虫歯・口臭予防は唾液次第!?だ液の働きと増やす方法
普段、唾液が出ていることを意識したことがありますか?知らないうちに唾液が分泌されていて、無意識に飲みこんでいる人が多いでしょう。
しかし、唾液が分泌されていなかったら、口の中が健康でなくなったり、口が臭くなったり、スムーズに食事ができなくなったり…さまざまな支障が出てくるのです。
唾液の分泌が減少して口が渇く「ドライマウス」が、近年若い年代にも増えているとされていますが、単に口が乾燥するだけでなく、さまざまな悪影響が懸念されるのです。
実はこんなに大切!唾液にはこんな働きもあるんです!
唾液には、とても大切な働きがあるのですが、その働きに気付いている人は少ないかもしれません。
食事を楽しんだり、人とコミュニケーションをとったり、健康に過ごすために唾液は不可欠なのです。
唾液の主な10の働き
1.食べ物を飲み込みやすくする
唾液には粘りけがありますが、咀嚼の際に食べ物を湿らせ、かたまりにして飲み込みやすくする働きがあります。
2.食べ物の味を感じやすくする
味物質を溶かして、味を感じる「味蕾(みらい)」という器官で受容しやすくします。
3.消化しやすくする
唾液には消化酵素としての役割もあり、食べ物の中に含まれているでんぷんを麦芽糖に分解して、消化しやすくする効果があります。
4.口の中の汚れを洗い流す
唾液には、口の中の汚れを洗い流す働きもあります。この作用は、自浄作用・洗浄作用とも呼ばれています。
5.口の中を中和して虫歯を防ぐ
食事をすると口の中が酸性に傾きますが、唾液の効果(緩衝能)によって中和されます。酸性の状態が続くと、歯のカルシウムが溶け出しやすくなります(脱灰が起こりやすくなります)が、唾液はそれを防いで、歯を虫歯から守ってくれるのです。
6.細菌の働きを抑制する
唾液には、細菌の働きを抑制する効果(抗菌作用)があり、虫歯や歯周病を予防します。だ液に含まれているリゾチームやラクトフェリンといった成分が関与しています。細菌が繁殖して不快な臭いのするガスを作り出すと、口臭の原因となるため、抗菌作用により口臭も防げます。
7.再石灰化を促進する
プラーク内の細菌が作り出した酸によって、歯のカルシウムが溶かされ、虫歯ができてしまいます。しかし、再石灰化によって修復されるため、初期段階の虫歯は自然治癒も可能です。(穴が開いているような虫歯の場合は治療が必要になります。)再石灰化によって、虫歯を防ぎ、歯を強くします。
8.粘膜を保護する
唾液に含まれているムチンという成分によって、さまざまな刺激から粘膜を守る効果があります。
9.口の中が潤うことで発声がスムーズに行えるようにする
口の中が乾燥していると、発生や嚥下・咀嚼がスムーズに行えなくなってしまいます。唾液の分泌量が減少すると、滑舌が悪くなったり、ろれつが回らなくなったりします。
10.がんを予防する
唾液の中に含まれている「ペルオキシダーゼ」などの成分には、「ベンゾピレン」などの発がん性物質の活性を抑制する働きがあるとされています。
唾液が出ないと口が臭くなる!?
先に紹介した通り、唾液が十分に分泌されていないと、口の中が乾燥して口臭を引き起こします。
これは、口の中の細菌が増殖しやすくなることが原因です。口の中には細菌が多数存在します。虫歯や歯周病の原因となるプラーク内には多くの細菌が存在し、プラーク1㎎に1億もの細菌が含まれているとも言われています。
口の中には、良い働きをする細菌もいますが、悪さをする細菌も多く、その細菌が作り出すガスによって口が臭くなってしまうのです。
プラーク内の細菌が作るガスのニオイがひどい!
