蓄膿症の症状/風邪やアレルギー性鼻炎との違いは?
蓄膿症(慢性副鼻腔炎)は、副鼻腔という顔の骨の中にある空洞に膿が溜まる病気で、副鼻腔炎を繰り返し、副鼻腔炎が3ヶ月以上続いて炎症が慢性化してしまった状態です。
原因は花粉アレルギーやカビ、風邪のほか、ストレスや歯の炎症などが挙げられます。
蓄膿症の症状は鼻づまりが最も多い症状ですが、特に気をつけたい症状が口臭です。
鼻や喉からの分泌物に膿が多くなり、さらに口呼吸によってドライマウスになり口が臭くなりやすい反面、鼻が詰まっているので、自分ではそのニオイに気づきにくいのです。
蓄膿症ってどんな症状があるの?
以下の症状に当てはまる方は、単なる鼻詰まりではなく蓄膿症を発症している可能性があります。
まずは蓄膿症の主な症状について、それぞれ詳しくチェックしていきましょう。
1.鼻が詰まって息ができない
普通の風邪やアレルギー性鼻炎でも鼻づまりの症状は起こるものですが、急性副鼻腔炎を繰り返し、鼻の中に「鼻茸(はなたけ)」と呼ばれるポリープができると、空気の通り道が塞がれて余計に息がしづらくなってしまいます。
鼻詰まりの症状が長引いている場合は、蓄膿症の可能性も疑って、早めに病院を受診しましょう。
2.ドロッと、あるいはネバネバした鼻水が出る
粘り気のあるドロッとした鼻水は、膿が混じっている証拠です。また、場合によっては咳込んだ時に出てくる痰のような塊が出てくることもあります。
鼻水の色が透明ではなく黄色い
普通の風邪やアレルギー性鼻炎では、出てくる鼻水は無色透明であることが多いのですが、副鼻腔が炎症を起こして膿が出ている場合、鼻水が黄色、あるいは緑色になります。
鼻水をティッシュにかんだ時には、鼻水の色にも注意を払って観察してみましょう。
3.鼻水が喉の方に垂れている感じがする
鼻から喉の方に鼻水が垂れてくる症状を後鼻漏(こうびろう)と言うのですが、後鼻漏も蓄膿症ではよく見られる症状です。
後鼻漏は健康な方にも起こる生理的現象なのですが、蓄膿症により垂れてくる鼻水には、細菌や膿がたくさん混じっているので、喉にへばりついたような不快感のほか、イヤな口臭を感じることがあります。
汚い鼻水を身体に飲み込んでいるかと思うと、ちょっと気持ち悪いですよね。
また、後鼻漏の状態を放置していると、気管支喘息を引き起こすとも考えられているため、早めに病院を受診し悪化を防ぐのが望ましいでしょう。
4.食べ物のニオイや味がわかりづらい
鼻水や鼻腔粘膜の腫れ、鼻茸が鼻腔を塞ぐことにより嗅覚障害、味覚障害を起こすことも、蓄膿症の症状のひとつです。ニオイが分からないので、何を食べても味気ない感じがすることから、食欲が減退して食事をとれずに体重が減ってしまうという方もいます。
5.頭痛・頭重感がある
蓄膿症では、ひどい鼻詰まりによって睡眠が妨げられるため、頭痛や頭重感が生じることがあります。呼吸がしづらく、夜にグッスリ眠れないというのはとても辛いことですね。
また、頭痛だけでなく、炎症が進行して膿が溜まることで顔が圧迫されるので、副鼻腔付近の鼻周りや目の奥、頬のあたりが痛くなる場合もあります。中には虫歯もないのに歯痛を感じるという方もいます。
6.鼻をかんでも楽にならない
鼻腔粘膜の腫脹(しゅちょう)や鼻茸が続くと、鼻水が無い状態でも空気の通り道を塞がれて苦しい感じがし、鼻をかんでもかみ切れないというモヤモヤを感じます。
さらに、鼻の粘膜は敏感ですから、何回も鼻をかむことで痛みが生じることもあります。
7.口臭が起こる
鼻詰まりがひどくなると自然に口呼吸になり、口の中が乾いて唾液が少なくなることから口臭がキツくなってしまいがちです。
さらに、口呼吸は扁桃炎を引き起こしてしまいやすく、口腔内が膿や臭い玉などのニオイの原因が溜まりやすい環境になってしまう可能性があります。
