ユーカリの効能と副作用!歯周病や口臭にも効くって本当?
ユーカリはアロマテラピーにオイルとして使われたり、洗顔剤やシャンプーに含まれたりする植物です。清涼感をもたらし気分を落ち着かせるだけでなく、昔から怪我の治療薬としても利用されてきました。
また、口臭や歯周病の予防にも効果があるといわれ、一部のマウスウォッシュにも含まれています。
今回は爽やかな香りを持つユーカリの効能や口臭との関係、副作用について詳しく解説していきます。
ユーカリってどんなハーブ?
ユーカリは、オーストラリアに多く生息するフトモモ科の植物です。よくコアラが抱き着いているのがユーカリの木です。
鉢に埋まっている時は観葉植物程度の大きさですが、成長すると白く美しい木肌が特徴的な、数メートルはある巨大な木へ成長します。
ユーカリの原産地
ユーカリは、オーストラリアの中でもタスマニア島という美しい自然の残る島が原産地です。その後はアメリカやヨーロッパで栽培され、日本国内には1877年頃に持ち込まれたと伝えられています。
オーストラリアは熱帯雨林や温帯性気候のため、温暖な環境で成長しやすいと言えますが、日本でも栽培することは可能です。ただし成長が早く、庭植えするとあっという間に家の屋根を超す大きさになります。
ユーカリの用途
ユーカリは、タスマニア島に住んでいた先住民のアボリジニ民族に「キノ」と呼ばれる万能薬として、古くから使われていました。皮膚に切り傷や擦り傷ができると、ユーカリの葉でパッキングして傷を癒すのです。虫刺されやうがい薬にも使用されました。
また、幹の部分はパルプ・製紙の原材料や木材としても利用されており、中国やブラジルなど世界中で栽培が行われています。
ユーカリの葉に対して水蒸気蒸留を行うと、精油であるユーカリオイルを得ることができます。ユーカリオイルは消炎や刺激を持続させる効果があることから、サロンパスやカコナールかぜパップなどの湿布やメンソレータム軟膏に配合されており、医薬品としても用いられています。その他、口臭を消すスプレーにも含まれています。
ちなみに、ユーカリはコアラの食料としても役に立っています。コアラが唯一食料にできるのはユーカリの葉ですが、ユーカリの葉にカロリーや栄養素はあまりなく、むしろ毒物であるシアン化水素(青酸)が含まれています。
コアラがユーカリの葉を食べても大丈夫なのは、コアラの胃腸にシアン化水素を分解する酵素が備わっているためです。
ユーカリの5つの効能
ユーカリの効能は多岐にわたり、殺菌作用、解毒作用、鎮痛作用、抗炎症作用、花粉症などのアレルギー予防作用など、様々な効能が期待できるとされています。
ユーカリの効能の中でも、特に注目したい作用についてピックアップしました。
1.気持ちを落ち着かせる
アロマオイルとしてのユーカリオイルには、気持ちを落ち着かせ、集中力を高め、リラックス効果があると言われています。爽やかでスーッとした香りは気分転換にも最適です。
ゼラニウムやラベンダーなどの香りと相性が良く、アロマポットに数敵落としてブレンドさせると、とても良い香りがします。部屋を暗くしてロウソクを灯して香りを拡散させれば、極上のリラックス空間を作り出すことができます。
2.抗炎症作用
ユーカリオイルは多くの精油成分が含まれていますが、主成分のシトロネラールの抗炎症作用による解熱・鎮痛効果が期待できます。粘膜・関節部分の炎症を鎮めることでリウマチや筋肉痛の痛みを和らげてくれます。
3.抗ウイルス・抗菌作用
ユーカリは、カテキンやヒノキチオールなど、他の植物由来の物質よりも強い抗菌作用を持っていることがわかっています。
特に、食中毒を起こす黄色ブドウ球菌やセレウス菌、抗菌薬であるメチシリンに耐性を持ってしまったメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)、ニキビの原因であるアクネ菌などに抗菌作用を示すことが明らかになっています。また、風邪などのウイルス予防にも役立ちます。
4.虫除け効果
最近では、ユーカリ成分を含んだ虫よけリストバンドが販売されており、ハイキングや山中イベントの際に大活躍しています。虫はユーカリのニオイが苦手なので、虫除けとして使うこともできます。
特に、蚊はレモンユーカリに含まれるシトラールという成分が苦手です。人間にとってはとても良いニオイで、リラックス効果もあるので一石二鳥ですね。
レモンユーカリオイル数滴を水とエタノールに混ぜれば、安全でナチュラルな蚊除けスプレーとして使うことができます。注意点としては、オイルの原液をそのまま使うのではなく、必ず薄めて使うようにすることです。
5.血行を良くする
ユーカリの成分のひとつであるシオネールは血行を促す作用があります。そのため、傷の治りを早くしたり、炎症を抑制したりする効果が期待できます。
ユーカリは歯周病や口臭にも効果があるって本当?
