唾液検査でわかる口腔内の健康状態!虫歯予防におすすめ
皆さんは歯科医院で唾液検査(サリバテスト)というものを受けたことはあるでしょうか?
歯科医院で自分の口の中の汚れを採取し、顕微鏡でウニョウニョと動く細菌を見せられた経験のある方もいらっしゃるかもしれませんが、あれは位相差顕微鏡検査(いそうさけんびきょうけんさ)といって、唾液検査とは違うものです。
唾液検査を行うと、虫歯予防や口臭予防などに役立てることができ、様々なメリットがあります。今回は唾液検査でどんなことがわかるのか、メリットやおおまかな検査の流れ、費用などについて解説していきます。
唾液検査とは?
歯科医院で行われる唾液検査では、唾液を採取して唾液量やミュータンス菌やラクトバチラス菌といった虫歯菌の数、酸の中和能力を調べることで、口の健康状態をチェックすることができます。
最近では、歯周病のリスクをサリバテストで調べようという動きもあり、さらに、口の中だけでなく精神的なストレス度合いまで測ることができる方法もあります。
唾液検査はどんな人におすすめ?
唾液検査は自分で虫歯が多いと感じている方、口腔ケアを行っているのになかなか虫歯が減らない方など、虫歯ケアを行う全ての方におすすめです。
また、唾液の分泌量と口臭はとても深い関係にありますので、口臭が気になる方やドライマウスの心配がある方も受けてみるとよいでしょう。
さらに、まだ虫歯になっていないお子さんにも、これから虫歯にならないためにどうすればよいのか、具体的な対策を練ることができるので有効です。
唾液検査でどんなことがわかる?必要性・メリットは?
唾液検査は「サリバテスト」とも呼ばれます。唾液検査にはいくつかの検査項目があります。
では、各検査でどういった情報を得ることができるのか、それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.唾液の量が多いか少ないかわかる
無味のガムを一定時間噛み、メートルグラスで唾液の分泌量を測定します。
唾液には虫歯を防ぐ抗菌作用、歯を丈夫にする作用、虫歯菌が排出した酸を中和させる作用、潤滑作用など大切な役割が数々備えられています。ごはんを美味しく食べることができるのも唾液のおかげで、唾液は口腔内の健康を保つためにも、とても大切なものです。
唾液の量が減ることによる悪影響
口の中の唾液が少なくなってしまうと、これらの作用が阻害され、虫歯や歯周病といった口腔内のトラブルや、イヤな口臭が引き起こされてしまいます。
また、悪化すると味覚障害が生じてご飯の味がわからなくなったり、食べ物を飲み込むのに苦労してしまったりすることもあります。
2.虫歯菌の数がわかる
虫歯の2大原因菌であるミュータンス菌とラクトバチラス菌の数を測ります。
舌や歯に付着したプラークから検体を採取し、細菌を培養してコロニー(細菌の集合体)の数を調べます。培養には時間がかかるため、検査結果は数日後に知らされます。
人間は、赤ちゃんの頃は口の中に虫歯菌はほとんどいないのですが、同じスプーンを使うなど、大人と同じ環境で暮らすことで虫歯菌に感染してしまいます。
歯磨きを少しサボっただけですぐ虫歯になってしまう方と、全然歯磨きをしていないのに虫歯にならない方の違い、それはズバリ虫歯菌の数にあります。
虫歯菌は口腔ケアによって減らすことはできても、絶対にゼロにはなりませんから、その数が重要なのです。
また、サリバテストとは異なりますが、唾液を付けたパッチを皮膚に貼って、皮膚の温度を利用して唾液中の細菌の数を測定し、虫歯リスクを判定するRDテストといった方法もあります。
3.酸の中和能力がわかる
虫歯菌はプラークを栄養にして活動し、代わりに酸を排出するのですが、この酸が歯を溶かし、虫歯を生じさせます。
唾液には緩衝能(かんしょうのう)という酸性に傾いた口腔内のpHをできるだけ中性に持っていく働きがあり、唾液の中和能力が人より弱いと、歯がより溶けやすい可能性があります。
