柿の効能/口臭への効果や副作用は?
秋の味覚のひとつとして広く親しまれている柿。「柿が色づくと医者が青くなる」「二日酔いのときには柿を食べるとよい」など、その健康効果について耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
今回は、高い栄養価で注目されている柿の効能について、口臭予防との関係や副作用にも触れながら詳しくご紹介していきます。
柿ってどんな果物?
柿はカキノキ科カキノキ属の植物で、実は秋の風物として知られているように、9月から12月にかけて旬を迎えます。
秋の気温が一定以上高くなる地域でないと渋が抜けないため、東海地方より西の比較的暖かい地域で栽培されています。主な産地は奈良県、山形県、和歌山県、愛知県、福岡県、岐阜県などです。
甘柿と渋柿
甘柿と渋柿という言い方をすることがありますが、実は甘柿と渋柿は木によって決まっています。渋柿は花が受粉して種子ができれば渋が抜けますが、甘柿は受粉してもしなくても渋が抜けるのです。
柿の渋味を感じる原因は植物ポリフェノールの一種であるタンニンの影響です。タンニンが口の中で唾液に溶けることで、渋味として認識されるのです。
なお、若い実はタンニンが可溶性のため渋味を強く感じるのですが、熟した甘柿はタンニンが不溶性に変化してしまうので渋味を感じにくくなります。
柿の品種
柿は多くの土地で固有の品種が作られてきました。現在では1000種類もの柿が栽培されていますが、次の5品種の生産量が特によく知られています。
富有
「ふゆう」と読みます。日本の柿の半分以上のシェアを占める甘柿の代表的な品種で、主に福岡県や岐阜県で生産されています。
平核無
「ひらたねなし」と読みます。種なし柿として有名です。不完全渋柿のため、出荷時に渋抜きをすることで甘くしています。山形県や和歌山県などで栽培されています。
松本早生富有
「まつもとわせふゆう」と読みます。ポピュラーな品種である富有の枝変わり種で、富有よりも早い11月上旬に熟期を迎えるのが特徴です。
刀根早生
「とねわせ」と読みます。種なし柿である平核無の枝変わり種で、9月下旬と他品種に比べて早い時期から出荷が始まるのが特徴です。和歌山県や奈良県などで作られています。
甲州百目
「こうしゅうひゃくめ」と読みます。釣り鐘の形をしているのが特徴で、宮城県や山梨県で多く栽培されています。
柿の食べ方
熟した甘柿は、そのまま切って食べれば柿特有の甘さを楽しむことができます。
複数個所に穴を空けたビニール袋に渋柿をりんごと入れておくと、りんごから発生するエチレンガスの働きによって渋が抜けることが古くから知られていますが、渋柿であっても、干し柿にしたり、湯抜きやアルコール脱渋により渋抜きしたりすることで食べられます。
柿の効能
柿にはビタミンCやビタミンA、カロテン、さらにポリフェノールの一種であるタンニンなどの成分が豊富に含まれています。これらの柿の成分は、私達の身体にどんな健康効能をもたらしてくれるのでしょうか。
1.身体の免疫力をアップする
柿のビタミンC含有量は、数ある果物の中でもトップクラスです。ビタミンCは血液中の白血球の働きを高め、体内へ侵入したウイルスを撃退する力を強めてくれます。そのため、柿を食べると風邪の予防に役立つとされています。
また、柿の綺麗な橙色の元になっているカロテンは強い抗酸化作用を持つことから、ビタミンCのその免疫力をさらに増強させる効果が期待できます。
2.二日酔い対策
「二日酔い予防・二日酔いになってしまった場合に早く楽になりたいときには柿を食べるとよい」と言われますが、これは柿に含まれるシブオールという渋味成分とアルコールデヒドロゲナーゼという酵素がアルコールを分解してくれる作用を持っているためです。
また、柿にはカリウムが豊富に含まれています。カリウムには利尿作用があるため、アルコールの排出を促し、二日酔いの予防に役立ちます。
3.高血圧の改善
高血圧の原因には生活習慣や遺伝的な要因が関わっており、放っておくと動脈硬化を招き、脳や心臓などに関わる様々な病気を引き起こします。
塩分の過剰摂取は高血圧症を招く大きな原因のひとつです。柿に含まれるカリウムには、体内の余分な塩分を体外へ排出する働きがあるため、柿を食べることで血圧の上昇を防ぎ、動脈硬化も予防することができるのです。また、高血圧を予防するとともに、むくみも改善されるようになります。
4.肌を綺麗にする
シミやそばかすの原因は、皮膚の色素細胞であるメラニン色素です。皮膚に紫外線が当たると、チロシンと呼ばれるアミノ酸からメラニン色素が生成され、メラニン色素が皮膚に沈着することでシミやそばかすになるのです。
柿に豊富に含まれるビタミンCは、チロシンからメラニンを作り出す酵素の働きを抑え、メラニンの沈着を予防してくれる効能があります。
また、柿のタンニンには収斂作用がありますので、開いてしまった皮脂腺や毛穴を引き締めてくれる効果があります。
柿は口臭にも効果があります
口臭の大きな原因のひとつとなっているのが揮発性硫黄化合物(VSC)と呼ばれる悪臭ガスです。
揮発性硫黄化合物は口腔内で細菌が増殖し、歯垢や食べカスを餌として分解する際に発生します。口の中の細菌は、歯や歯肉にへばり付くバイオフィルムや、舌の表面に付く舌苔にたくさん住み着いています。
タンニンによる口臭予防効果
柿に豊富に含まれるタンニンは植物ポリフェノールの一種です。タンニンには「フェノール性水酸基」という成分が含まれているのですが、このフェノール性水酸基は口臭の発生源となる原因物質と結合し、無臭の物質へと変えてくれる作用を持っています。
タンニンは臭いを別の臭いでごまかすのではなく、臭いの元を絶ってくれるため、優れた消臭効果を発揮してくれるのです。
また、柿は口臭ケアにはもちろんのこと、体臭や加齢臭対策として活用されています。柿タンニン配合の歯磨き粉やマウスウォッシュ、柿渋シャンプー、柿渋石鹸なども販売されていますので、気になる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。
柿の副作用と摂取する際の注意点
柿の効能には優れた健康効果や消臭効果がありますが、一報で副作用や食べ合わせ、過剰摂取にも注意が必要です。
1.食べ合わせに注意
柿の成分のひとつであるタンニンは、酸や鉄分、カルシウムと結合すると沈殿し、身体に吸収されにくくなります。胃酸を多く出す作用のあるイモ類との食べ合わせには注意が必要です。
また、タンニンが鉄分の吸収を阻害してしまいますので、貧血気味となる生理中・妊娠中の女性、鉄分を補うためのサプリメントなどを服用している方は、柿を摂取するのは控えたほうがよいでしょう。
さらに、蟹や海老といった甲殻類にはカルシウムが豊富に含まれているため、柿と一緒に食べると下痢や腹痛の原因になると言われています。
柿を食べる際には、柿と相性が悪い食品・薬品があることを知っておくことが大切です。
2.体を冷やす効果や食べ過ぎには注意
柿は寒性の食べ物と言われており、身体を冷やす効果があります。熱っぽいときや高血圧の方などには適していますが、胃腸が弱く冷え症の方などは、身体を冷やしてしまい下痢や腹痛の原因になりやすいため注意が必要です。
また、柿に含まれるタンニンは、過剰に摂取すると胃に結石を作りやすくなることが分かっています。健康体の方であっても、一度に多量に食べたり、柿ばかりを食べ続けたりといった偏った食べ方をするのはやめましょう。
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