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    舌のひび割れは病気が原因?ドライマウス/溝状舌/圧痕

    舌のひび割れは病気が原因?ドライマウス/溝状舌/圧痕

    ふと鏡を見たとき、舌のひび割れを見つけて驚いたということはありませんか?舌のひび割れの原因はドライマウスや溝状舌、圧痕等様々です。原因を突き止めて適切な治療を!

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  • 更新日:2016年09月30日

舌のひび割れは身体の異常!?原因は病気?

口腔内を診察する歯科医師は、患者が訴えた歯の痛みだけではなく、舌の表面の性状や色から口腔内に異常がないかチェックしています。舌は身体の健康状態を指し示すバロメーターとして活用されているのです。

舌にひび割れができているという方は、もしかするとそれは何らかの身体のトラブルが生じているサインかもしれません。今回は舌のひび割れが起こる原因について詳しく解説していきます。

舌のひび割れの原因は?

普段は何でもない舌の表面に、地割れを起こしたようなひび割れがあると、気になって不安になってしまいますよね。
舌のひび割れの原因として、ドライマウスや溝状舌、圧痕などが挙げられます。

1.ドライマウス

ドライマウス

ドライマウスとは、唾液分泌量が低下した口腔状態のことです。水分が減って喉が渇き、口の中がネバネバする不快感が現れます。
口がパサパサしてパンやクッキーなどが食べづらくなり、唾液によって味物質が拡散されないので、何を食べても美味しくなくなり食欲が低下します。

ドライマウスになると、虫歯や歯周病にもなりやすくなります。唾液には様々な酵素が含まれており、細菌に対する抵抗力や細菌を洗い流してくれる自浄作用があります。しかし、唾液が減るとその効力が薄れ、虫歯菌や歯周病菌が繁殖してしまうのです。

また、口腔内の細菌が増えると同時に口臭も発生します。舌の表面に舌苔(ぜったい)という汚れが溜まり、細菌がその汚れを分解して揮発性硫黄化合物(VSC)という口臭物質を産生するためです。
舌の表面が黄色いと舌は乾燥していることが多く、ひび割れの症状も見られやすくなります。舌苔が白い場合は逆に湿潤した感じになり、ひび割れはあまり見られないと言われています。

重度の場合は舌がヒリヒリと痛くなり、ひび割れが見られます。中には乾燥でひび割れているだけでなく、カンジダ症を発症しているケースもあります。
カンジダ症はカンジダ菌という真菌が起こす感染症です。カンジダ菌は普段から口腔内に存在している常在菌ですが、風邪や妊娠、ストレスなどで免疫力が低下すると増殖してカンジダ症を引き起こします。カンジダ症と舌のひび割れが起こっている時は、唇の端の部分が痛痒くなる口角炎も併発しやすくなります。

ドライマウスの原因

ドライマウスの原因にはいくつかあり、日常的なストレス・緊張、花粉症による鼻詰まりからの口呼吸、加齢による唾液腺周りの筋力低下、睡眠薬・抗不安薬など薬の副作用による口渇などが挙げられます。

また、大きな病気が関わるものであれば、糖尿病やシェーグレン症候群、放射線治療により唾液腺に異常をきたすことで現れることもあります。

ドライマウスの治療法

ドライマウスへの対処法は、セルフケアで補えるものと補えないものがあります。
ストレス・緊張や口呼吸、加齢によるものはセルフケアである程度まで改善可能です。原因を自覚して取り除ける危険因子は排除し、ガムを噛むことや唾液腺マッサージによって唾液の分泌量を増やします。それでも治らない場合は、病院で治療やカウンセリング・生活指導を受けることになります。

薬の副作用によるドライマウスの場合は、セルフケアだけでは補えません。薬を処方している先生に相談して、同じ効果のある別の種類の薬を処方してもらうのがベストです。

糖尿病が原因のドライマウスは、まず血糖値のコントロールが先決です。適切な治療を受けて病状が安定すれば、おのずとドライマウスの症状も軽くなるでしょう。それでも症状が強い場合は、唾液腺マッサージや保湿剤を用いて口腔粘膜を潤す手段が有効です。
また、シェーグレン症候群や放射線治療後の副作用によるドライマウスを根治することは難しいですが、唾液分泌を司るムスカリン受容体を刺激する薬などで唾液を増やします。

