は高くなりやすいです。
自由診療は歯科によって値段が違います
保険治療の場合は、どこの歯科で治療を受けても費用は同じに設定されています。これは、誰もが一定の費用で同じ治療を受けられるように、制度で定められているからです。
しかし、自由診療になると異なります。医院が独自に値段や診療内容を決めることができます。つまり、PMTCで使用する器具やメニュー、値段に至るまで歯医者によって違っているのです。
PMTCの費用相場は?
自由診療であるため、医院によって費用は違いますが、PMTC費用を1万円前後に設定している医院が多い印象を受けます。
初回は15,000円、次回から12,000円などと、2回目以降は安くなる医院も多くあります。
自由診療の場合、医院による費用の違いもありますが、地域による違いもあると言えるでしょう。もちろん、「料金が高いから良心的でない」ということではありません。PMTCのメニューも医院によって異なっているからです。
費用を重視してしまう人も多いかと思いますが、総合的な判断が必要になると言えるでしょう。
PMTCの年齢制限
PMTCに年齢制限はなく、子供でも受けることが可能ですし、年齢による効果の違いはないようです。
子供のPMTC
「乳歯はどうせ生え変わるから」と思っている人も少なくないようですが、乳歯の虫歯は永久歯や歯並びにも影響します。そのため、小さいうちから適切にケアを行う習慣を付けておくことが大切になるでしょう。
幼少期のPMTCが歯医者への恐怖心克服につながる
小さな子供の中には、歯医者を「怖いところ」だと思っている子も少なくないようです。歯医者に苦手意識があると、治療をスムーズに開始できなかったり、最善の治療を行えない場合もあるでしょう。
気軽に歯医者を受診できるよう、PMTCで歯科に慣れることは、将来を見据えた口の中の健康維持に大変有効です。
PMTCに関するQ&A
ここでは、PMTCに関する様々なQ&Aをご紹介します。
Q1.PMTCは痛い?
PMTCは痛みが生じるような治療を行うわけではありません。歯の表面を徹底的にクリーニングするのですから、基本的に痛みはないでしょう。「(気持ちが良くて)眠ってしまった」という人もいるようです。
Q2.PMTCを受ければ虫歯や歯周病にならないのですか?
PMTCは、あくまでもセルフケアと両立することで、虫歯や歯周病の予防効果が高まると言えるでしょう。そのため、普段のケアを続けるのはもちろんのこと、セルフケアの質を高めることが大切です。
PMTCで染め出しを行うので、磨き残しにないやすい場所(上手く磨けない場所)を確認し、普段自分で行っている歯磨きを改善すると良いでしょう。
Q3.ブリッジが入っていたり、矯正中だったりしてもPMTCは受けられますか?
PMTCを受けようと検討している方の中には、ブリッジなどの補綴物を装着していたり、矯正装置がついていたりする人もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、ブリッジや被せ物が入っている人や矯正治療中の人も、PMTCを受けることができます。
ブリッジや被せ物をしている人の場合
ブリッジや被せ物を装着していると、隙間部分などが磨き残しになりやすいです。この汚れが、他の歯の虫歯・歯周病リスクを高める可能性があります。そのため、PMTCでセルフケアが行き届かない箇所を徹底的に清潔にすることは、口の中の健康維持に有効でしょう。
矯正装置を装着している人の場合
矯正装置が入っていると、歯磨きが行いにくく、磨き残しになりやすいです。矯正中に虫歯・歯周病になってしまう人も少なくありません。
矯正中は特に、クリーニングを受けて口の中を清潔に維持することが大切です。矯正中の虫歯・歯周病は、矯正治療を長引かせてしまう可能性があるため注意が必要です。
Q4.インプラントが入っていてもPMTCを受けられますか?
インプラントは天然の歯よりもメンテナンスが必要になります。そのため、PMTCを受けることは有効でしょう。また、インプラントだけでなく、残っている歯の健康維持も重要です。
インプラントの失敗原因の一つに、インプラント周囲炎がありますが、普段からのプラークコントロールなどが大切になります。プロのクリーニングを受けて、インプラントの感染を防ぎ、残っている歯を大切にすることがインプラントを長持ちさせることにつながります。
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