カカオポリフェノールとは?歯周病への効果や摂取時の注意点
ポリフェノールは、健康を促進する素晴らしい効果を持つ植物由来の天然成分です。動脈硬化の防止や血栓の予防、活性酸素に対抗する抗酸化作用といった働きを持ち合わせています。
ポリフェノールの配合量が多い食品といえば赤ワインのイメージが強いですが、赤ワイン中のポリフェノールは「レスベラトロール」という種類のポリフェノールです。実はポリフェノールというのは総称で、細かく分けると「アントシアニン」や「カテキン」など、様々な種類のポリフェノールがあるのです。
「カカオポリフェノール」というのもカカオに含まれているポリフェノールの総称で、その中にはいろいろな種類のポリフェノールがあります。
今回は、チョコレートやココアから摂取できるカカオポリフェノールの種類やその効果、さらには歯周病・口臭との関係についてわかりやすく解説します。
カカオポリフェノールとは?
カカオポリフェノールとは、カカオ豆に含まれるポリフェノールのことです。カカオ豆といえば、チョコレートやココアの原材料となることで有名ですが、実際にカカオ豆を見たことのある方は少ないでしょう。
カカオは木に実る30cm程度の果実で、カカオポッドと呼ばれる果実の中に、白い果肉と小さな種子がたくさん入っています。その種子がカカオ豆です。チョコレートの苦味は、一般的にカカオ豆のポリフェノール由来によるものです。
暑い環境でしか育たないため、ベネズエラ、メキシコ、東南アジア、アフリカなどで栽培されています。
カカオ豆には主にクリオロ種・フォラステロ種・トリニタリオ種の3種類があり、味や香り、ポリフェノールの配合量などもそれぞれ異なります。
カカオポリフェノールの効果
現在、多くの大手メーカーからカカオポリフェノールの含有率を強調した様々なチョコレート製品が発売されています。カカオポリフェノールはこのような日常的に摂取する食品からも手軽に摂取できるため、その有用性について注目されています。
カカオポリフェノールには、プロシアニジン、カテキン、エピカテキンといった種類のポリフェノールが含まれており、それぞれが異なった効果を発揮します。
1.ストレスを緩和する
イライラしている時やストレスを感じている時にチョコレートを食べると、リラックス効果があると聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。
生物は、精神的・肉体的にストレスがかかるとストレスホルモンを分泌します。ある動物実験において、動物にカカオポリフェノールを与えて血中に含まれるストレスホルモンの量を測定したところ、カカオポリフェノールを与えていない対照群と比べて、ストレスホルモンの分泌量が低下したという結果が出ています。つまり、カカオポリフェノールにはストレス負荷を和らげる力があるということです。
仕事や勉強の合間のコーヒータイムには、チョコレートを添えて一休みするのもよいでしょう。
2.アンチエイジング
お肌の老化を引き起こす原因のひとつに「活性酸素」という要因があります。活性酸素は通常の酸素よりもさらに酸化力が強い物質です。身体の中で作られ、紫外線を浴びたり、何らかのストレスを受けたりすることによって老化現象や癌を誘発します。簡単に言い換えると、活性酸素は身体のサビのようなものです。
カカオポリフェノールには、この活性酸素を減らす抗酸化作用があるため、若々し
さを保ち、疾患を予防する効果が期待できます。
3.血圧の上昇を抑える
チョコレートは濃厚な甘さのため、食べると血圧が高くなるような気がするかもしれません。しかし、近年の研究によって、チョコレート中のカカオポリフェノールには血管を広げる作用があることがわかってきました。血管を広げるということは、すなわち血圧を下げる効果があるということです。
人間が慢性的に高血圧になる理由は、加齢やストレスで血管の壁が厚くなったり、血管が細くなった結果、血流の勢いが強まったりするためです。
ある検証実験では、カカオポリフェノールを多く配合するチョコレートを1ヶ月間摂取したところ、高血圧だった方(最高血圧140mmHg以上/最低血圧90mmHg以上)では有意に血圧の低下がみられました。
正常血圧(最高血圧140mmHg未満/最低血圧90mmHg未満)の方でも血圧の低下がみられましたが、元から高血圧だった方のほうが、より顕著にその効果が現れました。
なお、この実験の被験者の方の体重を測定した結果、チョコレートの摂取によって体重に変化が見られなかったということもわかっています。「チョコレートは好きだけど、血圧や体重の増加が気になる」という方は、高カカオポリフェノール含有チョコレートを取り入れてみるのもおすすめです。
4.血液をサラサラにする
被験者に3日間、カカオポリフェノール1120mgを含むチョコレートを摂取してもらい、摂取前後の血液の流れを比べた実験によると、カカオポリフェノールには血をサラサラにして血液の流れを正常化する働きがあり、この作用は脳卒中や虚血性心疾患の原因となる動脈硬化の予防につながることがわかりました。
カカオポリフェノールは、血管中の悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が活性酸素によって酸化されるのを防いでくれるのです。また、最近では血管の壁を柔らかくしなやかにする働きがあるといった報告もされています。
カカオポリフェノールは歯周病や口臭にも効果的って本当?