2.溝状舌(こうじょうぜつ)

溝状舌

溝状舌(皺状舌)は、舌の表面に縦横数本の溝が入った状態を指します。長いものや短いもの、枝分かれしているものなど形は様々で、深い溝から浅い溝まであります。どちらかというと高齢者に見られ、幼い子供には現れることは少ない傾向にあります。
ドライマウスによるひび割れと異なり、痛みやヒリヒリ感も少なく日常生活で問題はさほど感じませんが、味覚異常や口臭が生じる場合もあります。

また、時に地図状舌(移動性舌炎)を併発することがあります。地図状舌とはその名の通り、舌の表面に地図のようなまだらな白い模様が現れる現象です。
地図状舌は小さな子供や若い女性に見られることが多いです。違和感はあるものの痛みがあることは少なく、数日で消えるので治療は要りませんが、念のため病院を受診しておくと安心です。

溝状舌の原因

溝状舌の原因は、先天性(生まれつき)のものと病気による後天性のものが挙げられます。

悪性貧血による萎縮性胃炎や胃潰瘍による胃切除後には、内因子という物質が分泌されにくくなることでビタミンB12の吸収が不足します。ビタミンB12は葉酸と一緒に粘膜や上皮を作る作用があるため、不足すると舌の表面に溝状舌が症状として現れることがあります。舌乳頭が委縮すると、ヒリヒリ感や灼熱感、痛みを生じます。
なお、悪性貧血に伴う溝状舌はハンター舌炎とも呼ばれます。

メルカーソン・ローゼンタール症候群という病気では、溝状舌のほか、顔の表情筋が麻痺する顔面神経麻痺や唇が大きく腫れる肉芽腫性口唇炎(にくがしゅせいこうしんえん)などの症状が現れます。一時的に症状が治まっても再発し、症状が強くなっていきます。
メルカーソン・ローゼンタール症候群の発症原因は明確にはなっていませんが、虫歯や詰め物、アレルギー性鼻炎との関係性が疑われています。

溝状舌の治療法

先天的な溝状舌に対する治療法はありません。ただし、溝に舌苔が溜まりやすいので日頃のセルフケアが必要となってきます。舌苔除去専用の舌ブラシを活用しながら、清潔で口臭の発生しない爽やかな口腔環境を保つことが大切です。

ビタミンB12吸収不足の場合は、悪性貧血の治療およびビタミンB12を注射して、不足分を補い続ける必要があります。

メルカーソン・ローゼンタール症候群の場合は、まず原因として考えられる疾患の治療を行います。鼻炎に対して薬を処方する、虫歯があったら削って詰める、詰め物の不適合や2次カリエス(詰め物の下にできた虫歯)を治すなどの治療法が挙げられます。
なお、薬物療法としては、副腎皮質ホルモンを投与して症状を抑える場合もあります。

3.圧痕

圧痕

ドライマウスや溝状舌によるひび割れほど溝は深くありませんが、舌のサイド部分にくびれたような大き目の凹ができることがあります。これを圧痕といい、舌に強く力を入れているせいで歯の痕が付いてしまった状態を指します。なお、圧痕は舌だけではなく、頬の粘膜にも見られることがあります。

圧痕がある方は、歯をギューッと食いしばるクレンチング症候群である可能性も考えられます。強い食いしばりがあると、歯痛や肩こり・頭痛、顎関節症などの症状が現れることがあります。

圧痕の治療法

舌の筋肉が緊張しているということは、顎の筋肉全体が緊張しているということです。まずはエラの近くにある咬筋を指でほぐすようにマッサージしましょう。

就寝中の食いしばりが酷いようであれば、歯科医院で歯を保護するためのマウスピースを作製してもらう必要があります。
顎関節症はポピュラーな疾患であり、治療せずとも年を経るにつれて症状は消えていきます。しかし、口が開かなくなるほどの顎関節症であれば、すぐに歯科医院で治療を受けてください。

舌のひび割れが気になったらまずは病院へ

舌のひび割れの原因は様々ですが、その場合によっては、放置していると口臭や虫歯・歯周病などその他の症状を引き起こすケースも考えられます。
セルフケアで症状が治まらないようであれば、我慢せずに病院を受診することをおすすめします。歯科医院、耳鼻咽喉科、内科などを訪れるとよいでしょう。

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