歯の磨き方を見直そう!歯ブラシの選び方/持ち方/磨く方法
毎日歯磨きをしている人でも、虫歯や歯周病になります。それは、日頃の歯磨きで、十分に磨けていない(磨き残しができている)可能性が高いでしょう。子供だけでなく、大人にも正しく歯を磨けない人は多いのです。
毎日歯磨きをしていても、磨き残しができていれば病気のリスクを高めます。改めて歯の磨き方を見直してみてはいかがでしょうか。
実は大人にも磨き残しが多いんです
小さな子供はうまく歯磨きができないので、お母さんに仕上げ磨きをしてもらったり、歯磨き指導を受けてうまく磨けるように練習したりするかと思います。
一方、大人はチェックしてもらったり、歯の磨き方を習ったりすることは少ないでしょう。「今さら」と思う人も少なくないと思います。
しかし、大人でも磨き方にクセが出ていたり、自己流の磨き方になっていたりと、正しい方法で磨けていない人が多いです。改めて、自分の歯の磨き方を見直してみることが大切でしょう。
「磨けているつもり」では、虫歯や歯周病、口臭などのトラブルが引き起こされてしまいます。
意外と磨けていないという事実
ある調査によると、きちんと磨けていると自覚している人の約80%は「磨き残しが多い」という結果が出ています。
また、磨き残しは男性に多く、年代では20~30代の比較的若い世代にその傾向が見られています。
なぜ上手く磨けないの?2つの原因
それでは、なぜ丁寧に磨いたつもりでも磨き残しがあるのでしょうか?それにはいくつかの理由があります。
1.歯の形状の問題
その理由の一つは「歯が立体であること」です。わかりきったことですが、見に見える部分だけを懸命に磨いてもきれいになるのは表面だけで、側面や裏側、歯と歯の間、歯と歯茎の間などの汚れは残ってしまいます。
しかも歯は立体的に並んでおり、人によっては出っ張ったり凹んだりして複雑なかたちをしています。このさまざまな歯並びが、磨き残しを助長する原因ともなっているのです。
2.歯みがきの方法などの問題
もう一つの理由は、歯みがきの方法によるものです。「歯みがき圧が強すぎる」、あるいは「歯ブラシのストロークが大きい」ことなどがきれいに磨けない原因となっています。加えて、「毛が開いてしまっている歯ブラシの使用」といった用具の問題もその理由として挙げられます。
必要以上に力を入れて歯を磨くと、歯ブラシの毛先が広がってきちんと磨けないばかりか、歯茎を傷つけてしまいかねません。また、ストロークが大きすぎると毛先が歯と歯の間に届かず、磨き残しをつくることになってしまいます。
歯ブラシの交換の目安は?
歯ブラシの交換時期は、1ヵ月が目安とされています。しかし、使用する歯ブラシや磨き方によって、歯ブラシの傷み方は異なってくると言えるでしょう。
ある程度の時期になったら交換するというのは必要なことですが、毛先が開いてきたら交換するように心がけることが大切でしょう。
磨き残しがあるとどうなる?
ほとんどの人は毎日歯を磨いていますが、正しい歯みがきの仕方を実践していないとさまざまなトラブルのリスクは高まるばかりです。
では、歯の磨き残しによるトラブルの最も大きな原因は何でしょうか。
口の中にいる細菌は、食べ物に含まれる糖を栄養にして歯の表面にネバネバした物質をつくり出します。これが「歯垢(プラーク)」と呼ばれるもので、トラブルの最大の要因と考えられています。
以下に、プラークが原因となる口の中のトラブルを3つ整理します。
プラーク(歯垢)には細菌がたくさん!
プラークとは、歯に付着した細菌の塊のことです。このプラーク1mg中に約1億の細菌が潜んでいるといわれていて、歯周病菌や虫歯菌も含みます。
プラークは時間が経つと固まり、歯石になります。プラークは歯磨きで除去できますが、歯石になるとスケーラーという専用の器具で除去しなければならなくなります。また、プラークは14日程度で歯石になるとされています。
1.高まる歯周病の危険性
歯の磨き残しによってプラークの除去を怠ると、歯周病のリスクが高まります。歯周病に罹ると、歯茎が腫れたり、出血したりする可能性があります。ひどくなると、歯を支えている骨が溶け、歯そのものが抜けていってしまいます。
2.痛い虫歯になることも
プラークの中には、虫歯の原因となる「ミュータンス菌」などの「虫歯菌」が含まれています。この虫歯菌は食べものの糖分から酸をつくり、歯を溶かしていってしまいます。
溶かされた歯は唾液の成分によって元に戻ろうとしますが、プラークが長時間ついたままでいると、徐々に歯に穴を開け、歯は元のかたちに戻れなくなってしまい、虫歯となってしまいます。
3.口臭を引き起こす
プラーク内の細菌は、不快なニオイのガスを放出するため、口臭の原因にもなります。メチルカプタン・硫化水素といった、生ゴミ・腐った卵のような臭いのガスを作り出すため、口臭がひどくなってしまいます。
要注意!磨き残しが多いのはココ!
