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    プラークコントロールとは?歯垢除去・予防の効果/方法

    プラークコントロールとは?歯垢除去・予防の効果/方法

    プラークコントロールとは何か、その定義や効果、目的を明確に把握している方は意外と少ないもの。そもそもプラークとは何かなど、詳しく解説していきます。

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  • 更新日:2016年05月04日

プラークコントロールとは?定義/意義/目的は?

皆さんは「プラークコントロール」という言葉を聞いたことがありますか?「全然知らない」という方から「歯医者さんやテレビのコマーシャルで耳にしたことがあるけど、イマイチわからない」という方までいるかもしれません。

実はプラークコントロールは虫歯や歯周病の予防を行う上で、とても大切なことなのです。歯を失わずいつまでも健康な歯を持ち続けたい方、歯周病や虫歯で口を臭くしたくないという方は、今日からでもプラークコントロールを実践しましょう。
今回は、プラークコントロールとは何なのか、定義や目的、方法などを詳しく解説していきます。

そもそもプラークって何?

歯肉縁プラーク

プラーク(デンタルプラーク)は、歯垢(しこう)とも呼ばれるネバネバとした歯への付着物です。
その成分は8割が細菌や微生物、残りの2割は役目を終えた免疫細胞や粘膜から出た垢などで構成されており、プラーク1mgあたり約1億個以上もの細菌が含まれています。

歯・歯茎のトラブルの原因に

プラークは細菌の塊ですから、虫歯や歯周病の原因につながります。また、歯磨きなどのケアでプラークをしっかりと除去せず放置しておくと、唾液中のカルシウム成分とくっついて歯石(しせき)という白く硬い物質を形成します。
プラークの段階なら歯磨きで除去が可能なのですが、歯石になってしまうと歯にガッチリと付着してしまうため、セルフケアでの除去は行うことができず、歯科医院でのスケーリングが必要となってきます。

プラークの種類

プラークには歯肉縁上プラーク歯肉縁下プラークという2種類があります。
歯と歯肉の間の歯周ポケットより上に付着したプラークが歯肉縁上プラーク、歯周ポケットに入り込んでしまったプラークを歯肉縁下プラークと呼ぶのですが、歯肉縁下プラークは直接目で確認するのが困難で、特に見落としてしまいがちです。

プラークコントロールとは?

マウスウォッシュ

プラークの意味はわかりましたが、プラークコントロールとは具体的にどういった行為なのでしょうか。

「プラークをコントロールする」ということは、「口腔内の健康を妨げるプラークを除去して、なおかつ再び歯にくっつかないように予防をする」ということです。

自分で行うプラークコントロールとしては、基本的な歯磨き、デンタルフロスや歯間ブラシによる清掃、マウスウォッシュによるうがいのほか、砂糖の摂取制限などが挙げられます。
また、PMTCと呼ばれる歯科医院で行われる専用機器を使った汚れの除去や、歯石ができてしまった際に歯石を取り除くスケーリングなど、こういった処置もプラークコントロールのひとつです。

プラークコントロールは、プラークの除去や予防する行為を広く示した言葉なのです。

プラークコントロールの目的や意義

では、プラークコントロールを行うことによって、どんな効果が得られるのでしょうか。プラークコントロールの重要性について解説していきます。

1.歯の病気を防止する

虫歯も歯周病も、プラークに含まれる細菌によって引き起こされる病気です。
細菌は食べカスなどに含まれる糖分を栄養として成長し、ゴミとして酸を排出します。酸は歯の表面のエナメル質を溶かして虫歯を作り、また、細菌は歯茎に炎症を起こし、歯肉炎や歯周病を発生させます。

特に、歯周ポケットの中にできる歯肉縁下歯石は歯周病の大敵です。場合によってはメスで切開をして取り除かなければならないこともあります。手遅れになってしまう前にプラークコントロールを行うことで、歯の病気を予防することができるのです。

