フェンネルの効能と副作用/口臭にも効果があるって本当?
料理やハーブティー、アロマオイルなど様々な場面で幅広く使用されているハーブには、実に様々な種類のものがあります。
中でも「フェンネル」というハーブは「痩せるハーブ」「魚のハーブ」などと呼ばれており、口臭予防や健胃作用、眼精疲労の改善など様々な効果があるとされています。
今回はフェンネルの効能、副作用、妊婦や授乳婦、子供の摂取時における注意点などについて詳しく紹介します。
フェンネルってどんなハーブ?
フェンネル(和名:ウイキョウ)は、地中海沿岸が原産のセリ科ウイキョウ属の多年草です。夏になると1~2m程の草丈に黄色く小さな花を咲かせます。フェンネルにはスイート、フローレンス、ブロンズなどいくつかの種類が存在しますが、ハーブの場合はスイートフェンネルのことを指すことがほとんどです。
フェンネルという名称はラテン語では「小さな干し草」、ギリシャ語では「細くなる」という意味です。
フェンネルは甘さの中にもスパイシーさが感じられる香りを持ち、特に魚料理との相性が非常に良いハーブです。魚の臭みや脂っぽさを取ってくれるため、「魚のハーブ」とも呼ばれています。
また、インドではカレーに入れるスパイスとして使用されています。
日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、実は仁丹や太田胃酸などの市販薬にもフェンネルが配合されています。
フェンネルは古代よりヨーロッパや中国で用いられ、葉や種、茎の全てを活用できるハーブのため、料理のスパイスや薬草、ハーブティー、アロマオイル、ハーブ入浴剤、歯磨き粉など様々な場面で使用されています。
フェンネルの効能
フェンネルは肉体的にも精神的にも働きかける万能ハーブです。では、フェンネルの効能について詳しく解説していきましょう。
肌トラブル予防
殺菌・消毒作用を持つフェンネルは、肌を清潔に保ち、柔らく滑らかな健康的な肌へと導いてくれます。肌の炎症を鎮静させ、シミやたるみ、シワ、くすみ、ニキビなどのトラブル予防に効果があります。脂性肌の方には特に効果が期待できます。
目の疲れをとる
フェンネルは古くから視力回復を目的とした目薬として使用されていました。現代においても、フェンネルを使用する国では眼鏡をかけている方が少ないというデータがあります。
現代人は長時間のパソコンやスマートフォンの使用により、目が非常に疲れています。フェンネルを煮立した液をコットンなどに浸し、それをまぶたに乗せると目の疲労が取れると言われています。
新陳代謝の向上
古代ギリシャでは「細くなる」を意味する言葉で親しまれた通り、フェンネルは発汗を促し皮下脂肪に作用するダイエット効果があります。
また、利尿作用によって余分な水分が排泄(デトックス)されるので、むくみを改善し、痩せやすい体質を作ることができます。
胃腸の健康維持
フェンネルには腸の働きを促進し、消化を促す作用、食欲を抑えて胃腸を強くする作用があります。食べすぎや飲みすぎによる消化不良や便秘、ガスが溜まってお腹が張っている胃腸に効果があります。
また、痙攣を改善してくれる効果もあるので、お腹が痛いときにはその痛みを緩和してくれます。
気分をリフレッシュさせる
フェンネルの香りには心を安定させる効果があり、緊張やストレスの緩和、怒りの感情を落ち着かせてくれます。
嫌なことがあって気分が晴れないとき、気持ちをリフレッシュさせたいときには、フェンネルのアロマオイルを焚くのもおすすめです。
女性特有の症状を改善する
フェンネルには、女性ホルモンのエストロゲンに似た働きを持つ「アネトール」という芳香成分が含まれています。そのため、摂取することで女性ホルモンのバランスが崩れて現れる月経不順やPMS(月経前症候群)、更年期障害といった女性特有のトラブルの緩和に効果があります。
なお、アネトールはフェンネルのほか、アニスやトウシキミなどのハーブにも含まれており、化粧品類やリキュールの香りづけにも使用されています。
フェンネルに口臭予防の効能があるって本当?
フェンネルには殺菌・消毒作用があり、口腔内の環境を整えて口臭を予防してくれます。特に、インドでは口臭予防として、砂糖でコーティングされたフェンネルシードを食後に噛む習慣があるほどです。
スパイシーで爽やかな香りを持つフェンネルは、口の中で広がるとスッキリとした気分にさせてくれます。
また、消化不良や便秘になると、胃腸に残った食べ物からの悪臭が血液に取り込まれ、全身を巡って呼吸として吐き出されることで口臭が強くなってしまうことがあります。胃腸の健康維持にも役立つフェンネルは、こういった胃腸や便秘が原因の口臭にも効果が期待できます。
料理に加えるのもよいですが、口臭対策として手軽に摂取するのであれば、フェンネルティーの飲用がおすすめです。
フェンネルティーは刺激が強く香りも独特なので、ストレートで飲むのが苦手という方は、レモンやオレンジなどの柑橘類のハーブをブレンドしたり、はちみつを加えたりすると飲みやすくなります。
また、フェンネルオイルを配合した歯磨き粉も販売されていますので、気になる方は試してみるとよいでしょう。
フェンネルの副作用
様々な効能を持つフェンネルですが、料理に使う程度であれば問題はないものの、過剰摂取した場合には副作用に注意が必要です。
副作用の例としては、皮膚アレルギーや喘息発作、光過敏症、子宮や卵巣、乳房など女性特有の病気の悪化などが挙げられます。
また、摂取量の範囲内であっても、長期に渡り摂取した場合は副作用が現れることがあります。
こんな方は摂取を避けましょう
以下に該当する方は、フェンネルの摂取やウイキョウ油の使用を避ける必要があります。
妊娠中の方
フェンネルに含まれる女性ホルモン様作用を持つアネトールには、子宮を刺激する作用があります。そのため、妊婦さんがフェンネルの種の摂取やウイキョウ油を使用することは禁忌とされています。妊娠初期から中期にかけては特に注意が必要です。
また、婦人科系疾患を持つ方も使用を避けましょう。
授乳中の方
授乳中の女性がフェンネルを摂取すると、母乳の出が良くなると言われていますが、母親が母乳の出を良くするために毎日フェンネルのハーブティーを飲んでいたところ、赤ちゃんが昏睡状態や嘔吐、低血圧といった中枢神経系の障害を引き起こした事例があります。
赤ちゃんの健康を守るためにも、授乳中の方はフェンネルの摂取を避けてください。
乳幼児や子供
女児や乳幼児(女児)が長期に渡ってフェンネルのハーブティーを引用していたところ、早期乳房発育症を発症したという被害事例が数件報告されています。
また、男児のフェンネルの摂取についても安全性は確認されていませんので、性別に関わらず、赤ちゃんや思春期前の子供にフェンネルを与えるのは避けましょう。
てんかんの方
フェンネルのオイルを使ったカップケーキを5~6個食べたてんかん患者が、その2時間後にてんかん発作を起こし、不随意性の下痢を起こして約45分間意識不明になったという事例があります。てんかん患者の方はフェンネルの摂取を避けましょう。
セリ科の植物アレルギーの方
ニンジンやパセリ、セロリ、三つ葉などのセリ科の植物、キク科ではありますがヨモギにアレルギーのある方は、じんましんやかゆみなどの皮膚症状や咳、下痢、腹痛などのアレルギー反応が現れることがあるので、フェンネルの摂取には注意が必要です。
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