どんなに丁寧に歯を磨いているつもりでも、磨き方の癖などによってうっかり磨き残しは出てきます。一般的に磨き残しが多いのは以下の箇所です。
1.歯と歯のすき間
歯と歯の隙間は、大人も子供も特に磨き残しになりやすい箇所です。歯ブラシは歯と歯の隙間に入りにくいため、うまく磨けないのです。
しかし、歯と歯の隙間を磨く専用のツール(デンタルフロス・歯間ブラシ)を使用することで、歯の隙間の汚れを効果的に除去することが可能になります。
2.奥歯の噛み合わせ
奥歯の溝は、磨き残しになりやすいです。奥歯の溝は汚れが溜まりやすいうえ、歯ブラシが届きにくいということが理由として挙げられるでしょう。
3.歯と歯茎の境目
歯と歯茎の境目も見逃されやすい箇所です。「歯周ポケット」と呼ばれるこの箇所はプラークが溜まりやすいため特に注意が必要です。
「歯周病ではないから歯周ポケットはない」と思っている人も多いのですが、健康な人でも1~2ミリの浅い隙間があります。歯周病の有無は関係なく、汚れが残らないようにすることが大切です。
4.歯の裏側(特に利き手側の奥歯)
歯の裏側は磨きにくいのですが、特に利き手側の奥歯の内側は磨きにくいと言えるでしょう。磨きにくい・汚れが残りやすいということを意識して、丁寧にブラッシングを行うことが大切でしょう。
改めて見直す正しい歯磨きの方法
歯みがきの目的は、食べカスを取ることももちろんですが、さまざまなトラブルの要因となるプラークを除去することが最大の目的だといえます。
このことを理解したうえで、改めて正しい歯の磨き方を整理します。
歯ブラシの選び方
自分の歯を大切にするために、歯ブラシの選び方は大切です。歯ブラシは毛先が開いてしまうと、きちんと歯の面にあたらず、汚れを取り除くことができません。
毛先が開いてきたら交換することが大切です。1カ月に1回を目安と考えても良いでしょう。
ブラシの硬さ
口の中の状態にもよりますが、一般的にはブラシの硬さは「普通」が良いと言えるでしょう。硬すぎると歯茎を傷め、柔らかすぎるものはプラークをしっかり落とせません。
歯ブラシヘッド
歯ブラシヘッドは小さめがおすすめです。ヘッドが大きいと1本1本を意識しにくくなりまた、奥歯がうまく磨けない場合があります。
もちろん、歯の磨き方によって適した歯ブラシ選びは異なりますので、心配な場合には歯科で相談するというのも一つの方法です。
毛先
毛先はまっすぐが望ましいといえます。毛先がギザギザにカットしてあるものも販売されていますが、毛先のカットがまっすぐのものの方が、均等に毛先が歯面に当たって汚れを除去しやすいとされています。
歯ブラシの持ち方
基本は「鉛筆の持ち方」です。手のひらに握ってしまうとどうしても力が入りすぎてしまうし、細かい動きがしにくくなってしまいます。
また、短く持つとこれも力が入りすぎるため、若干長めに持つことがコツです。
正しい歯の磨き方
基本的な歯の磨き方のポイントを整理します。磨き残しをなくすためには、自分で磨く順番を決めてその順番を習慣づけることが大切です。
正しい歯の磨き方の6つのポイント
- 毛先が潰れない程度の力で磨く
- 5~10mm程度の幅を目安にし、細かく1~2本ずつ磨く
- 噛み合わせ面、歯の表面、歯の裏面という3面を意識して磨く
- 奥歯は歯ブラシを斜め横から入れ、細かく動かしてやや長めに磨く
- 凸凹になっている歯は1本1本にブラシをあてて上下に細かく動かす
- 歯周ポケットは歯茎に対して45度の角度に毛先をあてて磨く
歯ブラシ以外のツールも積極的に使用!
正しい歯の磨き方を実践すれば、明らかにプラークの除去率はアップします。しかし、例えば歯と歯の隙間などは、どんなに工夫しても多少は磨き残しが出てしまいます。
したがって、正しい歯みがきと同時に「デンタルフロス」や「歯間ブラシ」といったほかのツールも合わせて使用することをおすすめします。
特にデンタルフロスを歯ブラシのあとに使用することによって、プラークの除去率が高まることがわかっています。
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