• 口臭 原因

    腎臓の不調が口臭の原因に!?腎疾患による症状と改善策

    腎臓の不調が口臭の原因に!?腎疾患による症状と改善策

    腎臓からの口臭はおしっこくさいアンモニアのようなニオイを発します。口臭を改善するには、原因となる腎疾患の治療が最優先となります。

この記事をシェアする

  • 観覧数:10365 Views
  • 更新日:2016年10月03日

腎臓が悪いと口臭が悪化するって本当?どんなニオイ?

腎臓は、身体にとってとても重要な役割を担っている、腰のあたり(横隔膜の下)に位置するそらまめのような形状をした臓器です。大きさは握りこぶしほど、重さは150g程度で、左右1対の計2個存在しています。

実は、腎臓の機能が低下すると、その一症状としてアンモニア様の口臭が発生することがあります。
ここでは、腎臓の不調が口臭を引き起こすメカニズムについて、腎臓の機能や腎不全によるその他の症状などにも触れながら解説していきます。

そもそも腎臓ってどんな臓器?

まずは、腎臓がどんな臓器なのか、その働きをそれぞれ詳しく見ていきましょう。

1.老廃物の排出

老廃物を排出する腎臓

腎臓は、血液を濾過するフィルターの役割を持っています。血液中の塩分や老廃物は腎臓によって濾過され、尿として体外へ排出されています。また、その一方で、老廃物を排出するだけではなく、身体に必要なものは吸収して血液に運ぶ働きもあります。
この働きがスムーズに行われなくなると、尿が排出されず、身体にとって不要な老廃物がどんどん溜まっていき、全身に様々な症状が引き起こされます。

2.血液の生成

血液中の赤血球は骨髄で作られますが、このとき重要な役割を果たすのが腎臓から出されるエリスロポエチンというホルモンの一です。
赤血球は、このエリスロポエチンが骨髄の中の細胞を刺激することで作られているのですが、腎臓に不調をきたすとエリスロポエチンが減少し、血液の生成が十分に行われず、貧血症状を起こす場合があります。

3.骨の生成

骨

骨を生成するにはカルシウムが必要です。腎臓は、カルシウムを吸収するために必要となる活性型ビタミンDを作るホルモンの畜産を行っています。
腎臓の不調によってビタミンDが減少すると、カルシウムの吸収率が悪くなり、骨粗しょう症の原因へとつながります。

4.体液量や血圧の調節

腎臓は、塩分と水分の排出量を調整する役割を担っています。
腎機能が低下すると、イオンバランスが崩れ、身体の中の体液量の調節がうまく行われず、むくみやめまいなどの症状が現れるようになります。

腎臓と口臭の関係とは?

腎臓が持つ機能は様々ですが、これらの機能が何らかの理由によってうまく働かなくなると、おしっこのような、アンモニア様の口臭が発生することがあります。

腎機能が低下すると、尿の排出がスムーズに行われなくなります。すると、尿素は体内に蓄積されていってしまい、血液とともに全身を循環することになります。
尿素はもともと身体にとって有害なアンモニアからできています。アンモニアはツーンとくる刺激臭のする気体です。血液中の尿素は肺から呼気として排出され、これがいわゆるおしっこくさい、アンモニアのような口臭へとつながるのです。

口臭は生理的口臭や病的口臭など、原因によって分類されます。腎疾患による口臭は病的口臭ですので、ガムやマウスウォッシュ、口腔ケアによって解消されるものではありません。原因となる腎臓病の治療を進めることが、一番の口臭改善策となります。

腎機能の低下によって起こるその他の症状

多くの機能を持つ腎臓は、身体にとって大変重要な臓器です。そのため、十分に働かない状態が続くと様々な病気を引き起こす可能性があります。

腎臓の不調によって引き起こされる症状は、もちろん口臭だけではありません。腎機能の低下によって起こる症状の例として、以下のようなものが考えられます。

1.血尿

尿に血(赤血球)が混じることを血尿と言います。血尿の程度は、明らかに尿の色が茶褐色や血液の色に変わるほどの血尿のほか、見た目では分からないほど微量の血液が混ざる血尿など様々です。
腎臓や尿管、膀胱にトラブルを抱えていると、尿にわずかな血液が混ざることがあります

