早食いは肥満・糖尿病・消化不良・口臭の原因に!治し方は?
子供の頃、食事中に「よく噛んで食べなさい」と言われた記憶があるという方は多いはずです。ゆっくりよく噛んで食べるほうが身体によいとは知りながらも、忙しいときや時間がないときなど、つい早食いをしてしまうことはないでしょうか。
今回は、早食いによって身体にどのような影響があるのか、また早食いの癖を治すにはどうすればよいのかを詳しくご紹介します。
早食いによる身体への影響とは?
早食いは身体によくないと聞いたことがあるという方も、なぜよくないのか、具体的にどのような悪影響があるのかをきちんと理解しておくことが大切です。
ここでは、早食いをすることが身体にどのような影響をもたらすのか、その危険性について詳しく解説していきます。
1.肥満になりやすい
近年の研究により、よく噛まずに食べることと肥満には密接な関係があることがわかっています。早食いの習慣がある方や、お腹いっぱい食べる習慣がある方はBMIが高く、さらにその両方の習慣がある方はよりBMIが高くなるという結果が明らかとなっているのです。
よく噛まずに早食いをしていると、満腹感を覚えるよりも先に食べ物が胃の中に入ってくるので、どうしても食べ過ぎる傾向が強くなり、太りやすくなります。
また、食べ物をよく噛まない習慣が身についてしまうと、あまり噛まなくても飲み込める軟らかい食品を選びがちになります。すると、食物繊維やミネラル、ビタミン等の栄養素を摂取する機会が減り、栄養バランスが悪くなってしまいます。
偏った食事は肥満につながる危険性を高め、体調不良や様々な病気を発症する原因にもつながります。
2.糖尿病になりやすい
私たちが食べ物を摂ると、血液中の血糖値が上昇し始めます。この血糖値の上昇を抑えるため、血糖値を下げる作用を持つ「インスリン」というホルモンが分泌されるのですが、早食いをしてしまうとインスリンの分泌が血糖値の上昇に追いつかず、食後にさらに血糖値が高くなりやすい状態となり、糖尿病のリスクが高まります。
糖尿病の合併症のリスクも…
糖尿病が進行すると、失明を招く糖尿病網膜症や腎機能が低下する糖尿病腎症、痛みを感じにくくなる糖尿病神経障害など、様々な合併症を引き起こします。これらのリスクを減らすためにも、早食いの癖は早期に改善するべきでしょう。
3.消化不良を起こしやすい
人がものを食べるときは、まず口の中で食べ物を噛んで細かくした上で飲み込んでいます。早食いをして食べ物が十分に細かくなっていない状態のまま胃や腸へ送られると、消化に時間がかかり、消化器に負担がかかってしまいます。その結果、胸焼けや腹痛といったトラブルが生じます。
特に米やパン、イモなどに含まれているデンプン(炭水化物)は、すい液と腸内で消化される以前に唾液の中のアミラーゼという消化酵素が消化を始めます。ところが、よく噛まずに飲み込んでしまうと、食べ物が唾液と十分に混ざらないため、アミラーゼによりきちんと消化されていない状態で胃へと運ばれてしまうのです。
早食いで口臭が悪化するって本当?
実は、早食いによる弊害は肥満や糖尿病、消化不良のリスクだけではありません。もうひとつの大きな問題として挙げられるのが「口臭」です。
唾液の分泌量が少なくなる
食べ物を噛んでいるとき、口の中で食べ物が唾液と混ざりながら細かくされています。このとき、顎の動きや舌で味を感じることによって、唾液を分泌するよう指令が出されます。
ところが、早食いをしてよく噛まずに食べていると、口の中に食べ物がある時間が短いために唾液が十分に分泌されず、唾液が不足しがちになります。
唾液は口の中の食べかすを洗い流す働きがあるとともに、食べかすを餌として増える細菌を殺菌してくれる作用もあります。唾液が不足すれば、細菌にとってはより居心地のよい環境ということになります。結果、口の中で細菌が増殖し、細菌が出したガスによって口臭が発生するというわけです。
唾液がネバネバする
ゆっくりと味わって食事をしていると、自然と気持ちがリラックスし、副交感神経の働きが活発になります。副交感神経の働きが良くなると、唾液もサラサラの状態のものがたくさん分泌されます。サラサラの唾液が分泌されると、口の中の汚れを洗い流したり、口の中の細菌を殺菌したりといった効果が期待できます。
しかし、早食いをすると副交感神経は活発にならず、代わりに交感神経が活発化するようになります。このような状態では、唾液の粘り気が増し、分泌量も少なくなります。その結果、唾液が不足しがちで口の中が乾きやすくなり、口臭につながりやすい口腔環境となってしまうのです。
早食い癖を治すには?
「早食いをしないほうが身体のためにはよい」と頭では理解していても、既に癖になってしまっている癖を治していくということは、なかなか大変なことです。
早食いが癖になっている方は以下のような方法を試して、意識的に時間をかけて食べる習慣を身につけましょう。
1.噛む回数を意識する
まず、早食いを治すために注目したいのが食事中の噛む回数です。現代人は柔らかい食べ物を摂取する機会が多くなっていることから、昔の人と比べて噛む回数が極端に少ないことが分かっています。
噛む回数を増やすことで早食いを防げるほか、満腹中枢が刺激され、大量に食べなくても満腹感を得やすくなるため、食べ過ぎの防止にもつながります。
一般的に、噛む回数は一口につき30回程度が推奨されています。実際、早食いの人が「一口につき30回」を意識して実践すると、いつもよりかなり長く噛んでいるという印象を受けるはずです。初めは大変かもしれませんが、一口ごとに噛む回数を数え、飲み込みたくなっても30回噛むまでは飲み込まないように注意しましょう。
2.食材は大きめにカットする
軟らかいものや、既に細かく刻んであるものを食べていると、どうしても自分で噛んで細かくすることを怠ってしまいがちです。
多めに噛まないと飲み込みにくくなるよう、食材を大きめにカットしておくと、強制的に噛む回数を増やすことができるようになります。
3.食べるのに時間がかかる食品を選ぶ
早食いの癖がなかなか治らない方は、口の中へ絶えず食べ物を運ぶ習慣が身についてしまっている場合があります。前の食べ物を十分噛んでいないうちに次の食べ物が運ばれてくるので、次々に飲み込んで口の中を空けておきたくなるのです。
そこで、あえて食べるのに時間がかかる食品、たとえば魚や骨付き肉、エビやカニなど骨を取る手間や、殻をむく手間がかかるものなど、誰もが食べるのに時間がかかるものを食事に取り入れてみましょう。こういった食べ物を選んで食べることによって、次々に口へ食べ物を運ぶ習慣を見直すことができるようになります。
4.利き手とは逆の手で食べる
どうしても次々と食べ物を口に運んでしまうという方は、あえて食べにくい状況を作って食事をすると、普段の自分の食事中の癖を自覚しやすくなるはずです。
もちろん、食べにくいことがストレスになってしまうようではいけませんし、持ちにくい箸に気を取られて口の動きが止まってしまうようでは意味がありませんが、右利きの方は左手、左利きの方は右手で箸を持って食べると、食べにくい分だけ食事に要する時間が長くなり、噛むことに充てる時間が長くなります。
また、利き手とは反対の手で食べるのはもちろん、フォークやスプーンなどを使う場面であえて箸を使うというのもひとつの方法です。箸を使うことで、一度に口にする量を減らすこともできます。
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