パンラクミンの効果は?口臭に効く2つの理由
軟便や便秘、ガスによる膨満感など、「下痢まではいかないけれどお腹の調子が悪い」といった時に、よく服用されている薬に整腸剤があります。整腸剤といえば、大正製薬から販売されているビオフェルミンが有名ですが、その他のメーカーからも様々な整腸剤が販売されています。
その1つが『パンラクミン』という整腸剤です。近ごろ、このパンラクミンが口臭の防止に効くのではないかと一部で話題になっています。整腸剤であるパンラクミンが、どうして口臭予防に働くのでしょうか。ここでは、パンラクミンの作用とその口臭予防効果について解説します。
パンラクミンとは
パンラクミンは、消毒薬のマキロン、頭痛薬のロキソニン、胃薬の第一三共胃腸薬といった多くの有名な薬を販売している第一三共ヘルスケアから発売されています。指定医薬部外品の整腸剤です。
指定医薬部外品とは?
薬は主に「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」の3つに分けられます。
医薬品は、処方箋の必要な「医療用医薬品」と、薬局で普通に購入できる「一般用医薬品(OTC医薬品)」に分けられます。一方、「医薬部外品」「化粧品」は医薬品に比べると比較的リスクが低く、効果が弱い薬が分類されています。医薬品部外品に「指定」というワードが付いた指定医薬部外品は、元来は医薬品に分類されていましたが、リスクが低く安全性が高いと考えられ、医薬部外品に移行したものを指します。
つまり、パンラクミンは医薬品と同程度の効果が期待できますが、リスクは医薬品よりも低く、安全な薬と言えるのです。
パンラクミンは錠剤タイプの薬で、舐めるとヨーグルトの味がします。舐めてもいいですし、噛んで食べても美味しいので、小さな子供にもおすすめです。
パンラクミンの成分
パンラクミンの成分を詳しく見てみましょう。主成分は「有胞子性乳酸菌(ラクボン原末)」「タカヂアスターゼN1」「ビオチン」の3種類です。
1.有胞子性乳酸菌(ラクボン原末)
乳酸菌はヨーグルトやキムチなどの発酵食品に含まれていて、身体に良いとよく言われますね。乳酸菌は細菌の1種で、代謝の過程で乳酸を作り出すので乳酸菌と呼ばれています。乳酸菌は乳酸を産生することで、他の細菌が増殖するのを抑制します。
ちなみに、虫歯菌も乳酸を出して歯を溶かすので、乳酸菌の1種といえます。ただし、食物から乳酸菌を摂取したとしても、虫歯菌のように歯を溶かす心配はありませんので安心してください。
有胞子性乳酸菌「ラクボン」とは?
有胞子性乳酸菌は普通の乳酸菌と異なり、胞子という種を作って発芽して乳酸菌になります。胞子は厚い膜を持ち、耐熱性・耐酸性に長けているため、有胞子性乳酸菌は乳酸菌よりも安定して乳酸を作り出すことができます。
胞子は胃酸に溶かされないので、お腹の中でも効果が維持されます。また、薬の保存期間を長くする点でも役立っています。
ラクボンは有胞子性乳酸菌の1つであり、ラクボン菌(酪酸菌)と言います。腸の中で乳酸を産生し、お腹の調子を整えます。
2.タカヂアスターゼN1
タカヂアスターゼは酵素成分であり、第一三共の初代社長である故・高峰譲吉博士が、明治時代にアルコール発酵の研究から発見した消化酵素です。主にお米などの炭水化物の消化を促し、お腹の動きを助けます。さらに、お腹の中で有胞子性乳酸菌であるラクボン菌を増やす働きもあります。健胃消化剤として、他の薬に混ぜることもあります。
3.ビオチン
ビオチンとは、ビタミンHのことです。牛や豚のレバー、カレイなどの魚類、ピーナッツやアーモンドなどの豆類に多く含まれています。その効果はいまだにハッキリと解明されてはいませんが、皮膚の炎症を抑制したり、アトピーを改善したりするなど、お肌をキレイにする働きが備わっているとされています。
パンラクミンには、ラクボン菌の成長を促す意味で配合されています。
パンラクミンの効果
腸内には、大腸菌などの悪玉菌という腸内環境を乱す細菌が存在しています。悪玉菌が多いと腸内にガスが溜まりやすくなり、ガスのニオイが強くなって、便秘も生じます。腸壁を傷つけて癌を発生させたり、腸内のpHを上昇させアルカリ性にすることで免疫力を低下させます。