カカオポリフェノールは、歯周病や口臭予防にも効果があるとされています。その理由はカカオポリフェノールの持つ抗菌作用と抗酸化作用にあります。
歯周病は細菌によって引き起こされる
歯周病は歯周病菌によって引き起こされます。歯と歯肉の境目の歯周ポケットに溜まった細菌の塊である歯垢(プラーク)によって歯周組織が溶かされていき、進行すると歯を支える骨がなくなって歯がグラグラしてしまいます。
歯周ポケットからは歯垢の代謝産物として揮発性硫黄化合物(VSC)という口臭物質が発生し、この揮発性硫黄化合物が多くなればなるほど、口臭が強くなってしまいます。
カカオポリフェノールの抗菌作用
最新の研究によると、ココアには歯周病を引き起こす歯周病菌である「フソバクテリウム・ヌクレアタム菌」「ポルフィロモナス・ジンジバリス菌(Pg菌)」「プレボテラ・インターメディア菌」に対し、抗菌作用を発揮することがわかっています。
さらに、カカオポリフェノールによる抗菌作用は、その他ポリフェノールを含む紅茶やウーロン茶よりも高いことが明らかになっています。
この抗菌作用が直接的に口臭を抑制することは難しいかもしれませんが、歯周病を防ぎ、口腔内の健康を促進することで間接的に口臭を予防することは可能でしょう。
抗酸化作用で歯周病防止
歯周病では炎症が起きるので、炎症に伴って活性酸素が産生されることがあります。活性酸素が歯周組織を破壊することで、歯周病はさらに進行していきます。
ラットを用いた実験によると、カカオポリフェノールにはこの活性酸素の産生を抑制させ、かつ抗酸化力を維持する力が備わっていることがわかっています。
カカオポリフェノール摂取時の注意点
実際にチョコレートやココアからカカオポリフェノールを摂取するにあたって、摂取量の目安や注意点、妊娠中の女性の摂取について詳しく説明していきます。
カカオポリフェノールの摂取量の目安
カカオポリフェノールは明確に摂取量が設定されているわけではありませんが、およそ一日200~500mg程度のカカオポリフェノールを数回に分けて摂取すると、健康効果が期待できると言われています。
カカオポリフェノールの配合量は製品によって異なりますが、ビターチョコレートであれば約1~2片、ココアであれば約1杯(純ココアの場合約5~10g)を毎日摂取するとよいとされています。
食べ過ぎは禁物です
注意すべきは食べ過ぎによるカロリーオーバーです。1日に100gのチョコレートを食べた場合、カロリーは約500~600kcalにも及びます。成人女性のほぼ1食分に匹敵しますから、これを間食とするのは良くありません。
目安としては、カカオが70%以上含まれているカロリー値の低いビターチョコレートを選ぶのがおすすめです。
間食した場合は歯磨きを忘れずに
カカオポリフェノールを摂取する上で注意したいのが虫歯です。チョコレートは歯の噛む面の溝にへばり付きやすく、虫歯菌の繁殖場所になりやすいです。
糖分は虫歯菌の栄養源となるため、甘いチョコレートやココアであればあるほど虫歯になりやすくなります。おやつにチョコレートやココアを摂取した後は歯磨きをするようにしましょう。
妊娠中の女性が摂取しても大丈夫?
妊娠中の女性がカカオポリフェノールを摂取することに問題はありませんが、ココアやチョコレートにはカカオポリフェノールと同時にカフェインが含有されています。特に、カカオポリフェノールを多く含むビターチョコレートはカフェイン含有量も多いです。
カフェインによる悪影響
お母さんがカフェインを摂取すると、お腹の中の胎児にもカフェインが送られ、発育不全を起こすことがあります。また、お母さん自身が鉄欠乏性貧血やカルシウム不足を引き起こしかねません。
カロリーオーバーやカフェインによる悪影響も考慮して、チョコレートやココアの過剰摂取は避け、適量を心がけましょう。
妊娠中は虫歯・歯周病のリスクが高い
唾液の性状の変化やつわりの影響による不十分な口腔ケアなど、妊娠中は虫歯や歯周病に罹りやすい状態です。歯磨きやデンタルフロスなどの口腔ケアに力を入れることも大切です。
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