妊娠で口臭がキツクなる!?原因・対策・予防と注意すべき病気
妊娠中は身体の不調やトラブルなどが起こりやすいのですが、口臭が強くなる人もいます。口が生臭いニオイになったり、生ゴミや腐ったタマネギのようなニオイになったり…口臭を指摘されて悩んでしまう人も少なくありません。
妊娠中は、さまざまな体の変化によって口臭が起こりやすい時期だと言えるでしょう。クヨクヨせずに、効果的な予防・対策を取り入れていきましょう。
妊娠中に口臭が強くなる主な5つの原因
1.唾液の減少(ドライマウス)
妊娠中はホルモンバランスの変化によって、唾液が減少しやすい時期です。そのため、口の中が乾燥し、細菌の繁殖を招いて口臭が強くなりやすくなります。
唾液には、次のような作用があり、口の中を清潔に維持してトラブルを防ぐ働きがあります。口臭予防はもちろん、虫歯予防や歯周病予防にも役立つのです。
妊娠中は、唾液の作用を十分に得られなくなることで、口の中のトラブルを招きやすいため注意が必要でしょう。
<唾液の主な作用>
- 洗浄作用
口の中の汚れを洗い流す
- 緩衝能
酸性に傾いた口の中を中和する
- 抗菌作用
細菌の活動や働きを抑制する
- 再石灰化促進
再石灰化を促進して虫歯を防ぐ
唾液を増やすことが大切!
口の中が乾燥して口臭が強くなっているならば、唾液の分泌を促進したり、口の中に潤いを与えるなどの対策が必要でしょう。
唾液の分泌を促進する方法として、唾液腺のマッサージを行う・咀嚼回数を増やすといった方法が挙げられます。噛む回数を増やすには、食事の時によく噛むように心がけたり、ガムを噛んだりすると良いでしょう。
ガムは、キシリトール配合のものがおすすめです。妊娠中のキシリトールの摂取が心配な人も少なくないと思いますが、過剰に摂取しなければ問題ありません。キシリトールガムは、虫歯予防効果も得られます。
また、水分摂取量が過剰になるとむくみの原因になるため、心配な場合にはうがいで口の中を潤すのも有効です。
2.口腔内が不衛生になりやすい
妊娠中は食生活が変化して、口の中が不衛生になりやすいです。つわりで食事の回数が増える、甘い物ばかり食べたくなるという人も多いです。
また、嘔吐を伴うつわり、気分が悪くて歯磨きができないといったことも、口の中が不衛生になる要因になります。
口の中が不衛生になると、口臭の原因となるプラークが蓄積しやすくなります。プラーク内の細菌は硫化水素やメチルカプタンといった、ニオイの強い物質を作り出すため、口臭がきつくなってしまうのです。
妊娠中は特に口の中の衛生管理に気を付けることが大切です。
つわりの時期の歯磨き
つわりがひどくて歯磨きができないという場合には、うがいをするようにしましょう。デンタルリンスを使って気分が悪くならないならば、デンタルリンスを使用すると良いでしょう。
また、歯磨き粉の香料で気分が悪くなってしまうならば、味や香りの弱い歯磨き粉に変えたり、歯磨き粉の使用を控えたりすると良いでしょう。
起床時や就寝時など、妊娠前に一定の時間に歯磨きをしていたという人も多いと思いますが、つわりの時期は、気分の良い時間帯に歯磨きを行うようにするというのも一つの方法です。
3.歯肉の病気(歯周病)
妊娠によりホルモンバランスが変化することによって、歯周病の原因となる特定の細菌が繁殖しやすくなります。そのため、妊娠中は歯周病のリスクが高くなります。
歯周病は口臭の主な原因の一つとなっていますが、それだけでなく、歯を失う原因になったり、早産の可能性が高くなったり、さまざまな悪影響を及ぼすため注意が必要でしょう。
歯周病の原因はプラーク内の細菌ですから、口の中の衛生管理が大切になります。また、歯肉の腫れや出血といった初期症状の段階で、適切な治療を行い、進行を抑制することも重要です。
歯周病の口臭は野菜が腐ったような臭い
歯周病の人の口の中からは、メチルカプタンという口臭の原因物質が多く検出されることがわかっています。このメチルカプタンという物質のニオイは、腐ったタマネギや腐った野菜のような臭いと言われるほどひどい臭いを放出します。
妊娠中の歯科受診は負担が大きいかもしれません。しかし、進行してしまうと負担のかかる治療が必要になりやすいです。早めの治療が大切でしょう。
4.舌苔が付着しやすくなる
舌苔とは、舌にコケ状に付着する白い汚れです。口臭のない人でも、舌苔はあるのですが、付着する量が多くなると口臭が強くなる原因になります。
