舌苔が臭い理由は?舌苔の予防と改善方法
舌苔が多く臭いが気になる場合は、適度に除去するなどのケアも必要ですが、舌苔には舌を保護する役割もあるため、除去のし過ぎは禁物です。
今回は舌苔とは何か、舌苔の臭いの原因となるVSCという3種類のガスについて解説しながら、舌苔を防ぐ方法や除去する際の正しいケア方法をご紹介します。
舌苔とは?
舌の表面はザラザラしていて、味覚を感じる器官である未蕾(みらい)という小さな突起があります。舌苔(ぜったい)とは、その味蕾の間にできる白い色や黄色、黒色をした、苔状の舌の表面に見える堆積物を言います。
健康な状態でも舌苔は存在しており、舌の水分保持や細菌の層を作る働きをし、未蕾や細胞を保護する役割を担っています。
正常な舌苔は、薄ピンク色をした舌に縁や舌先以外の箇所に薄く白い舌苔がついている状態です。
カレーを食べたときは舌が黄色に、牛乳を飲んだときは舌が濃い白になることがありますが、これは一時的なもので、唾液によって舌苔はいつの間にか除去されています。
舌苔の量には個人差がある
舌苔の量は個人差が大きく、その日の体調や時間帯などにより左右されるのですが、こういった個人差が出る理由は明確にはなっていません。
舌苔が多くなる原因として考えられるのは、磨き残しにより口腔内に食べ物のカスが残ったままの状態であることや唾液の減少によるもの、薬の副作用や加齢のほか、舌苔のできる背景に病的な原因が潜んでいることなどが挙げられます。
舌苔の層がどんどん厚くなってくると、味覚障害となったり、口臭が気になったりするようになります。
舌苔に異常が表れる原因は?
- 緊張やストレス
- 喫煙
- 加齢によるもの
- 食べ物のカスが溜まった不衛生な状態
- 病気によるもの
- 薬が持つ副作用によるもの
- 睡眠不足や風邪などで免疫力が低下した状態
- 唾液の分泌が少ないことによる口腔内の乾燥
舌苔は臭い!?どんなにおいがする?
舌苔の量が過剰に多くなると、舌苔によって口の中の細菌がVSC(揮発性硫黄化合物)という物質を作り、口臭が発生します。
VSCは硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドという口臭の原因となる3種類のガスです。これらは全て悪臭成分で、舌苔が厚くなるとVSCも大量に発生することから舌苔が臭くなります。
VSCは唾液や舌苔に溶け込みやすく、自分でも苦みのある唾液を感じることがあります。
硫化水素
硫化水素は口臭の原因の半数以上の割合を占める物質で、卵の腐ったような臭いがします。食べ物のカスが残ったままの汚れや口の中の剥がれた粘膜が原因で発生します。
口臭として発生する硫化水素にはこのような危険性はありませんが、高濃度の硫化水素は吸引すると人体に有害な物質で、歯茎を溶かす作用があります。定期的に歯科医院を受診し口腔内の健康を維持しましょう。
メチルメルカプタン
メチルメルカプタンは、魚や野菜が腐ったような生臭さが特徴のガスで、人間の脳や血液中、動物の糞、食べ物ではチーズにも含まれ、口臭だけではなくおならからも発生します。
食べ物のカスが残ったままの汚れや、口の中の剥がれた粘膜が原因で発生しますが、メチルメルカプタンが口臭の原因となる割合は硫化水素よりも少ないです。
しかし、歯周病になると舌苔でメチルメルカプタンが高濃度で検出されることから、硫化水素の臭いである卵の腐ったような臭いよりも生臭さのほうが強くなります。歯周病が疑われる生臭い口臭が気になる場合は、歯科医院で適切な治療を受けるようにしましょう。
ジメチルサルファイド
口臭の原因となるVSCの中で占める割合は最も少ないジメチルサルファイドは、生ごみやキャベツが腐ったような臭いがする強い悪臭成分です。
ジメチルサルファイドは、メチルメルカプタンや硫化水素とは違い、口の中以外に食べ物自体の臭い、消化器官や肝臓などの異常が原因で発生する物質です。