2.歯へのプラークの付着を防止する

プラークが発展してできる歯石を、そのままにしておくのはよくありません。
歯石の表面にある無数の小さな穴に細菌が入り込んでいくと、最近が増殖していき毒素を出します。そこから発せられる毒素は歯茎に炎症を起こし、歯周病の原因にもつながります。

そのため、日頃から歯磨きでプラークを取り除き、歯石に成長させないことが大切なのです。ただ、歯石の形成を自宅でのケアのみでゼロにすることは困難なので、歯科医院での歯石除去も必ず行いましょう。

3.歯磨きしやすい状態を保つ

プラークは的確な歯磨きで取り除くことができますが、歯磨きをせずにはなっておくと、どんどん蓄積していき、1回の歯磨きにとても時間がかかってしまいます。
また、最終的には歯石になってしまって、歯磨きで落とすことが不可能になってしまいます。

プラークコントロールはたまに行うものではなく、毎日定期的に行うことで、より歯磨きによるケアを行いやすく保つといった目的もあるのです。

4.口臭を予防する

プラークは細菌が多く含まれているので、放置すると口臭の原因にもなり得ます。メチルメルカプタンや硫化水素、ジメチルサルファイドといった、いわゆる揮発性硫黄化合物(VSC)由来の臭いガスを出すためです。

また、前述の虫歯や歯周病が進行することによっても、時に膿が溜まり口臭が発生することがあります。プラークコントロールは、口の中の病気が原因の口臭を予防するためにも必要不可欠なことなのです。

プラークコントロールの結果がわかる「プラークスコア」とは?

プラークスコアチェック

どうしたら日頃のプラークコントロールがちゃんとできているか、指標を知りたいですよね。歯科医院の定期検診でよく使われるのが「プラークスコア(プラークコントロールレコード)」というものです。

プラークスコアを測るには、まず歯を乾燥させてから歯垢染色剤によるプラークの染め出しを行い、歯を頬側、舌側、近心(体の真ん中に近い方)、遠心(体の真ん中から遠い方)の4つの面に分け、どの面が染まったかをチェックしていきます。
面の中でも、特に歯と歯茎が接している部分が染まっているかをチェックし、次の計算式でプラークスコアを出します。なお、歯の咬む面はカウントしません。

プラークスコアの計算式

染まった歯の面数÷全歯面数×100=プラークスコア(%)

例えば、全ての親知らずが生えている方だったら、歯の数は全部で32本ですね。歯の面数は1本につき4面なので、32本×4面=128面が全歯面数となります。

上記の計算式で出たプラークスコアが20%を越えると、プラークコントロールがきちんとできておらず、歯磨きやデンタルフロスなど、セルフケアの指導対象であると判断されます。
もしプラークスコアが20%未満であれば「ちゃんとプラークコントロールができているので、これからも維持しましょう」ということになります。

プラークコントロールの達成度は自分でもチェックが可能!

歯科医院へ行かなくとも、おおまかなプラークコントロールの達成度は自宅でもチェックすることができます。
計算式を出すには知識が必要となってくるので難しいですが、少なくともどこが汚れているか可視化できるので、プラークコントロールとしてはとても有効な方法です。
「磨き残しが気になる」「自分の歯磨きの仕方に自信がない」という方は試してみてはいかがでしょうか。

  1. 薬局やドラッグストアで手に入る歯垢染色液を用意する
  2. 歯磨きをしっかりと行い、歯全体に染め出し液を付けていく
  3. 軽く1回うがいをしたあと、鏡でどれだけ汚れが付いているか確認する

親子であれば、お母さんが子供の口の中を見て、どこが汚れているかチェックしてあげると、上の一番奥の歯などの見えづらい場所の磨き残しも指摘してあげることができます。

歯垢染色液の値段も様々ですが、安価なものだと300円程度で購入が可能です。また、大きな薬局やドラッグストアでは、イチゴ味など子供向けの歯垢染色液も売られていますので、歯磨きが苦手な小さなお子さんへのオーラルケアに役立てることができます。

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