舌苔が多く付着してしまう原因として、口の中の細菌数や唾液の分泌量などが挙げられ、妊娠中は注意が必要と言えるでしょう。
舌苔は舌ブラシや歯ブラシにより除去できるので、日常的に舌ケアを取り入れて口臭を予防・改善しましょう。
舌ケアの正しい方法
口臭が気になるからと言って、舌をゴシゴシと磨いては、デリケートな舌の粘膜を傷つけてしまいます。舌を磨くというよりも、舌をなでるような感覚でケアを行うことが必要です。
また、歯ブラシを使用する場合は、毛がやわらかいものが望ましいでしょう。専用の舌ブラシも販売されているので、利用するのも良いでしょう。
<舌ケアのポイント>
- 歯磨き粉は使用しない
- 舌の奥側から手前に動かして汚れを取り除く(ブラシを往復させない)
- 力を入れずに行う
- やりすぎない
5.ストレス・不安
妊娠中は出産への不安など、何かとストレスがかかりやすいです。妊娠中の体重管理がうまくいかないことや、マイナートラブルが多いことなど、うまくいかないことにイライラしてしまう人も少なくありません。
ストレスの悪影響はさまざまありますが、口臭が強くなることもその一つです。ストレスによって、唾液の分泌が抑制されて、口臭を強めてしまいます。
ホルモンバランスの変化によってマタニティブルーになる人も多いですが、イライラやストレスへの対策が必要でしょう。
ストレス発散やリラックスの時間を作ったり、周囲の人に甘えたり…無理せずに過ごすことが大切です。
妊娠中のストレスは赤ちゃんにも悪影響!
ストレスはさまざまな悪影響が懸念されますが、お腹の赤ちゃんにも悪影響が及ぶとされています。もちろん、ちょっとしたイライラはそれほど気にしなくても良いですが、強いストレスや長期的なストレスは赤ちゃんの発達への悪影響が懸念されます。
妊娠中の歯科受診について
妊娠初期や臨月は、極力治療を控えた方が良いですから、応急処置をして様子を見る場合が多いかもしれませんが、基本的に妊娠中どの時期であっても歯科受診は可能です。
歯や歯茎、口のニオイなど、口の中に気になることがある場合には、妊娠中であっても歯科で相談することが大切でしょう。
基本的に治療は安定期を過ぎてから
妊娠初期は歯科治療を控えた方が良いですが、痛みがある場合などは、本格的な治療を行えなくても応急処置によって症状を改善できます。「妊娠中だから」と痛みを我慢することは良くありません。
心配な場合には、産婦人科に相談してから歯科を受診すると良いでしょう。
妊娠後期の歯科受診
妊娠中の歯科治療は安定期以降が望ましいですが、妊娠後期になってしまうと陣痛が起こる可能性を考慮する必要がありますし、大きなお腹に負担をかけないようにしなければなりません。
お腹が大きくなって仰向けで横になることがツライという人も少なくないでしょう。
なるべく妊娠後期に治療が必要にならないように、安定期に入ったら検診を受け、予防に努めることが大切でしょう。
妊娠中の歯科検診のすすめ
妊娠中に多い口の中のトラブルを防ぐため、妊娠中の歯科検診を無料で行っている自治体が多くあります。
出産後は、子育てに追われて何かと忙しく、歯科を受診することは簡単なことではありません。そのため、妊娠中のトラブル予防・病気の早期発見が望ましいでしょう。
歯科を受診する際の注意点
- 妊娠中であることを医師に伝えましょう
お腹が目立たない初期・中期では、見た目だけでは妊婦さんだとわかりません。予約の際に、妊娠中であることを伝えておくと安心でしょう。
- 事前に産婦人科医に相談しておく
緊急性がない場合には、歯科受診が可能かどうか、事前に確認しておくと安心です。
- 母子手帳を持参する
歯科医が健康状態を把握することができます。また、母子手帳には妊娠中と産後の口の中の状態を記載するページがあります。
- 無理をして受診しない
体調の良い時に受診しましょう。体調が優れない場合には、予約をキャンセルしても仕方ありません。
パパも口臭対策が必要!?
口臭に悩む妊婦さんも多いですが、妊娠でニオイに敏感になることによって、夫の口臭が気になって仕方ないと嘆く人も少なくありません。
特につわりの時期は、さまざまなニオイが苦手に感じますが、それが夫の口臭だったら…直接伝えにくいですし、一緒に過ごすことで気持ち悪くなってしまうというのも辛いことです。
妊娠がわかったら、夫婦で口臭対策に取り組むというのも、夫婦円満の秘訣の一つなのかもしれません。
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