2.たんぱく尿

通常、血液中のたんぱく質は腎臓の糸球体でいったん濾し取られ、尿細管で再び吸収されて血液へ戻る仕組みになっています。ところが、腎臓に何らかのトラブルを抱えていると、明らかなたんぱく尿が出ることがあります。
たんぱく尿が検出されたら、腎機能に問題がないかどうか検査するなど、適切な指導を受けるようにしましょう。

3.高血圧

血圧を測定する男性

腎臓には、血圧をコントロールする働きがあります。そのため、腎機能が低下すると血圧を適正に保つことができず、高血圧の症状が表れることがあります。
高血圧は肩こりや頭痛、吐き気といった身体の不調を引き起こすことがあります。

4.むくみ

身体のむくみも腎臓病の一症状です。身体がむくんでしまうのは、水分が必要以上に体内に溜まってしまうためです。
腎臓は体内の水分や塩分の調節をする役目を果たしているのですが、腎機能が低下すると水分量の調節がうまくいかず、余分な水分が体に溜まり、むくみの原因となることがあるのです。

腎臓病の悪化を防ぐには?

腎機能が悪化し、症状が慢性することを慢性腎臓病(CKD)と言います。

慢性腎臓病は初期段階では自覚症状がほぼなく、気が付いたときには重度にまで進行していることが少なくありません。
慢性腎臓病がある程度まで悪化してしまうと、自然に治癒することはありませんので、定期的に健康診断を受けて早期発見につなげることが大切です。尿たんぱくが陽性と診断された方は、さらに詳しい検査が必要となります。

慢性腎臓病が更に悪化すると、最終的には透析治療を余儀なくされることとなります。もし、既に慢性腎臓病に罹ってしまっている場合には、これ以上腎機能を低下させないよう、病期に応じて適切な対策を講じることが重要です。

では、慢性腎臓病の悪化を防ぐには、具体的にどのようなことに気をつければよいのでしょうか。食事療法と生活習慣の改善による対策について解説します。

食事療法

慢性腎臓病の進行度には、病期(ステージ)があります。病期に応じて医師や栄養士の指導を受けることを食事療法といいます。病期に応じた指導の概要は以下の通りです。

ステージG1~G2(生活習慣病対策に準ずる食事)

塩分の摂取を1日に3g以上6g未満に抑えるようにします。摂取カロリーにおいても必要量に見合った適量に留めるようにします。
さらに、たんぱく質の過剰摂取を避けるように注意を促されます。

ステージG3~G5(腎臓に負担をかけない食事)

たんぱく質の摂取は、腎臓に負担をかけるため制限されます。さらに、高血圧の原因になりやすいため、塩分の摂取を制限されます。
他にも、病期ごとにカリウムやリン・水分の摂取に制限がかかる場合もあります。

生活習慣の改善

生活習慣を整える睡眠

慢性腎臓病の悪化を防ぐには、食事だけではなく、腎臓にとって負担になる生活習慣を改善することも重要となります。不規則な生活は高血圧など腎臓に負担をかける原因を作りやすいので、疲れやストレスを翌日に残さないよう、毎日しっかりと睡眠をとるよう心がけましょう。

また、日頃の生活習慣においては、以下のことにも注意が必要です。

アルコールの過剰摂取

過度の飲酒は腎臓に大きく負担を掛けてしまいます。アルコールは適量に留め、飲み過ぎてしまうことのないよう十分に注意が必要です。

タバコ

万病のもとと言われる喫煙は、腎臓にも悪影響を与えます。タバコを吸うと、血管が収縮して腎臓の血流が悪化し、たんぱく尿を増やすなど、慢性腎臓病を悪化させる原因につながると言われているのです。
タバコの本数が増えるほど腎機能は低下します。腎臓だけではなく、全身の健康のためにも禁煙することが望ましいでしょう。

運動不足

適度な運動をすることによって、高血圧や糖尿病を予防につながります。過度な運動は身体にとって却って身体の負担となりますので、定期的に適度な運動をするよう心がけましょう。

この記事に関連する記事