プラーク内に含まれている細菌は、メチルメルカプタン(腐ったタマネギ臭)・硫化水素(腐卵臭)などの不快な臭いのするガスを作り出します。
歯周病の人の口の中からは、メチルメルカプタンが多く検出され、口臭は歯周病の症状の一つになっています。
唾液の分泌が減少することは、細菌の増殖を招いて口臭を強くしますが、それだけでなく、口臭の原因となる歯周病のリスクを高めることにもつながるのです。
唾液の分泌量が減少する原因
1日に分泌される唾液の量は、1~1.5リットルとも言われています。しかし、近年は唾液の分泌量が不足している人が増えているのが実状です。
年齢や薬の服用、性別などさまざまな要因が影響していると言えますが、それだけでなく、近年の咀嚼回数の減少・ストレスの増加などが大きく影響していると考えられています。
1.咀嚼回数の減少
近年、よく噛まなくても食べられるものが増えていることから、咀嚼時間・回数が減少し、咀嚼に関与する筋肉が衰え、唾液分泌量が減少傾向にあるとされています。
ファストフードなどのやわらかい食べ物が増えているだけでなく、何かと忙しく、ゆっくりと食べる時間を持てないということも影響していると言えるでしょう。
2.ストレス
近年は「ストレス社会」とも言われていますが、多くの人がストレスにさらされていると言われています。
アサヒビール株式会社で行った2007年の調査(首都圏の15~69歳の男女1000人が対象)によると、ストレスを「全く感じない」と答えたのは0.5%であり、「あまり感じない」と答えたのは19.1%、「どちらともいえない」が27.3%、「やや感じる」41.7%、「強く感じる」11.4%という結果となっています。半数以上の人が、多少なりのストレスを感じていると言えるでしょう。
ストレスが原因となる病気はさまざまありますが、唾液分泌の減少も招きます。唾液の分泌が減少して口の中の乾燥を招く「ドライマウス(口腔乾燥症)」は現代病とも言われています。
ストレスにより唾液分泌が減少する理由
唾液腺は自律神経によりコントロールされていますが、ストレスによって自律神経のバランスが乱れてしまうと、唾液分泌量の減少を招きます。
唾液の分泌量を増やす2つの方法
1.よく噛む
咀嚼は唾液の分泌量を増やします。よく噛む習慣を身に付けることで、唾液分泌量を増やして、口臭を予防することができるでしょう。
咀嚼回数を増やすには、よく噛むことを意識することも大切ですが、噛み応えのある食材を食事に取り入れたり、食事の時間を十分にとったりすることが大切でしょう。
2.唾液腺をマッサージする
唾液腺とは、その名の通り唾液を分泌する腺のことです。大きな唾液腺に、「耳下腺(じかせん)」「舌下腺(ぜっかせん)」「顎舌腺(がっかせん)」がありますが、他にも小さな唾液腺が多数あります。
唾液腺を刺激することで、唾液の分泌が促進されます。そのため、唾液の分泌を増やしたいならば、唾液マッサージで唾液腺を刺激することは有効でしょう。
大きな唾液腺は3つありますが、その中でも特に耳下腺が最も大きいため、耳下腺のマッサージがおすすめです。耳下腺は、耳たぶの少し前方にあり、やさしく圧迫することで唾液分泌を促進することができます。
さまざまな唾液の悩み
唾液の分泌が少なく、口の中が乾燥するのは近年多い悩みではありますが、「唾液が多い」「唾液が苦い」といった悩みを抱えている人も少なくありません。
唾液の量やphなど、唾液の変化は何らかの体の不調のサインかもしれません。続いている・気になるといった場合には、早めに専門家へ相談することをおすすめします。
唾液が多いのはどうして?
唾液の量が少ないドライマウスの人にとっては、唾液量が多いことはうらやましいことかもしれません。しかし、「唾液が多すぎて、人と話もできない」といった悩みを抱えている人もいるのです。
唾液の分泌量が過剰(唾液分泌過多)になる原因
唾液の分泌量が多すぎる状態を「唾液分泌過多(流涎:りゅうぜん)」などと言いますが、唾液が流れ出てしまうという人もいるほどです。
しかし、唾液の分泌量が過剰になっているケース(真性)もあれば、唾液量は多くなっていないけれど、唾液を上手く飲み込めず、唾液が口に溜まって多く分泌されているように感じてしまうケース(仮性)もあります。
真性の場合、唾液の分泌を抑制する薬で対応する場合もあるようです。また、仮性の場合は、嚥下に何らかの問題があるため、嚥下障害の改善が必要になります。
いずれも、さまざまな原因が影響しているため、専門家に相談することが大切でしょう。
唾液が苦いのはどうして?
唾液が苦くて悩まされている、という人は少なくありません。日中にも唾液によって、口の中が苦くなってしまう人もいますし、朝(起床時)のみ口の中が苦くなるという人もいます。
しかし、唾液の苦味は、何らかの病気が影響している可能性が高いため、続いている場合には専門家に相談することをお勧めします。口の中が苦いことが、口臭にも影響するのでは…と悩んでしまう人も少なくありません。
逆流性食道炎が原因の場合も…
逆流性食道炎は、胃から食道に胃液や食べたものが逆流してしまう病気ですが、喉のあたりまで胃液が上がってきてしまう場合もあります。胃液は酸性度が高く苦みがあり、唾液や口の中が苦くなってしまうのです。
口の中が苦くなる・唾液が苦くなる原因はさまざまありますが、内臓の不調も関係しているため、早めに専門家に相談することをお勧めします。
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