口臭を引き起こす病気の種類【一覧】
ニンニク料理などニオイが強い食べ物を摂取すると、口のニオイの原因となります。しかし、食事などの生活活動によって起こる口のにおいは、一時的なものなので心配は要らないでしょう。
しかし、口臭の原因が病気の場合もあります。病気が原因の口臭は、病気が改善されなければ口の臭いも軽減されません。また、「たかが口臭」と放置してしまうと、口臭を改善できないどころか、病気の進行を招いてしまうため注意が必要でしょう。
口臭を引き起こす病気には、多くの人が経験している病気もあれば、命に関わるような病気もあるため注意が必要です。口臭が病気を知らせるサインかもしれません。見逃さないようにしたいですね。
口臭を引き起こす口の中の病気
1.虫歯
「1本も虫歯がない」という人の方が珍しいほど、多くの人が罹患している虫歯。小さな虫歯では口臭の原因になることはありませんが、進行すると口臭の原因になります。
虫歯は進行すると、細菌によって歯が溶かされて穴があきますが、さらに進行すると神経にもダメージが及びます。そこから、さらに進行すると神経やその周辺の組織が腐り、ニオイの原因となる腐敗臭を放出するようになります。
虫歯が神経に達すると、強い痛みを生じるようになりますから、この段階で歯医者に行く人も多いでしょう。
しかし、神経に達した虫歯は、しばらくすると痛みがなくなります。神経が死んで痛みが引くため、歯医者に行かずにそのまま放置してしまう人も少なくありません。
重度虫歯の放置は、痛みはありませんが、神経組織が腐ってガスが放出されるため、口臭の原因になる場合があります。
虫歯による口臭を防ぐには?
虫歯による口臭を防ぐには、虫歯を防ぐこと、虫歯を進行させないことと言えるでしょう。虫歯の原因はプラークですから、プラークコントロールをしっかり行うことが大切です。
また、虫歯を進行させないようにするには、定期的に歯科検診を受けることが有効でしょう。初期の虫歯は痛みがありませんから気付きにくいです。痛みが出る頃には、ある程度進行してしまっているため、痛みが出る前に検診を受けることが望ましいでしょう。
2.歯周病
「日本人の8割が歯周病」と言われているほど、歯周病は多くの人が悩まされています。特に、年齢が高くなるほど有病率が高くなります。
また、歯周病は口臭の原因であり、歯周病の口臭は腐った玉ねぎのようなニオイになります。これは、歯周病の原因細菌が放出するガス(メチルメルカプタン)によるものであり、強いニオイを生じます。
歯周病は進行するまで、痛みなどの症状がありませんから、口臭を指摘されたことで歯周病に気付く人も少なくありません。
歯周病の症状を改善することによって口臭も軽減できますが、歯周病が進行するほど治療期間も長くなりやすいです。
重度の歯周病では膿のニオイになることも…
歯周病が進行すると歯周ポケットが深くなっていき、深くなるほどポケット内の清掃が困難になっていきます。歯周ポケット内が不衛生になると膿が溜まりやすくなり、口臭の原因になります。
かつて歯周病は「歯槽膿漏」と呼ばれていたのも、排膿をともなう病気であるためです。歯肉から膿が出るほどに進行した重度の歯周病になると、歯槽骨の吸収が進み、歯の動揺などさまざまな症状が現れます。
口臭がサイン!?口が臭くなる主な全身疾患
1.糖尿病
糖尿病になると、ケトン臭(アセトン臭)といって甘酸っぱい独特な口臭になる場合があります。この臭いは、口臭だけでなく体臭にも表れます。
糖尿病になると、本来エネルギー源とすべきブドウ糖を、うまく利用できなくなってしまうため、脂肪やたんぱく質をエネルギーとして利用するようになってしまいます。この過程で作られるケトン体が、口臭・体臭に出てしまうのです。
このケトン臭を消すには、糖尿病の改善(血糖値のコントロール)が必要になります。糖尿病は進行すると命に関わるような合併症を引き起こしますから、放置することは危険です。口臭が糖尿病を知らせるサインかもしれません。独特な口臭に気付いたら、早めに検査を受けてみることをお勧めします。