口臭測定器によるチェックでジメチルサルファイドの割合が高い場合、思わぬ疾患が隠れている可能性もありますので、早めに病院を受診することをおすすめします。
舌苔を防ぐ方法
舌苔自体は特別な治療をするものではありませんので、舌苔の原因を取り除く対症療法を行いながら、舌苔を予防して改善していくことになります。
1.歯磨きを丁寧にする
食べカスがたまったままの不衛生な状態では、舌苔は厚くなるばかりです。
不衛生な状態を改善するには、歯磨きを丁寧に行うことがとても重要です。歯ブラシだけでは不十分な場合は、歯間ブラシやデンタルフロスも併用して磨き、口の中の衛生を保ちましょう。
口臭の原因が歯周病にある場合は、歯科で治療を受けて口臭を改善しましょう。
2.自律神経のバランスを整える
日常生活における強いストレスも、舌苔の異常につながる場合があります。
忙しい現代社会において、ゆったりとした時間を持つことはなかなか難しいものですが、ゆったりとリラックスできる時間を過ごすように心掛け、質の良い睡眠をしっかりとるなど、規則正しい生活を意識して自律神経のバランスを整えることが大切です。
3.唾液の分泌量を増やす
「柔らかいものばかりを食べる」「あまり噛まずに食べる」といった習慣は唾液の分泌量が減少する原因となりますので、食事の際にはしっかり噛んで食べることを意識しましょう。
ガムを噛むことや梅干しやレモンなどの酸っぱいものを口にすることも、唾液の分泌を促すのでおすすめです。
また、喫煙はタバコの臭いそのものが口臭に影響するのはもちろんのこと、煙草に含まれるニコチンが血流を阻害し、唾液の分泌量を減らして口腔内を乾燥させるため、口臭をよりキツくしてしまいます。
タバコを控えるか、喫煙後は水分をしっかり摂って口の中を潤すなどの対処をしましょう。
4.薬や病気によるものは医師に相談する
高血圧の薬やうつ病の薬、解熱や痛み止めの鎮痛剤の中には、唾液の分泌量を抑える副作用を持つものもあり、口の中が乾燥する原因につながります。また、長期間にわたるステロイド剤や抗生物質の服用も、舌苔が黒くなる原因です。
ただし、舌苔を予防しようと自己判断で薬の服用を止めてはいけません。医師と必ず相談するようにしましょう。
中には「舌苔の原因が実は病気によるものだった」というケースも少なくありませんので、気になる症状がある場合は病院を受診するようにしましょう。
舌苔の臭いを改善するには?
舌苔は健康な状態でも見られるものなので、普通量であれば無理に除去する必要はありませんが、口臭が強くどうしても気になる場合は適度に除去することをおすすめします。
では、舌苔を除去する方法と行う際の注意点をご紹介します。
舌苔の除去方法
- 鏡を見ながら舌を下に向けて伸ばします。
- 舌ブラシや舌クリーナーを水につけて舌の奥に当てます。
- 優しく軽くブラシなどを手前に引き、なでるように除去していきます。
- ブラシについた舌苔は水できれいに洗い流しましょう。
舌の奥に舌ブラシやクリーナーを当てる際に「おえっ」と嘔吐反射が出てしまう場合には、息を止めるか、「あー」と声を出しながらケアすると除去がしやすくなります。
舌苔を除去するときの注意点
強い力で舌をゴシゴシと擦ったり、無理やり見えない舌の奥まで除去したりしてしまうと、舌に傷を作ってしまうこともあります。特に、口の中に口内炎や傷ができているときのケアは、傷や症状を悪化させかねませんので避けましょう。
また、舌苔には未蕾や細胞を保護して口腔内を健康に保つ役割もあります。
舌苔の臭いが気になるからといって過剰に除去し過ぎてしまうと、かえって舌苔や口臭が増える原因となりますので、一気に綺麗にしようとするのではなく、舌苔の除去は1日1回、朝起きたら優しく行うよう心がけましょう。
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