唾液検査では、この中和能力を調べることで虫歯になりにくいかどうかがわかります。
唾液を付けると色が変わる紙で調べるのですが、「黄色いほど中和力が弱く、青いほど中和力が強い」と判断されます。
唾液検査の流れ
唾液検査は治療ではなく、予防の一環として行われます。
検査当日は検査の数時間前に歯磨きを行い、食事を摂らないようにします。また、唾液が減るような副作用を持つ薬を飲んでいる人は、事前にチェックを受けなければいけません。
検査結果は、正多角形状にそれぞれの項目の軸を配置したレーダーチャートで提示されるケースが多いです。
レーダーチャートの項目には、サリバテストでわかる唾液量・虫歯菌の数・緩衝能の他に、問診や定期検診で得た情報として、以下の項目も入ります。
- 飲食の回数(間食を含む)
- プラークの蓄積量
- フッ素をどれだけ使用しているか
- 治療した歯を含む現在の虫歯の数(DMFT)
作図された多角形の大きさにより虫歯リスクは左右され、大きいとリスクは低く、小さいとリスクは高いと判断されます。
唾液検査の費用
残念ながら、唾液検査には健康保険が適用されません。
歯科医院によっても唾液検査で行う内容は様々で、その費用は異なります。相場としては5,000円以内、検査項目が多く検査料が高くなったとしても、10,000円以内の場合が多いです。
検査結果の分析がその後の口腔ケアの重要なカギとなりますので、結果をわかりやすく解説してくれる歯科医院を探しましょう。
唾液検査で歯周病リスクはわかる?
歯周病リスクについて詳しく調べる検査は、虫歯リスクを調べる検査とは異なるものです。
歯周病リスクを測定する唾液ヘモグロビン検査では、唾液中のヘモグロビン(Hb)と乳酸脱水素酵素(LDH)の濃度を測定します。
- ヘモグロビン…血液中の赤血球に含まれていて、酸素を身体中に運ぶ役割を担っています。唾液中にヘモグロビンが検出されるということは、出血が起きているサインなので、炎症を起こし血が出る歯周病の指標となります。
- 乳酸脱水素酵素…身体の臓器中に含まれる酵素で、血清逸脱酵素(けっせいいつだつこうそ)とも呼ばれ、細胞が傷つくと血中に出てくるので、歯周組織が傷つくことによっても検出されます。
計測方法としては、歯科医院などから検査キットと説明書を受け取り、サリバテストと同様に自分でガムなどを噛んで唾液を採取し、キットを提出するという流れになります。
唾液ヘモグロビンの量によって歯肉の炎症の度合いが判断されるのですが、口の中の炎症に限らず、鼻からの出血などがヘモグロビン濃度に反映されるケースもあるため注意が必要です。
ストレス度合いがわかる唾液検査って?
虫歯リスクを調べるサリバテストと異なり、ストレスチェックができるというちょっと変わり種の唾液検査があります。
こちらの検査で計測する項目は、唾液中のアミラーゼ量です。アミラーゼは、デンプン(お米など)を分解してブドウ糖にして、身体のエネルギーにするための大事な酵素です。
そんなアミラーゼがなぜストレスに関係しているのかというと、ストレスを受けると交感神経が優位になり、その結果アミラーゼが活性化するためです。
方法は簡単で、付属品のシートを舐めて計測器具に挿入するだけです。段階表示により、どれだけストレスが溜まっているか測ることができます。
なお、唾液アミラーゼ検査は一部の歯科医院でしか実施されていません。
自分で器具を買うこともできますが、検査を行う際に使用するモニターは3万円近く、さらにモニター用のチップは数千円かかりますので、一般人が医療機器を購入するのはあまり現実的ではないでしょう。
気になる方は、まずお近くの歯医者さんに相談してみてくださいね。
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