メチルメルカプタンは腐った玉ねぎ臭!?原因・対策は?
メチルメルカプタン(化学式:CH3SH)とは、メタンチオールとも呼ばれる無色の気体です。有機化合物が腐ることで発生し、殺虫剤の原料などで利用されています。
メチルメルカプタンと言ったら、「臭い」という印象を持っている人も多いでしょう。口臭の原因物質であることは良く知られていますが、「特定悪臭物質」の一つとなっているほど強いニオイを放ちます。口臭に悩む人の中には、メチルメルカプタンによる不快なニオイに悩まされている人も多いです。
メチルメルカプタン臭はどんなにおい?
メチルメルカプタンのにおいは、腐ったタマネギのようなニオイ・腐ったキャベツのようなニオイと例えられます。
アンモニア・トリメチルアミン・硫化水素とともに4大悪臭の一つになっていて、トイレのニオイ・生ゴミのニオイなど、生活の中のイヤな臭いの主成分にもなっています。
また、口臭の原因物質でもありますが、おならの臭いの原因でもあります。口臭やおならなどの臭いは、メチルメルカプタンだけでなく、さまざまな臭いの原因物質が複合して発生しています。
メチルメルカプタンが体内で発生する原因
口臭が強くない人でも、口の中で臭いの原因となる物質が作られています。口の中には、病気でない人でも多くの細菌が存在していて、その細菌がさまざまな物質を作り出します。そのため、誰にでも口臭はあり、全く口臭がないという人はいないと言えるでしょう。
しかし、特に不快なニオイを放出する揮発性硫黄化合物(VSC)は、病気や口の中のトラブルと深く関連していて、呼気に含まれる原因物質の割合が高くなります。周囲に気付かれるほどの口臭があるのは、病気やトラブルなどが隠れている可能性が高いでしょう。
口臭の原因となる3つの揮発性硫黄化合物
揮発性硫黄化合物(VSC)には、主に次のような物質があり、これらの呼気に含まれる濃度が高くなるほど、口臭がひどくなります。特に、メチルメルカプタンは硫化水素よりも強い悪臭を放つため、メチルメルカプタンの割合が高くなると、強烈な口臭になってしまうと言えるでしょう。
- 硫化水素
- メチルメルカプタン
- ジメチルサルファイド
歯周病は大量のメチルメルカプタンが発生!
歯周病の人の口の中から、メチルメルカプタンが多く検出されることがわかっています。歯周病の原因となる細菌が、メチルメルカプタンをたくさん放出するためです。
初期段階の歯周病は、痛みなどの目立った症状はありません。そのため、気付いた頃には歯周病が進行してしまっているケースも少なくありません。
また、歯周病は、進行するほど口臭が強くなりますが、口臭がきっかけで歯周病に気付く人も多いです。
歯周ポケット内でメチルメルカプタンが大量に生成される
メチルメルカプタンを生成する歯周病の原因細菌は、嫌気性細菌です。そのため、酸素の少なく汚れが溜まりやすい歯周ポケット内は、細菌にとって繁殖に絶好の環境となっています。
細菌が繁殖する際にメチルメルカプタンが生成されますから、進行するほど多くのメチルメルカプタンが放出され、口臭が強くなると言えるでしょう。
メチルメルカプタンの毒性で歯周病が悪化する?
メチルメルカプタンは、臭いが強烈なだけでなく毒性もあるため、歯周病の治癒を遅らせるという指摘もあります。
メチルメルカプタンは、さまざまな法律により毒物として指定されています。歯周病になると、メチルメルカプタンが原因のひどい口臭に悩まされる人は多いですが、それだけでなく、根本の原因となっている歯周病にもメチルメルカプタンが悪影響を及ぼしているとされているのです。
メチルメルカプタンにより維芽細胞に影響が及ぶと、タンパクやコラーゲンなどの合成が阻害されてしまうという報告もあります。
呼気として排出されるメチルメルカプタンよりも、歯周ポケット内の方が濃度は高いことから、高濃度のメチルメルカプタンによって歯周病の改善を阻害されている可能性があるのです。
舌苔で生成されるメチルメルカプタンの割合
口臭の原因となる揮発性硫黄化合物は、歯周病と舌苔が主な発生原因となっています。その中でも、舌苔の方が揮発性硫黄化合物の産生量が多いとされています。
しかし、舌苔で発生するのは硫化水素の割合が高く、メチルメルカプタンは歯周病の方が発生割合が高いとされます。
つまり、舌苔が原因の口臭は主に硫化水素が原因となっていると言えるでしょう。
プラーク内の細菌がメチルメルカプタンを生成する
歯磨きをしないと口が臭くなることがありますが、プラーク内の細菌が原因となっています。
プラークには、1mgあたり約300種・1憶の細菌が含まれているとされています。この細菌には口臭の原因となる物質を作り出すものも含まれるため、メチルメルカプタンに限らず、さまざまな口臭原因物質が作り出されてしまうのです。
プラークを除去し、口臭予防に努めることは、歯周病の予防や舌苔の予防にもつながります。口臭が気になるようになってからでは、病気が進行してしまっている可能性も否定できません。
早めの徹底したプラークコントロールが、効果的な口臭予防・口の中の健康増進につながるでしょう。
メチルメルカプタンによる口臭の対策
メチルメルカプタンによる口臭は、口の中の衛生管理や歯周病治療によって、予防・改善できるでしょう。原因に応じた、適切な対処が必要になります。
歯周病が原因となって口臭が強くなっている場合には、自己流のケアではなく、歯科を受診して適切な治療を開始することが求められるでしょう。歯周病治療の基本はプラークコントロールではありますが、自分で行っているプラークコントロールが正しくない場合もあるのです。
歯周病が進行すると、歯周ポケットからの排膿が起こるようになりますが、この膿も口臭の原因になります。歯周病は進行すればするほど、口臭の要因が増え、口臭がひどくなると言えるでしょう。また、進行するほど症状が改善されるまでの期間も長くなってしまいます。
歯周病による口臭対策は、歯科での治療とご自身で正しいプラークコントロールを行うことだと言えるでしょう。
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