この悪玉菌を阻害するのがラクボン菌です。ラクボン菌は善玉菌の1種であり、悪玉菌をやっつけます。ラクボン菌は胞子を持っているので胃酸による悪影響を受けることなく、生きたまま腸内に到達すると胞子を発芽し、成育していく過程で乳酸を産生して、悪玉菌に対抗します。
パンラクミンが悪玉菌と善玉菌のバランスを整えます
パンラクミンを飲むことで、善玉菌が腸内の働きを正常に戻し、便秘・軟便を解消して、消化不良を回復させます。消化酵素であるタカヂアスターゼN1が、胃もたれや胸やけにも効果的に働きます。
しかし、悪玉菌は100%悪者というわけではありません。善玉菌も増えすぎると身体に悪影響を与えます。そのため、悪玉菌と善玉菌のバランスを保つことが整腸に繋がるのです。パンラクミンは腸内バランスを助けるお手伝いをします。
パンラクミンの用法・用量
パンラクミンは5歳以上の子供から服用することができます。5歳~11歳未満なら1回1錠、11歳~15歳未満なら2錠、15歳以上なら3錠です。1日3回、食後に飲みます。整腸剤なので飲み忘れても特に心配は要りません。
副作用が無く、妊娠中の方・授乳中の方でも安心して飲むことができます。お腹の赤ちゃんや母体に悪影響を及ぼすような成分は含まれていません。
パンラクミンは継続して服用することで効果が現れます
なお、パンラクミンは、1回飲んだだけでハッキリと効果が現れるような薬ではなく、徐々にマイルドに効いていきます。身体に成分が蓄積するようなことはありませんが、長く飲み続けることで腸内環境が改善され、より効果が実感できるでしょう。
パンラクミンプラスとの違い
パンラクミン錠の他に、「パンラクミンプラス」という姉妹商品もあります。どんな成分がプラスされているのかというと、有胞子性乳酸菌(ラクボン原末)の他に「納豆菌末」と「沈降炭酸カルシウム」が加えられています。納豆菌末は善玉菌として整腸作用を発揮します。沈降炭酸カルシウムは胃腸薬によく含まれている成分で、胃酸を中和して胃粘膜を保護する働きがあります。
パンラクミンプラスは第3類医薬品です
パンラクミンプラスは第3類医薬品、つまり「医薬品」に分類されるので、パンラクミンよりも少しリスクがあります。納豆には血をサラサラにする効果があるので、ワルファリンなどの抗血栓薬を飲んでいる人は服用を避けましょう。また、甲状腺機能に異常がある人も、主治医に相談してから服用するようにしてください。
パンラクミンが口臭に効果的って本当?
パンラクミンが口臭に効果的とされている理由は、2つあります。
1.口の中の環境を整えて口臭を改善する
1つは、口腔内にも悪玉菌と善玉菌が存在しているので、口の中で舐め続けることで腸内と同じように細菌バランスを整えてくれるのではないかという考えです。確かに、腸内にも口腔内にもたくさんの細菌が共生していて、細菌どうしが作用し合うことでバランスが保たれています。パンラクミンを舐めることである程度は口腔環境を整えることが可能でしょう。
ただし、口臭予防までできるかは明らかにされていません。一方で、ハッキリと言えることは、固形物を舐めることで舌苔(ぜったい)という舌の表面の口臭物質を除去できるという点です。固形物であればパンラクミンでなくとも構わないのですが、キャンディーを舐めて虫歯になるリスクを高めるよりは、舌苔を落とせて、腸内環境まで整えられるパンラクミンを舐める方が良いかもしれません。
2.便秘を解消して口臭を軽減する
2つ目の理由は、パンラクミンを飲むことで便秘を解消して口臭を抑えられるのではないかという考えです。
便秘をしていると腸内に溜まったガスの一部が血液に回り、臭いガスとして溶けて肺に到達し、口臭として発生する場合があります。(この説についてはまだ解明されておらず、個人差があります。)便秘で口臭がある人は、試してみるのも1つの方法でしょう。
まずは口臭の根本的原因を把握することが大切
パンラクミンによる口臭予防効果は、販売メーカーが明確に提言しているわけではありません。ですので、その効果には個人差や限界があります。
口臭を失くすには、まずその根本的な原因を把握することが重要です。口臭でお困りの方は、1人で対策を練るのではなく、歯科医院や口臭予防外来などを訪れて適切な治療を受けることが大切です。
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