ダイエットで同様の口臭になることも…
糖質を極端に控えるダイエットなどを行うと、糖尿病と同じように口や体のニオイがケトン臭になってしまいます。
糖質の摂取量を極端に減らすと、ブドウ糖をエネルギーとして利用できなくなりますから、脂肪やたんぱく質を分解しエネルギーとして利用するようになり、ケトン体を作ってしまうのです。
2.腎臓病
腎臓病は初期段階では自覚できる症状はほとんどありませんが、進行してくるとむくみや口臭、だるさなどの症状が現れるようになります。
腎臓の不調により、アンモニアがうまく排出されなくなると、体内に残ったアンモニアが血液に取り込まれ、呼気として排出されてしまうために口臭が強くなってしまいます。
そのため、腎臓病の口臭・体臭はアンモニアのような臭いになってしまいます。
腎臓の機能が低下すると、排出されるべき有害な物質が体内に残り、血液中に取り込まれてしまうため、体にさまざまな不調が現れるようになります。また、尿中に体に必要な物質が排出されてしまったりする場合もあります。
肝臓の不調も口臭をアンモニア臭に…
腎臓病など腎臓の不調だけでなく、肝硬変など肝臓の不調も、口臭がアンモニアの臭いになる場合があります。
肝臓の病気は自覚症状が現れにくいため、「沈黙の臓器」とも呼ばれていますが、進行すると命に関わる病気もあるため、口臭に気付いたら病院で相談したり、検査を受けたりするなど、早めの対処が求められるでしょう。
3.逆流性食道炎
逆流性食道炎は、若い年代に増えているとして近年よく耳にする病気だと思います。逆流性食道炎はその名の通り、摂取した食べ物や胃液が食道に逆流してしまう病気です。
本来は、下部食道括約筋によって胃液が逆流することはありませんが、下部食道括約筋の筋力が低下したりすることによって、胃の中にあるものが食道へと逆流してしまうのです。
胃の中にある、食べた物や胃液が食道に戻ってしまうことによって、胃液の刺激で食道に負担がかかったり、胸焼け・吞酸(胃液が上がってくることによってげっぷが出る)といった症状が起こります。
胃酸の酸っぱいニオイが喉の辺りまで上がってくることで、口臭が強くなってしまう場合があるのです。
また、げっぷの回数も多くなります。げっぷと一緒に胃酸が逆流してくるため大変つらいのですが、それだけでなく、胃から上がってくる臭いで口が臭くなってしまう場合もあるようです。口臭やげっぷを解消するためには、逆流性食道炎の適切な治療が必要になります。
逆流性食道炎の原因は肥満!?
逆流性食道炎の原因として、加齢や姿勢(背中が曲がっていると胃に圧力がかかる)なども挙げられますが、脂質の多い食事や過食、肥満なども逆流性食道炎の原因になるとされています。
また、ストレスが多い人も逆流性食道炎にかかりやすいとされています。
口臭の原因が心の病気であることも…
口臭の原因の多くは、口の中にあるとされていて、全身疾患が原因となっている口臭の割合は少ないようです。
しかし、口の中や全身に口臭原因がない場合もあり、心の病気の場合もあるのです。
悩むような口臭はないにもかかわらず、口が臭いと思い込んでいる場合もあります。これは、軽度である場合もあれば、社会生活に支障をきたしてしまうような重度の場合もあります。
自臭症(自己臭症・自己臭恐怖)と呼ばれ、自分の口が臭い、周囲に口臭が強いと思われている、自分の口臭で周囲に迷惑をかけているなどと思い込んでしまいます。
自臭症の主な症状には、自分の口臭のことが気になって頭から離れない・口臭を軽減するために何度も歯磨きをしたり、ガムを噛み続けたりする・口臭が原因で人と関わることを避ける といったものが挙げられます。
口臭について深く悩んでいる場合には、まずは歯科医院や口臭外来で相談し、口臭の有無やその原因を明確にすることが大切でしょう。
もしかしたら、ひどく悩んでいる口臭が思い込みかもしれないのです。
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