歯周病は、歯と歯肉の境目にある歯肉溝(歯周ポケット)に住む歯周病菌が、毒素を放出して炎症を起こすことで発症します。
炎症が起きると出血や腫れ、痛みを引き起こし、さらに進行すると膿が排出され、歯周組織を破壊して歯を支える歯槽骨まで溶かしてしまいます。歯周病独特の口臭物質を作りだすのも細菌の仕業です。
活性酸素は歯周病を進行させます
歯周病菌にはグラム陰性菌という種類の細菌が多く、このグラム陰性菌はリポ多糖(LPS)・リポタンパク質・リン脂質という成分を持ち、細菌の細胞を取り囲む外膜という壁のようなものを構成しています。
中でも、LPSはマクロファージという免疫細胞に働きかけ、活性酸素を産生させます。
活性酸素は適切な量ならば抗菌作用を発揮してくれますが、あまりに多く産生されてしまうと肌の衰えや生活習慣病、癌などの老化現象を引き起こします。また、多すぎる活性酸素は歯周病を進行させる要因のひとつでもあります。
ユーカリオイルはこのLPSの働きを抑制して、活性酸素の多量産生を阻害するほか、炎症を起こし歯槽骨を溶かしてしまうTNF-α(腫瘍壊死因子)という物質の生成を防いでくれます。
歯周病に効く「マクロカルパールC」とは?
ユーカリの口臭予防成分としてさらに注目したいのは、特定のユーカリにだけ含まれているユーカリの抽出物「マクロカルパールC」という成分です。
大阪大学とロッテの共同研究により、マクロカルパールCには歯周病菌に対しての抗菌効果があることが明らかになりました。
さらに、マクロカルパールCには細菌による歯垢の形成を阻害する働きがあることもわかっています。歯垢はほぼ細菌によって構成されていますから、歯垢が減れば歯周病菌も減り、歯周病予防につながると考えられます。
また、ユーカリを用いた実験も実際に行われています。ユーカリ抽出物が含まれたガムを歯肉炎患者に4ヶ月間噛んでもらい、結果を測定したところ、14週間で歯垢の付着量や歯周ポケットの深さおよび出血量が有意に減ったことがわかりました。
このように、ユーカリには歯周病の進行を妨げる効能があります。歯周病を予防することができれば、歯周病による口臭も軽減することが可能となります。
ユーカリの副作用・注意点
ユーカリの効能は実に様々なものが挙げられますが、摂取・使用する上での注意点がいくつかあります。
締め切った部屋でユーカリオイルによる揮発成分を長時間吸い込み続けると、下痢や嘔吐、めまい、痙攣などの中毒症状が出る恐れがあります。
アロマテラピーのように薄めて使えばさほど問題はありませんが、ユーカリオイルの原液の入った瓶を開けたままにしておくと、より濃い成分が自然に揮発し、部屋に充満してしまい大変危険です。
また、化粧品やマウスウォッシュなどに含まれているユーカリ成分は抽出した成分なので安全ですが、誤って飲み込んでしまった場合には命に関わる事例も報告されています。ユーカリオイルを直接肌に塗る、うがい薬として使用することは止めましょう。
ユーカリの使用を避けるべき人は?
喘息持ちなど呼吸器疾患のある方は、ユーカリオイルの成分を吸うと症状を悪化させる恐れがあります。妊娠中あるいは授乳中の女性、赤ちゃんや子供についても安全性が確認されていないため、使用は避けてください。
なお、ユーカリに対してアレルギー反応を起こす方も使用を避けましょう。
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