仮に蓄膿症ではなかったとしても、長期的な鼻詰まりで口呼吸が癖になってしまうと、口臭の悪化だけではなく、風邪などのウイルスへの抵抗力が弱まったり、虫歯になりやすくなったりといった問題も懸念されます。鼻詰まりの原因は早めに突き止めて、意識して鼻呼吸へと矯正しましょう。
風邪/アレルギー性鼻炎(花粉症)との違い
蓄膿症と同様、「鼻詰まり」という共通の症状を持っている疾患として、風邪とアレルギー性鼻炎が挙げられます。
蓄膿症の原因は急性副鼻腔炎の反復で、急性副鼻腔炎の原因は主に鼻腔・咽頭・喉頭へのウイルスや細菌の感染です。風邪も感染症の一種ですから、同じメカニズムといえますね。
一方、アレルギー性鼻炎は花粉、ダニ、ハウスダストなどのアレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)によって引き起こされる病気で、鼻水やくしゃみ、目のかゆみといった症状を引き起こします。
身体が有害なものと判断して反応するかどうかは体質によって異なり、全く平気な方、クシャミばかりしている方など個人差があります。
なお、アレルギー性鼻炎を繰り返していると、副鼻腔や鼻粘膜が長期にわたって腫れるため、蓄膿症を合併しやすくなります。
鼻水で病気のセルフチェックができる!?
鼻詰まりの症状があっても、風邪なのか蓄膿症なのか、あるいはアレルギー性鼻炎なのかどうか、判断がつかないという方は多いですよね。
詳しい病状の判断には病院での検査が必要ですが、鼻水の状態をチェックすることで、鼻詰まりの原因となっている病気をある程度判断しやすくなります。
鼻水の状態をチェック!
- アレルギー性鼻炎…鼻水が透明でサラッとしている
- 蓄膿症…鼻水が黄緑色でネバッとしている
なお、風邪の場合はどちらの症状もあり得ますが、鼻水のほか、発熱や全身の倦怠感がある場合には風邪の可能性が高くなります。
蓄膿症の臭いってどんなニオイ?
蓄膿症で生じるのは、一体どんなニオイなのか気になりますよね。
人によっても異なりますが、蓄膿症で発生するニオイの多くは、ドブのような、生ゴミのような嫌な腐敗臭、分泌物や細菌の死骸の塊である臭い玉のニオイに近いと言われています。
また、後鼻漏で喉の方に鼻水が垂れてくると、しょっぱいような苦いような変な味を感じることもあります。
しかし、蓄膿症で鼻が詰まっていると、自分ではなかなかニオイに気づくことができません。そんな時は鼻うがいをした後に軽く鼻をかむと、奥の方の鼻水が出てニオイがわかりやすくなります。
蓄膿症の臭いは口臭にも影響する?
蓄膿症により溜まった膿や鼻水の臭いは、口臭にもつながります。中には周囲には気づかれなくとも、自分自身が鼻の奥からニオイを感じてしまうという方も多いようです。
また、鼻詰まりからくる口呼吸によって口の渇きが生じると、唾液の分泌がスムーズに行われず、口腔内の汚れや細菌が唾液によって洗い流されないことで口臭が生じやすくなります。このことからも、蓄膿症と口臭は実は大きな関わりを持っているということがわかりますね。
口臭が気になる方で、「食べ物の味が分からないほど鼻詰まりがひどい」「鼻水の色が黄色や緑色をしている」「後鼻漏である」「頭や頬、目の周りが痛い」など、蓄膿症に該当する症状に心当たりがある場合は、蓄膿症の治療こそが口臭改善の近道となります。
放置すると入院や手術による治療が必要になることも珍しくありませんので、蓄膿症の症状に気付いたら、早めに耳鼻咽頭科などの専門医院を受診し、治療を受けましょう。
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